電通は、国立大学法人東京海洋大学等と共同で、ラストワンマイル移動(※1)を含む陸上移動手段と水上交通手段を組み合わせた「自動運転型水陸連携マルチモーダル(※2)MaaS(※3)」を見据えた実証実験を本年9月初旬、東京都内において実施することを発表した。
本実証実験は、「自動移動・MaaSによる移動中の体験価値の向上」をテーマに、海洋大が開発する自動運航船、陸上の配車サービスおよび電通の各種ソリューション(※4)を活用して行われる。
陸海空で自動運転技術の連携が進む未来の社会を見据え、移動時間全体を楽しく快適に、かつ有効に活用するなど、移動中の体験価値を高めるための方法や課題を検討することで、水陸連携マルチモーダルの可能性を探り、今後の国内外でのサービス開発に役立てていくとしている。
電通は、今回および昨年度実施した実証実験等の成果を踏まえ、関係者と協力しながら各種ソリューションを効果的に連携させるパッケージ開発を行い、国内外に広げていき、今後も、年内に西日本等でも試行を行い、日常の移動や観光手段の一端を担う水上交通を連携させたMaaS化の促進や、それに伴う移動時の情報流通を通して、より快適で楽しい移動体験を創出するソリューションの開発を進めていく予定とのことだ。
※1 ラストワンマイル移動:駅から家、駅からオフィス等、目的地までの最終移動区間の移動をいう。今回の場合はオフィスや駅等と船着場の間を指す。
※2 マルチモーダル:複数の移動体すなわちモーダルを組み合わせた移動のパターンをいう。今回の場合は水上運輸と陸上運輸との組み合わせパターンを指す。
※3 MaaS(Mobility as a Service):ここでは、出発地から目的地までの移動ニーズに対して最適な移動手段をシームレスに1つのアプリで提供するなど、移動を単なる個別の手段としてではなく、利用者にとっての一元的なサービスとして捉える概念と定義する。
※4 電通が開発する各種ソリューション:(特許出願中の機能を含む)
・船着場利用管理システム/Triangle Connect™
複数の船着場の桟橋利用予約の受付や空き状況を管理し、利用状況や船着場特有の各種規定に即した運用や精算業務等を支援するシステム。乗船券に特化したチケット販売および水辺関連情報サイトと連動し、東京都内で運用中。今後は水上交通の MaaS 化に必要な情報連携を図るためのソリューションとして、陸空等の他モーダルとの連携等を含めた展開を予定している。
・移動体向け情報配信システム
現在開発中の自動移動体(陸海空)への情報配信システム。MaaS の特性を踏まえ、移動者が快適に移動できるための各種情報提供等を行うシステムであり、2020 年度から商用提供することを目指している。