高市総務大臣が、政府が検討していた国民すべての預貯金口座へのマイナンバーの登録の義務づけについて、国民からの批判を踏まえ、全口座への登録義務づけは見送る考えであることを明らかにした。

口座義務づけは、「特別定額給付金」をはじめ、法律に基づかない給付金の事務にマイナンバーを利用することができず、照合作業が非効率なものとなったことを踏まえて発案されたもの。

政府は、災害や相続などの際に口座の確認がしやすくなり、利便性が向上するとして、金融機関に対しすべての預貯金口座にマイナンバーを登録して管理することを義務づける検討を始めていたが、所得や資産などを国に把握される恐れがあるという批判が出ていた。

こうした批判を受け、高市総務大臣は

「そもそも、自分自身が困った経験や、大災害の状況を見まして、口座の所在がマイナンバーで把握できればどんなに便利だろうという発想から生まれた考え方ですので、必ずしも「希望しない」方や、「自分は全部覚えているから大丈夫だ」という方については、口座とマイナンバーの紐付けはしなくて良いのではないかと思いました。」

とコメント。全口座への登録義務づけは見送るとした。

また、自民・公明両党と日本維新の会が、希望者に国の給付金などの振り込み先の口座をマイナンバー制度に登録する法案を提出したことについては

「景気対策や福祉目的など、個人単位で多様な給付を行うため、全ての国民の皆様に、「行政からの様々な給付を受けるために利用する一生ものの口座情報」を、1口座のみ、マイナンバーを付番して登録してする制度に発展することができれば、「プッシュ型の迅速な給付」や「行政コストの削減」に資すると考えており、政府提出法案としての準備を進めたい」

と述べ、来年の通常国会での提出を目指していくとした。

なお、この口座登録に関してはあくまでも個人の口座がどの銀行支店にあるかを把握するためだけのものであり、口座の内容まで国は把握しないものだとしている。