カウンターポイントは、自社のGlobal Smartwatch Trackerサービスによる最新調査を発表した。
世界のスマートウォッチ出荷において、Apple、Samsung、Fitbit、Huaweiが市場を牽引し、2019年第1四半期に前年同期比で48%の健全な成長をみせた。
この市場の主な変化について、同社リサーチアナリストのSatyajit Sinha氏は以下のように分析している。
iPhoneの需要が低調であったにもかかわらず、Apple Watchの出荷台数が前年比49%の成長を遂げた背景には、同社がヘルスケア関連の機能に重点を置いていることが挙げられる。
Apple Watch Series 4は、心電図(ECG)や転倒検知のようなヘルスケア関連の機能を重視し、同社はECG機能の認可を、香港と他の19の国(フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、英国など)の保健当局から取得している。
ヘルスモニタリングに欠かせない心拍センサーやフィットネス関連で利用するGPSおよび歩数計、そして支払い用のNFC(かざすだけで周辺機器と通信できる技術)は、ウォッチに搭載されている技術のなかでも核となる。
これらの技術を使うユースケースや、携帯の基地局との通信による通知機能が、スマートウォッチ購入の動機となっていると考えられる。
一方で、地域や価格帯に関係なく、電池寿命が短いことが購入を決める上での懸念点として指摘できるだろう。
またApple以外の企業の業績については、シニアアナリストのSujeong Lim氏が以下のような見解を示している。
Samsungは、前年同期比127%の指数関数的成長を遂げ、2019年第1四半期にはシェア11%に躍進した。
この飛躍は電池寿命に優れ、時計本来の丸型デザインを採用した最新のGalaxyウォッチシリーズによるところが大きいといえる。
加えて、携帯のLTE規格で通信できることが、同じくAndroidスマートフォンユーザーをターゲットとした他社と比べた時の優位性を示している。
同社のスマートウォッチは、Androidおよび既存の膨大なSamsungユーザーにとってApple Watchに代わる有力な選択肢となりうるだろう。
一方で、Huaweiのシェアは一気に3%の成長を遂げた。背景には最新のHuawei Watch GTの登場が挙げられる。
キャッチーなデザイン、手頃な価格、成長するHuaweiブランドのイメージ、そして同社の既存スマートフォンユーザー層が需要を生み出したと考えられるとしている。
また、HuaweiはHuaweiブランドでスマートウォッチを、スマートバンドはHONORブランドで、それぞれ重点化する販売戦略にシフトしていることも挙げられるという。
スマートウェアラブルにおけるイノベーションに関しては、アソシエイトディレクターのBrady Wang氏が以下の見解を示した。
折りたたみディスプレイはスマートフォンに限らず、スマートウォッチにも搭載されていた。Nubiaは、スマートフォン+スマートウォッチの機能を提案し、手首につけるデバイスにスマートフォン並みの機能を開発している。
Nubia Alphaに搭載されたユーザーインターフェースは、ジェスチャコントロール、画像認識による操作ショートカット、画面上のアプリ移動といった機能を備えていることから、汎用性が高くユーザーフレンドリーだといえるだろう。
とはいえ、今はまだスマートウォッチの大きさや形状については進化が始まったばかりであり、新しいフォームファクターが成立するには、よりかさばらない、頑丈なのにスタイリッシュ、断片化されず直感的にわかりやすいソフトやUI、といった進化など、いろいろな面で従来のものを上回る必要がある。
曲げられるディスプレイを持つスマートウォッチが市場の主流になるのは、2025年以降になるのではないかと予測される。