INDEX
平成が終わり令和がはじまったこの時期に、過去トレンドとなった知識を身につけて、新時代への足がかりにしてはいかがだろう。そこで今回は、トーハンが発表している2000年~2018年代のビジネス書ランキングから、年間1位を記録したベストセラーをピックアップして紹介する。
【2000年】経済のニュースが面白いほどわかる本〈日本経済編〉
出版社: 中経出版 (1999年11月)/細野 真宏 (著)
小学生にもわかるようにイラストとともに経済を解説していく本書は、当時、画期的で斬新と評価されベストセラーとなった。著者は、累計200万部を突破した受験参考書『数学が面白いほどわかる』シリーズの細野真宏氏。参考書のノウハウを活かした「参考書スタイルのビジネス書」となっている。
【2001年】金持ち父さん 貧乏父さん
出版社: 筑摩書房; 初版 (2000年11月)/ロバート キヨサキ (著), シャロン・レクター (著), 白根 美保子 (翻訳)
ビジネス書の定番入りを果たしている『金持ち父さん 貧乏父さん』が初めて登場したのは2001年。初版からすでに18年近く経っているにもかかわらず、現在も多くの人に読まれているビジネス本だ。内容は物語調で語られており、高度な教育を受けて高収入の教師となったが、お金に困っている父と、中卒だが会社を経営していて、豊かな暮らしを築いている父が登場。両者を比較して、お金持ちになるためには何が必要なのかを指南していく。なお、2013年には改訂版も発行されている。
【2002年】図解「儲け」のカラクリ
出版社: 三笠書房 (2002年7月)/インタービジョン21 (編集)
「世の中の全てのお値段、お教えます。」がキャッチコピーの本書では、「儲け」のしくみやサービスの裏事情、原価の秘密など、さまざまな商売を例にあげて利益が出る仕組みを解説している。発売から年月が経っているため若干資料は古いが、書店の利益は? 飲食店の利益は? など儲けのカラクリが気になる人は参考にしてみては。
【2003年】図解 成功ノート
出版社: 三笠書房 (2003年4月)/神田 昌典 (監修), 起業家大学 (著)
監修者の神田昌典をはじめ、「儲けのしくみ」を知り尽くした執筆陣が、その成功ノウハウをノート形式で紹介されている。若いのにものすごく稼いでいる人と、いつまでも安い賃金で雇われている人。この違いはどこにあるのだろうか。そんな、成功するためのノウハウが詰まった一冊だ。
【2004年】内側から見た富士通 「成果主義」の崩壊
出版社: 光文社 (2004年7月)/城 繁幸 (著)
富士通といえば、かつて日本のITをけん引していた企業。しかし、ITバブル崩壊後の業績は低迷を続けた企業でもある。この本は、低迷した原因の一つが「成果主義である」とした、元富士通社員であり、成果主義を推進する部署に身を置いていた著者の告発書となっている。
【2005年】これだけは知っておきたい 個人情報保護
出版社: 日本経済新聞社 (2005年1月)/ 岡村 久道 (著), 鈴木 正朝 (著)
個人情報保護法は2005年に全面施行された。それに伴い、2005年は個人情報保護に興味関心が高まったこと、説明がわかりやすいと評判を呼んだことから、この本がトップとなった。内容は、個人情報保護法が求める義務や実務上の注意点をわかりやすく解説したものとなっている。
【2006年】鏡の法則 人生のどんな問題も解決する魔法のルール
出版社: 総合法令出版 (2006年5月)/野口 嘉則 (著)
2006年は著者が自身の体験をネットブログで公開し、多くの反響を呼んだことから書籍化した『鏡の法則』がトップ入り。息子がイジメにあい悩んでいた主婦が、とあるコンサルタントと出会い、息子の悩みを解決、さらに確執のあった父親と和解するといった物語となっている。
【2007年】「1日30分」を続けなさい! 人生勝利の勉強法55
出版社: マガジンハウス (2007年6月)/古市 幸雄 (著)
本書では、精神論や”役に立たない”勉強法ではなく、誰もが実践できる”具体的な”勉強テクニック・心構えが盛りこまれている。豊富な具体例とともに、現状に不安・不満を抱くすべての人に贈る、実証ずみ勉強法だ。
【2008年】脳を活かす勉強法 奇跡の「強化学習」
出版社: PHP研究所 (2007年12月)/茂木 健一郎 (著)
この本では、三日坊主になる・集中できない・記憶が苦手などの問題を解決すべく、脳の仕組みを活かした37の勉強法を公開している。著者は「アハ体験」で注目を集めた脳科学者、茂木健一郎氏だ。
【2009年】脳にいいことだけをやりなさい!頭のいい人は「脳の使い方」がうまい!
出版社: 三笠書房 (2008年11月)/マーシー・シャイモフ (著), 茂木健一郎 (翻訳)
前年に続き、茂木健一郎氏の書籍がトップ入り。心のモヤモヤが消える夜10時ルール、脳にいい食べ物、悪い食べ物……など、脳に良いことをやり続けることで、ポジティブな回路をつくり、タフな脳にする方法を解説している。
【2010年・2011年】もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
出版社: ダイヤモンド社 (2009年12月)/岩崎 夏海 (著)
2009年に発売されたこの本は、ミリオンセラーとなり、2010年・2011年ともにトップ入りを果たした。内容は、高校野球の女子マネージャーである主人公が、ドラッカーの『マネジメント』を用いて甲子園を目指す物語。若い女性を主人公として、難しいビジネス用語などわかりやすく解説している。
【2012年】人生がときめく片づけの魔法・人生がときめく片づけの魔法(2)
出版社: サンマーク出版(2010年12月)/近藤麻理恵 (著)
「ときめくものだけを残す」という片付け方法が、片づけられない読者の心をつかんだことで『人生がときめく片づけの魔法』が2012年のベストセラーとなった。2015年には、著者である近藤麻理恵氏がアメリカのTIME誌で「世界で最も影響力のある100人」に選ばれるなど、国内外問わず注目を浴びている。
【2013年】スタンフォードの自分を変える教室
出版社: 大和書房 (2012年10月)/ケリー・マクゴニガル (著), 神崎 朗子 (翻訳)
「奇跡の授業」とも呼ばれたスタンフォード大学の超人気講義をまとめたこの本は、世界20ヶ国で出版され、日本のみならず、世界的ベストセラーとなった。内容は、学業で成功したり、優れたリーダーシップを発揮したりできるかは意志力にかかっているとし、意志力の強化方法を理論とともに紹介している。著者は、スタンフォード大学の心理学者、ケリー・マクゴニガル氏だ。
【2014年】まんがでわかる7つの習慣・まんがでわかる7つの習慣(2)
出版社: 宝島社 (2013年10月)/フランクリン・コヴィー・ジャパン (監修)
世界で3000万部、日本では160万部を突破した自己啓発本である『7つの習慣』を漫画化した本書が、2014年のベストセラーとなった。内容は、バーテンダーを目指す主人公が『7つの習慣』に出会い、成長し、成功してゆく物語。本書を読めば、7つの習慣の要点が短時間で理解できるようになっている。
【2015年・2016年】嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え
出版社: ダイヤモンド社 (2013年12月)/岸見 一郎 (著), 古賀 史健 (著)
哲学ブームが巻き起こった平成では、哲学者の教えをわかりやすく解説する本も人気となった。なかでも、2013年に発売された『嫌われる勇気』は徐々に売り上げを伸ばし、2015・2016年ともにベストセラー入りを果たしている。本書では、欧米で絶大な気を誇るアドラーの思想を、哲人と青年の対話形式でドラマチックに解説。「なぜ、変われないのか」「なぜ、劣等感を持つのか」などを紹介している。
なお、2016年には『嫌われる勇気』の続編となる『幸せになる勇気』も『嫌われる勇気』と並んでベストセラー入りとなった。
【2017年】はじめての人のための3000円投資生活
出版社: アスコム (2016年6月)/横山光昭 (著)
2017年は、「貯金感覚」でできる簡単投資法を紹介している本書がベストセラーとなった。投資信託ってなんだろう? という投資初心者が、投資を始めるきっかけとして読める本となっている。
【2018年】頭に来てもアホとは戦うな! 人間関係を思い通りにし、最高のパフォーマンスを実現する方法
出版社: 朝日新聞出版 (2014年7月)/田村耕太郎 (著)
著者の失敗をもとに生み出した、人間関係のストレスを緩和させる「人の動かし方」や、社会での生き抜き方が紹介されている。出版された年は2014年と少し前だが、2018年に急速に売り上げを伸ばし、ベストセラー入りを果たした。2018年には様々なテレビ番組にも取り上げられたほか、2019年に4月よりドラマ化もされるなど、注目を集めている書籍だ。
歴代のベストセラーを見ると、人々がどのような問題に関心を持っていたのかがよくわかる。特に、リーマンショックやバブル崩壊が起き、20年以上も経済が停滞した2000年代は、仕事や生活に役立つ自己啓発本や生活に密接した実用書なども人々の関心を集めたようだ。
興味のある書籍をみつけたら、このGW休暇中に読んでみてはいかがだろう。
文:成田千草
参照:「トーハン 年間ベストセラーアーカイブ」