新型コロナウィルス感染拡大により、世界中の人々が家で多くの時間を過ごしている。

海外では「ロックダウン(都市封鎖)」という厳しい策を取った国も多く、気軽に外出できない日々が続いていた。また、日本でも「ステイホーム」「おうち時間」などの、外出自粛を象徴するワードをよく耳にするようになった。

「おうち時間」の過ごし方として代表的なものは、断捨離などの大掃除・片付け、読書、テレビ・映画鑑賞などであろう。特に、テレビ・映画鑑賞は、テレビ、パソコンなどのデバイスさえあれば、観ているだけでいくらでも暇がつぶせる気軽なものである。

テレビ放送であれば、過去の人気ドラマの再放送や、大ヒット映画の放送など、私も自宅で非常に楽しんで観ていた。また、バラエティ番組でリモート出演ならではの演出や企画など、「こんなこともできるのか!」と新しいテレビの作り方を垣間見たように思う。

その他、DVDなどのレンタルショップも活用しており、外出の機会を減らす目的でもあるのか、私の近所のレンタルショップでは通常1週間の貸出期間を、2週間に延ばす店舗もあった。

動画配信サービスの人気

コロナによる外出自粛下で大きく利用者数を伸ばしたのは、NetflixやAmazon Prime Videoなどに代表される動画配信サービスだ。恐らく、多くの人がこのニュースを聞いて「想像通りだ」と思うであろう。

レンタルショップのように外出することなしに、追加料金なしでも、たくさんのコンテンツが楽しめる。私もこのサービスの利用者の一人であり、過去2ヶ月間はほぼ毎日映画を観るなど、ヘビーユーザーになったといっても過言ではない。

実際にどの程度ユーザー数が増えたのだろうか。BBCによれば、大手Netflixは今年の1~3月の間だけで、世界で約1,600万人の新規加入者を獲得したと伝えている。この人数は、2019年12月時点での加入者の約2倍の数であるというから、驚きだ。

そして、6月末までに、さらに750万人の新規加入者を獲得できると予測されているが、今後コロナの猛威が収まり、外出規制が緩和されれば、このまま利用者数が伸びていくことは見込めないとの懸念もある。

オンラインで友人と集まる、シェア視聴アプリの登場

動画配信サービスは、自宅で楽しむだけではなく、外で友人たちと共有して賑やかに鑑賞することも一つの楽しみ方である。しかし、「ソーシャル・ディスタンス」が奨励される現在は、そのような複数人が集まるアクティビティは避けるべきものとされている。

そんな中、複数人での動画視聴を、実際に会わずともオンラインで可能にするアプリケーションが続々と発表され、話題となっている。

Netflix Party

Netflix Partyは、Google ChromeによるNetflix専用の同時視聴アプリだ。これを利用して動画を観るには、もちろんNetflixへ加入をしたうえで、Netflix Partyのアプリをダウンロードして利用できる。Netflix Party自体は無料でダウンロード、利用することができる。

専用アプリをダウンロード後、Netflixのアカウントにログインすると、Netflix Partyと同期される。一緒に動画を視聴したい人たちも、それぞれNetflixへの加入と、Netflix Partyアプリのダウンロードが必要になる。視聴者全員がそこまでの手順を終えれば、あとは親となる人がNetflix Party視聴用のURLを全員に送り、動画視聴が可能になる。動画の再生・停止・早送り・巻き戻しなどは、親のみが操作できる。

動画視聴中は、動画の横にチャット画面が表示され、そこにコメントを書き込むことによって、リアルタイムで会話ができる。

さらに、Scenerというアプリをインストールすれば、動画視聴中であっても、チャットだけではなく、顔を見ながら音声で会話することもできる。

BBC Together

BBC Togetherは、イギリスの報道番組として知られている、BBC版のNetflix Partyのようなものだ。Netflix Partyは非公式のアプリだが、こちらはBBC公式のもので、今年3月から試験的に開始した。

BBCによるオンデマンドサービスのBBC iPlayer、オーディオコンテンツを配信しているBBC Sounds、教育コンテンツを配信しているBitesize、その他ニュースなど、BBCのあらゆるコンテンツを、最大50人とチャットをしながら同時視聴することができる。

Two Seven

こちらは、ひとつの配信サービスに特化しているわけではなく、Netflix、Amazon Prime Video、Youtubeなどの複数のサービスに対応した同時視聴アプリである。これひとつで、動画視聴中のチャットだけではなく、顔を見ながらの音声会話もできる優れものである。

TwoSevenを使用するにあたり、NetflixとYoutubeの場合には追加料金は必要ない。さらに、来る6月11日から日本でもサービス開始となる「Disney Plus」にも対応しているが、この場合はDisney Plusの使用料はもちろんのこと、Two Sevenを利用する際に3ドルの追加料金が必要になるという。

Two Sevenでは、配信動画だけではなく、家族やペットの動画など、プライベートなコンテンツをアプリ内にアップロードして、友人たちの同時視聴するという楽しみ方もできる。

いずれのアプリも、利用する際には、視聴者全員の動画配信サービスへの加入と、同時視聴アプリのダウンロードが必要になる。利用料金が発生する場合もあるため、「みんなで一カ所に集まって、動画を観る方が良い」という声もあるだろう。

しかし、規制緩和後も、ソーシャル・ディスタンスを心がけた生活はしばらく求められる。日本では、多くの人が「リモート飲み会」をするようになったが、Netflix Partyでアクション映画などを観ながらお酒を飲むというのも、新たなリモート飲み会の形として人気が高まりそうである。

文:泉未来
編集:岡徳之(Livit