QS Quacquarelli Symonds社(QS)が作成した世界大学ランキングの最新版で、2019年6月19日に発表された第16回QS世界大学ランキング2020では、ランクインした日本の41大学のうち、24校が順位を落としたとのことだ。

また、研究パフォーマンスにおける上位100位以内に日本の大学が入らなかったのは初めてだという。

本ランキングは、世界の大学の上位1000位までを網羅したもので、マサチューセッツ工科大学は8年連続世界1位という新記録を樹立し、一方日本の最上位は東京大学で、23位から22位へと過去最高の順位に上げた。

以下は日本の大学に関する注目事項。

  • 東京大学は4年連続で順位を上げている。2015年は31位で、最新の順位は当時と比較して9ランク上昇した。
  • 東京大学は、引き続き世界で最も高い評価を得ている学術機関のひとつとして認められている。QSのAcademic Reputation(学術評判)指標で100/100の満点を獲得した。Academic Reputation(学術評判)で満点を達成した世界の8校のうちのひとつであり、アジアでは唯一である。
  • 京都大学も4年連続で順位が向上。2015年以降、36位から33位に上昇した。
  • QSが調査した雇用者向け調査の回答において、日本の大学の卒業生ついての肯定的意見は減少した。ランクインした日本の41校のうち、35校でQSのEmployer Reputation(雇用者評判)指標のランクを落とした。
  • また、世界の競争相手に対し、日本の大学は研究パフォーマンスの向上と国際化にも遅れを取っている。日本の41校のうち33校で、QSの研究効果の指標であるCitations per Faculty(教員1人当たりの被引用数)のスコアが低下した。
  • 日本の41校のうち、32校がInternational Student Ratio(留学生比率)のランクを落とし、34校でInternational Faculty Ratio(外国人教員比率)のスコアが低下した。

QSの調査部門長であるBen Sowterは
「この10年間、日本の大学はより多くの留学生を招くことができるようになりました。これは、日本に相当な経済的メリットをもたらし、世界から見た日本の立ち位置を高めることができる、有意義で肯定的な傾向と言えます。しかし、競合する多くの国が、高等教育セクターの国際化の速度において日本より優っている状況です。」
と述べている。

ランキング手法は以下のとおり。

  1. Academic Reputation(学術評判): 学術研究者9万4000人の回答に基づくもの
  2. Employer Reputation(雇用者評判): 企業側雇用者4万4000人の回答に基づくもの。主に優秀な卒業生を輩出している大学と企業が評価するもの
  3. Citations per Faculty(教員1人当たりの被引用数): 研究の反響を測定する指標であり、5年間の間に各大学の研究論文が引用された件数を、機関の教員数で割ったもの
  4. Faculty/Student Ratio(教員数対学生数比率): 教育能力を示す指標。学生数を教員の数で割って計算。世界の学生に対し、それぞれの教育機関でのクラスのおおよその規模を示唆するもの
  5. International Faculty Ratio(外国人教員比率): QSの2つの国際化指標のうちのひとつであり、国内外から赴任している教員の比率を示す
  6. International Student Ratio(留学生比率): QSの2つ目の国際化指標であり、海外から機関に就学している学生の比率を示す。逆に見ると、この指標は大学が才能ある学生を世界中から集める能力を示唆する

<参照元>
QSユニバーシティランキング