2019年4月8日、Hotels.comが、2018年度「Hotel Price Index(HPI)」を発表した。HPIは、世界の旅行者が実際に支払った、1泊あたりの平均宿泊料金を調査したものだ。

最新のHPIによると、世界全体の旅行産業には減速の兆しは見られなかった。2018年、旅行客が一泊の宿泊に支払った金額は、太平洋地域を除くすべての地域で指標が上昇し、世界全体で3%上昇している。

2018年は、Brexit(ブレグジット)などによる不確かな政治情勢や、カリフォルニアでの山火事、南アフリカでの干ばつ、日本での地震など、世界各地が天災に見舞われている。そのような状況下でも、旅行業界は成長を記録。混乱による影響があったパリやエジプト、トルコといった都市、そして通貨変動のあった南アフリカ、自然災害に影響を受けた北米でも旅行客の回復がみられつつあるという。

発表内容の主なトピックスは、次の3点。

  • 世界全体の宿泊料金は3%上昇し、2004年以降で最高水準に
  • 日本人旅行者の海外旅行での平均宿泊料金は、主に欧州とアジア地域で、2桁%台の上昇を記録
  • 日本人旅行者が国内旅行で支払った1泊あたりの平均宿泊料金は、2017年と比較し横ばいの14,905円

日本人海外旅行者数は、過去最高を記録。多くの人気都市で宿泊料金が上昇


2018 年に日本人旅行者が世界の人気都市トップ10において支払った 1 泊あたりの平均宿泊料金および前年比

2018年の日本人海外旅行者は、およそ1,900万人(JTB総合研究所)。過去最高を記録した(前年比6%増)。2018年は、為替も米ドルでは小幅な円高傾向、ポンド、ユーロまた新興国通貨でも円高傾向が進行。日本人の海外旅行の追い風になったという。

そうした影響のもと、日本人旅行者に人気の旅行先トップ75に含まれる都市のうち、6割以上にあたる46都市において価格の上昇がみられた。日本人旅行者の人気都市トップ10に入った都市でも、台北を除き、全ての都市で価格の上昇している。

日本人旅行者が支払った平均宿泊料金が、1番高い都市は米国のホノルルで33,280円。一番安かったのは、フィリピンのアンヘレスの6,268円。その差は27,012円となっている。

日本人旅行者に人気の75都市のうち、もっとも平均宿泊料金が高かった上位5都市は米国の都市が占めた。ホノルル、ニューヨーク、ボストン、サンフランシスコ、タムニン(グアム)の5都市だ。

一方、もっとも平均宿泊料金の低い5都市は、全てアジアの都市となっている。アンヘレス、プノンペン、マニラ、チェンマイ、セブで料金が低かった。


2018年に日本人旅行者が支払った平均宿泊料金が上昇したトップ4の都市

宿泊料金の急上昇が目立ったのが、イスタンブールとパリだ。

トルコのイスタンブールは、2018年に平均宿泊料金が前年と比較してもっとも上昇した。17%の上昇を記録している。一時悪化していた治安が回復したことや、トルコリラの急落で割安感が出て、日本人旅行者が増加したことが要因として考えられるという。

2番目の上昇を記録したのがパリ(15%上昇)。2015年以降、治安に関する懸念から観光客数が落ち込んでいが、その後復活を遂げている。日本人観光客が戻ってきたことが、要因として考えられるようだ。


2018年に日本人旅行者が支払った平均宿泊料金が下落したトップ4の都市

対して、2018年にもっとも平均宿泊料金が下落した都市は、カンボジアのシェムリアップ。12%の下落を記録している。

国内旅行では、平均宿泊料金は横ばい。多くの人気都市で平均宿泊料金が下落


2018 年に日本人旅行者が国内旅行人気都市トップ10において支払った 1 泊あたりの平均宿泊料金および前年比

2018年に国内旅行で、日本人旅行者が支払った平均宿泊料金は14,905円。前年からほとんど変化しなかった。

日本人旅行者に人気の都市トップ10のうち、平均宿泊料金が1番安かった都市は名古屋。前年から1%下落している。

10都市の中でもっとも下落率が高かったのは大阪だった。前年比-9%となっている。2018年6月の地震の影響があったという。

上位10都市の中で、顕著な上昇を示したのが千葉。それ以外の都市では下落、横ばいまたは微増にとどまっている。

日本人旅行者に人気の上位10都市は、東京・大阪・京都といった定番都市が上位3位を独占した。古屋と広島が2017年から順位を2つ上げている。対して、沖縄と札幌はランクを2つ落とした。

北海道に関しては、2018年9月に発生した地震の影響が考えられるという。

割安に泊まれる5つ星ホテル


2018年に5つ星ホテルで日本人旅行者が支払った1泊あたりの平均宿泊料金が最も低かった海外都市トップ10

割安な価格で5つ星ホテルに泊まれる場所は、2018年も引き続きアジア圏であることがわかった。

上位10位にはフィリピンから3都市がランクインし、カンボジアからも2都市がランクインしている。


2018年に5つ星ホテルで日本人旅行者が支払った1泊あたりの平均宿泊料金の下落率が高かった海外都市トップ10

また、前年比で平均宿泊料金の下落率がもっとも高かったのは、カンボジアのプノンペン(-22%)。

カナダのトロント(-18%)、米国のサンディエゴ(-16%)がこれに続く結果となっている。

※調査概要:HPIでは、調査を開始した2004年を100ポイントとして設定。この指標を基準とすることで、為替の影響を取り除き、旅行者が実質的に支払った1泊あたりの宿泊料金(税およびサービス料を含む)の対前年比データを提供することを可能としている。

<参照元>
Hotels.com、2018年度「Hotel Price Index™(HPI™)」