顧客満足度(CS)調査や消費者動向に関するリサーチ・コンサルティング会社であるJ.D. パワー ジャパンは、20代~60代の男女400名を対象に、「キャッシュレス決済に関する実態・意識調査」を実施、2019年9月11日に調査内容を発表した。

主なトピックは以下の4つ。

  • キャッシュレス決済における直近1ヶ月以内の利用率、および今後の利用意向は、「クレジットカード」、「電子マネー」の割合が圧倒的に高く、「QRコード・バーコード決済」に対し大きく差をつける結果に。
  • キャッシュレス決済のうち、スマートフォン決済に関しては、約4割(39%)が直近1ヶ月以内に利用したと回答。
  • スマートフォン決済の利用者と非利用者の間で、「QRコード・バーコード決済」の利用意向の差がより顕著に。
  • スマートフォン決済の普及により暮らしが「便利になる」と全体の約6割が回答。スマートフォン決済の非利用者については、見方が半分に分かれる結果に。

利用意向は、「クレジットカード」、「電子マネー」の割合が圧倒的

直近1ヶ月以内に利用したキャッシュレス決済について尋ねたところ、「クレジットカード」の利用割合が74%ともっとも高く、次いで「電子マネー(64%)」、「QRコード・バーコード決済(24%)」という結果になった。

また、今後の利用意向については、利用してみたい順に、「クレジットカード(70%)」、「電子マネー(64%)」、「QRコード・バーコード決済(40%)」となった。

スマートフォン決済に関しては約4割が直近1ヶ月以内に利用

1ヶ月以内にスマートフォン決済を利用したかという質問には、約4割(39%)が利用したと回答。このことからも分かるように、スマートフォン決済とクレジットカード決済の利用経験度合いには、依然大きな差が見られた。

一方で、年代別に見てみると、20~30代と若年層においては約半数(49%)がスマートフォン決済を利用しており、「スマホ世代」では、スマートフォン決済の利用が広がってきていることがわかった。

スマートフォン決済利用者に、スマートフォン決済への対応有無と店舗選択の関係性について尋ねたところ、全体として約7割(68%)がスマートフォン決済の対応有無にこだわらず、利用したい店舗・施設を選択すると回答した。

スマートフォン決済の対応有無は、生活者の購買行動に大きな影響は与えていないことが明らかになった。

さらに男女別で見てみると、「スマートフォン決済の対応にこだわらず、使いたい店舗や施設を選ぶ」という回答は、男性が約6割(58%)に対し、女性は約8割(79%)、一方「できるだけスマートフォン決済機能に対応している店舗や施設の中から選ぶ」と回答したのは、男性が約4割(42%)、女性が約2割(21%)という結果になった。

約6割の人が、キャンペーンなどの「お得感」よりもスマートフォン決済事業者の一本化など、「利便性」をスマートフォン決済に求めていることが明らかになった。

スマートフォン決済の利用の際の意向については、種類・ブランド・事業者を一本化したいと約6割(58%)が回答した。キャンペーンの際に都度適切なブランド・事業者を選択したい(42%)より、手間・時間などをかけずに利用したいという意向の方が強い結果となった。

こちらも男女別に比較をすると、男性の方が一本化による「楽さ」をより優先する傾向が見られた。

「QRコード・バーコード決済」の利用意向の差がより顕著に

今後利用したいキャッシュレス決済方法について尋ねたところ、スマートフォン決済の利用者は、非利用者に比べ、いずれの決済方法に対しても利用意向が高い結果となった。

特に 「QRコード・バーコード決済」への利用意向は、スマートフォン決済の利用者で65%、非利用者で24%と、両者間での利用意向の差が41%もあり、その差が顕著であることがわかった。

また、スマートフォン決済に対するイメージは、全体では「不正利用への不安(50%)」、「個人情報漏洩への不安(42%)」といったネガティブなイメージがTOP2となった。

次いで、「ポイント還元や割引でお得になる(35%)」、「現金を持ち歩くわずらわしさがない(35%)」「支払いが素早い(35%)」と続く結果に。お得感や利便性の良さといったイメージよりも、セキュリティ面での不安感が上回る結果となった。

スマートフォン決済利用者に限定すると、「ポイント還元や割引でお得になる」、「現金を持ち歩くわずらわしさがない」、「支払いが素早い」といったポジティブなイメージは非利用者を大きく上回るものの、「支払いできる加盟店が少ない」という、スマートフォン決済の利用環境に対する不満のイメージが、非利用者の倍以上の割合で挙げられている。

一方、非利用者では、「不正利用への不安」、「個人情報漏洩への不安」が半数前後から挙げられ、セキュリティ面に対する不安感は非利用者にとって、より強いことがうかがえる。

また、女性は男性以上に、スマートフォン決済利用へネガティブなイメージを持っている人が多いこともわかった。

約6割がスマホ決済の普及により暮らしが「便利になる」

スマートフォン決済機能の暮らしへの影響について尋ねたところ、スマートフォン決済の普及により暮らしが「便利になると思う」(便利になると思う+やや便利になると思う)が57%、「便利になると思わない」(あまり便利になると思わない+便利になると思わない)が43%という結果になった。

スマートフォン決済の非利用者に限ると、「便利になると思う」と「便利になると思わない」が拮抗する結果となった。

今後スマートフォン決済が使えると便利だと思う場面、場所を尋ねたところ、「お祝い金(11%)」、「結婚式のご祝儀(9%)」、「ギャンブル(9%)」、「葬儀の香典(7%)」、「さい銭(6%)」という結果に。日常の買い物シーン以外でのキャッシュレス決済にまだピンと来ない、イメージが湧かない、というような状況がうかがえた。

全体的には女性の方が男性に比べ関心が高く、「お祝い金(14%)」、「結婚式のご祝儀(11%)」と、お祝いごとでのスマートフォン決済に、一定の期待感があるようだとしている。


※調査概要
■調査方法 :インターネット調査
■調査期間 :2019年8月
■対象者  :全国の20代~60代の男女 400名
※出典)「J.D. パワー調べ

<参照元>
「キャッシュレス決済に関する実態・意識調査」
J.D. パワー ジャパン