2019年5月28日、ラーニングエージェンシーが、「新卒一年目社員の育成に関する調査」の結果を公表した。

管理職には「新卒社員の育成」、新卒社員には「自身の仕事に対する意識」について調査し、その傾向と新卒社員を育てるうえでのポイントをまとめている。

調査からは、管理職と新卒一年目社員の間に、さまざまなすれ違いがあることが明らかになった。中でも、「成長を感じる場面」で大きなズレが生じていることがわかったという。

結果のサマリーは以下のとおり。

  • 管理職は新卒一年目社員が「責任がある仕事を任されたとき」に成長を実感すると思っているが、新卒社員本人は「教えてもらったことが実践できたとき」に成長を感じている。ただし、「褒められたとき」については共通の認識を持っている
  • 管理職は新卒一年目社員に「業務の優先順位づけ」「論理的な思考展開」の強化を期待しているのに対し、新卒社員本人は「口頭伝達」「業務の処理スピード」に課題を感じている
  • 管理職が新卒一年目社員の育成で苦労しているのは、 「育成時間が取れない」ことと「やる気を高められない」こと

調査の結果から同社では、“管理職が新卒一年目社員を育成するうえでのポイント”を2つ挙げている。

  1. 新卒社員が「過去と比較してどのように変わったか(成長したか)」を、業務の中でこまめにフィードバックしていく
  2. フィードバックを行う際に、強化・改善してほしいスキルをすり合わせる

新卒一年目社員の「成長」

調査では、管理職に対して、「新卒社員がどんな場面で成長を感じていると思うか」聞いた。

その結果、1位が「褒められたとき」(42.0%)、2位が「責任がある仕事を任されたとき」(40.3%)となっている。

一方で、新卒社員本人に、「どんなときに自分の成長を感じているか」質問した。

結果、1位が「褒められたとき」(30.3%)で、2位が「教えてもらったことが実践できたとき」(24.2%)となった。

管理職と新卒社員の間に認識のズレがあることがわかる。

新卒一年目社員の「課題」

管理職に対し、「新卒社員に何を学んでほしいか」聞いた。結果は、1位が「業務の優先順位づけ」(58.0%)、つづいて2位が「論理的な思考展開」(47.3%)となっている。

一方で、新卒社員自身が課題だと感じているのは、1位が「口頭による正確な情報伝達」(47.6%)、2位が「業務の処理スピード」(44.4%)。

ここでも管理職と新卒社員の間に、認識のズレがあることが明かになった。

管理職が新卒一年目社員の育成で苦労していること

管理職に、「新卒社員の育成でもっとも苦労していることは何か」聞いた。

1位が「部下育成の時間が取れない」(25.0%)、2位が「部下のやる気を高められない」(24.0%)という結果となっている。

調査をおこなったラーニングエージェンシーでは、「メンバーの指導にあたるべき管理職のほとんどがプレイングマネジャーだといわれる昨今、管理職は限られた時間の中で部下の成長を実現しなければならない状況だ。そのため、管理職のタイムマネジメント力は、今後ますます重要になっていくだろう」との考えを示している。

管理職に求められるのは、日々の業務の中で行う適切なフィードバック

調査からは、管理職は「仕事を任せたとき」に新卒社員が成長を感じると考えている一方、新卒社員が実際に成長を感じるのは「教えてもらった業務を実践できたとき」であるという両者間のすれ違いが確認できた。

また、課題感のズレや新卒社員の育成に対する管理職の悩みについても把握している。

別の調査(「新入社員のキャリアに対する意識調査」(2019年4月23日公表))では、「成長実感」は仕事に対するモチベーションにつながることがわかったという。

同社ではそのうえで、管理職には、仕事を任せるだけでなく、「業務を進める中で以前と比べてどのように変わったか(成長したか)をこまめに伝える」、すなわち“マイクロフィードバック”を実施して新入社員の成長を促すことを提案している。

さらに、「フィードバックを行う際に、強化・改善してほしいスキルを適切に伝えることで課題感のズレも解消できる。まとまった時間を取ることが難しい管理職にとって、業務指導時のマイクロフィードバックこそが高い効果を生む育成法だ」との考えを示している。


※調査概要

1. 管理職層に対する新卒・若手の育成に関する意識調査

2. 新卒一年目社員の仕事に対する意識調査

<出典元>
「新卒一年目社員の育成に関する調査」
ラーニングエージェンシー