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日本以上に海外で注目されるPS5、関連動画は4日間で8,000万回以上再生
このところ海外のテック系メディアでは6月11日に発表された「プレイステーション5(PS5)」の話題で持ち切りだ。
日本国内でも話題となっているが、海外における注目度はそれ以上といえるかもしれない。
ゲームメディアVideo Game Console(VGC)の2020年6月15日時点における集計によると、6月11日の発表から4日間で、YouTubeにおけるPS5関連動画視聴数は8,000万回を超え、ゲーム見本市E3でのPS4発表動画の視聴回数4,000万回を2倍以上、上回った。
また、YouTubeのPlayStation公式チャンネルで11日にライブ公開されたリビール動画は、6カ国版すべてを合わせると、4日間で1,700万回に達したという。VGCによると、2013年PS4発表時の動画視聴回数は300万回、E3でのPS4ショーケース動画は240万回だった。
6月24日時点では、上記リビール動画の視聴回数は英語版だけで1,276万回に到達。このほか日本語版73万回、ドイツ語版99万回、スペイン語版140万回などとなっている。
英語圏ではeスポーツ認知の広がりやロックダウンによる新規ゲームプレイヤーの増加など、ビデオゲーム市場の盛り上がりを示すトレンドが複数起こっており、それに応じPS5への注目度もこれまで以上に高まっていることが考えられる。
英語圏における人々の関心度合いが高いことは、大手メディアの報道からも読み取ることができる。グローバル・メディアのBBCは6月12日に、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの代表取締役社長ジム・ライアン氏の独占インタビューを掲載する力の入れようだ。
PS5の発表にともない、競合であるXboxとの競争にも注目が集まる。マイクロソフトは、Xboxの最新機種「Series X」の発売を2020年末に予定。PS5の発売時期も2020年末といわれている。
VGCが伝えた調査会社DFC Intelligenceの予測によると、PS5がXboxを大差でリードする可能性が高い。ゲーム市場におけるソニーのマーケティング・販売力の優位性、またオーディエンス規模や独占ゲームの存在が大きいという。
別の調査会社Ampere Analysisのゲーム市場責任者ピアーズ・ハーディングロールズ氏も同様の予測を展開。2024年までのPS5の販売台数を6,600万台、Xbox Series Xを3,700万台と予想している。
アナリストらの注目は、PS5がPS2の売り上げに迫ることができるかどうかという点のようだ。PS2は2000年にリリースされて以来これまでに1億5,500万台が販売され、史上最も売れたコンソール機に君臨している。2013年にリリースされたPS4の累計売り上げ数は1億1,104万台。
コンソール利用者は世界に7億人以上、生活の一部になるゲーム
今回のパンデミックでRecession Proof(不況知らず)であることを証明したゲーム産業。今後数年拡大が続く見込みだ。PS5もその流れに乗ることになる。
ゲーム市場を専門とする調査会社NewZooによると、2020年ゲームコンソール市場の売上高は前年比6.8%増の452億ドル(約4兆8,000億円)になり、ユーザー数は7億2,900万人に増加する見込みだ。
コンソール市場よりも目覚ましい拡大を続けるのがモバイルゲーム市場。2020年は前年比13.3%増加し、売上高は773億ドル(約8兆2,000億円)に達するという。モバイルゲームユーザーは世界全体で26億人に増える。
かつてネガティブな印象を持たれることが多かったゲームだが、今では娯楽やリラクゼーション機能を持った必須ツールとして、人々の生活に溶け込んでいる。
米Entertainment Software Association(ESA)の調査によると、米国では成人の65%がゲームをプレイしていると回答。そのうち大学卒業者は52%を占める。性別で見ると、女性46%、男性54%と概ね半々の割合。ゲーマーの平均年齢は、女性が34歳、男性32歳。ゲームプレイの効用に関して、ゲームが精神的刺激を与えてくれるとの回答は79%、リラクゼーション/ストレス解消効果があるとの回答は78%に上った。
ESAは同調査結果をもとに、各世代・性別で分けたゲーマーのペルソナを作成。たとえば、ミレニアル世代女性は、カジュアル/アクションゲームを好み、キャンディクラッシュ、アサシンクリード、トゥームレイダーなどをよくプレイしている。一方、ミレニアル世代男性は、アクション/シューティング/スポーツゲームを好み、God of War、Madden NFL、Fortniteをよくプレイしているという。
ゲームは音楽、映画、フィットネス、トラベルと融合、総合エンタメ空間の誕生か?
今回PS5の発表で人々の関心をひいたのがグラフィックの質だ。レイトレーシング技術の活用で、リアリスティックな光・影を再現し、映画のようなグラフィクスを実現している。
この画質の大幅な向上は、ゲームが「ゲームの垣根」を超え、様々なエンタメと融合する可能性を示すものといえる。
ゲームはすでに、音楽、バーチャルトラベル、フィットネスとの融合を始めている。音楽では、Fortniteで大規模なEDMライブが実施されたばかり。旅行に関しても、アサシンクリードなどの「フォトジェニック」なシーンを、バーチャル旅行先として紹介するトラベルガイドブックが登場。また、フィットネスに関しては、VRフィットネスゲーム「Supernatural」が英語圏では話題となっている。
画質の向上は、バーチャル空間の没入感を高める要素。ここにPS5で搭載される3次元オーディオ、さらにはVRやハプティックテクノロジーを組み合わせると映画「レディ・プレイヤー1」のような総合エンタメ空間を生み出すことも可能になるかもしれない。
ゲームテクノロジーの進化と他分野との融合は何を生み出すのか。PS5やXbox Series Xの登場とそれらがもたらすインパクトに注目したい。
[文] 細谷元(Livit)