内閣府および法務省、経済産業省は、「押印についてのQ&A」を公開した。
政府は、4月に規制改革推進室より経済4団体(日本経済団体連合会、経済同友会、日本商工会議所、新経済連盟)に対し、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、緊急に取り組むべきと考える対面手続や書面手続(押印を含む)を求める規制・制度などの見直しを要望。
これに対する各府省の回答を取りまとめたという。今回公開されたQ&Aの主な内容は以下となる。
- 契約書に押印をしなくても、法律違反にならない。
- 本人による押印がされたと認められることによって文書の成立の真正が推定され、そのことにより証明の負担は軽減されるものの、相手方による反証が可能なものであって、その効果は限定的である。
- テレワーク推進の観点からは、必ずしも本人による押印を得ることにこだわらず、不要な押印を省略したり、「重要な文書だからハンコが必要」と考える場合であっても押印以外の手段で代替したりすることが有意義であると考えられる。
また、文書の成立の真正を証明する手段として、継続的な取引関係がある場合は、取引先とのメールのメールアドレス・本文および日時等、送受信記録の保存が立証手段となるという。
新規に取引関係に入る場合は、契約締結前段階での本人確認情報の記録や保存、本人確認情報の入手過程(郵送受付やメールでの PDF 送付)の記録・保存、文書や契約の成立過程(メールや SNS 上のやり取り)の保存が立証手段となるとのことだ。
なお、これらは、文書の成立の真正が争われた場合であっても、メールにより契約を締結することを事前に合意した場合の当該合意の保存やPDF にパスワードを設定、複数者宛のメール送信などにより、立証が容易になり得ると考えられるとしている。
これらの公開により、契約書に押印しなくても法律違反にならないか、また、民事訴訟法上のルールについて明確になったといえる。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、政府は企業にテレワークを推奨。今回、テレワークにより問題視されていた押印について、初めて見解を示したこととなる。