ラーニングエージェンシーが、2014年度から実施している新入社員の意識調査などをもとに、新人・若手社員の成長に寄与する要件を分析した。
主な結果は以下の通り。
- 新入社員の時間の使い方について、2019年度は「仕事とプライベート優先」が1位。
- 約4割の新入社員が将来のキャリアを定めていない。
- 労働時間が短縮する中、“放っておいても自ら学習する社員”と“放っておくと何もしない社員”の二極化が進む可能性があるため、プライベート時間の使い方が重要な要素となる。
- 会社時間以外の経験も成長につながるため、プライベート時間の使い方を“考える機会”を与えることが新人・若手社員の成長を促す第一歩となる。
調査概要
同社は2014年度から毎年、新入社員を対象としたキャリアに対する意識調査を実施している。
その中で、「20代の時間の使い方」を聞いたところ、2016年度までは「仕事とプライベート*1と自己投資*2をバランス良く」と回答する新入社員が30%を超え、トップを維持していたが、2017年度に初めて「仕事とプライベート優先」が上回り、最新の2019年度の調査では27.3%の新入社員が「仕事とプライベート優先」の意向を示した。
さらに、2014年度にはわずか4.5%だった「プライベート優先」が、2018年度に10%を突破し、2019年度には11.9%まで上昇している。
このことから、従来に比べプライベートの時間を重視する新人・若手社員が増加していることが読み取れるという。
*1 プライベート:自分の趣味・友人・恋人・家族と費やす時間
*2 自己投資:仕事に役立つスキル向上に費やす時間
また、将来会社で担いたい役割について、「キャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」「まだはっきりしていない」と答える新入社員が年々増加傾向にある。
特に2017年度以降はその割合が40%を超え、「将来のキャリアを定めていない」新人・若手社員が一定数いる実態も明らかとなった。
社会の動きに目を向けると、長時間労働の是正が叫ばれ、労働時間が短縮傾向にある中、会社としてさらに業績を上げていくために、生産性向上が一つの解決策として注目されている。
実際に、オートメーションツールの導入や制度変更など、生産性向上に向けた様々な取り組みが行われているが、仕事そのもののやり方・進め方の“質”を本質的に改善していこうと思うと、ある程度の“量”の投下=本人の試行錯誤の時間も必要となるだろう。
そこでキーとなるのが、「会社時間以外の時間=プライベート時間」の使い方だそうだ。
同社によれば、新人・若手社員の最近の傾向である「プライベート重視で自己投資への意識が低くなりつつある、将来のことをあまり考えていない」状況が続くと、“放っておいても自ら学習する社員”と、“放っておくと成長につながる時間の使い方をしない社員”の二極化が進み、社員間の“成長格差”が広がってしまう可能性があるという。
※調査概要
2019年度新入社員のキャリアに対する意識調査
* 各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としている。
<参照元>
『新人・若手社員、成長の二極化の危機:防ぐキーワードは「プライベート時間の使い方」』
ラーニングエージェンシー