アシックスが、気候変動の深刻な影響を低減するため、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指し、産業革命前からの気温上昇を1.5℃未満に抑えるための科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出削減目標を設定していくことを表明した。
同社の事業の中核をなすシューズの生産においては、環境への負荷をより削減するため、すでに染色工程の見直しに取り組み、生地を製造する際にあらかじめ原料自体に着色する染色技術「ソリューションダイ」を採用し、一部の商品に活用をはじめている。
さらに、2020年には、この技術を全ブランド(「アシックス」、「オニツカタイガー」、「ホグロフス」)のシューズ生産に導入し、全新商品生産量の50%以上にまで拡大させることを計画している。
この規模での「ソリューションダイ」技術の採用は、スポーツシューズ業界で初となり、これにより、染色工程におけるCO2排出量を約45%削減、また、水使用量も約33%削減することができるという。
また、同社は2019年6月に、金融安定理事会(FSB)により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言にも賛同しており、このたび、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の「ファッション業界気候行動憲章」にも署名した。
憲章では、スポーツ用品業界を含むファッション業界が果たすべき役割として、生産段階や素材の選択などにおける温室効果ガス排出量の削減に加え、消費者との対話など排出量削減の機会創出をあげている。
同社は署名団体として、これらの取り組みを通じ、業界全体での温室効果ガス排出量の削減に向けた連携を加速していくと同時に、スポーツメーカーとして初めて、国際的イニシアチブである「Science Based Targets(SBT)イニシアチブ」から、2030年に向けたCO2排出量削減目標の承認を受けるなど、気候変動への取り組みを積極的に進めていくとのことだ。