ガートナー ジャパンは2019年4月2日、日本の「テクノロジー人材」について、注目すべき2019年の展望を発表した。

この展望は、テクノロジー人材の観点から今後3~5年間で重要になる動向を取り上げている。それによると、企業はテクノロジー人材関連の重大な影響を認識し、早期に取り組むべきと提言している。

テクノロジー人材の観点で重要となるポイントとは

テクノロジー人材の観点で重要となる予測として、以下を挙げている。

  • 2022年までに、60%以上の日本のユーザー企業のIT担当者は、無償のOSS、オンライン講座、有益な書籍を利用することで、AIに関して「自分で運転」する基礎的なスキルを獲得する

    これについて、ガートナーはこれまで、「どこからAIを勉強すればよいか」と悩む顧客からの問い合わせに対してAIを試行する機会を紹介し、すべてのケースで前向きな反応を得てきた。こうした状況は今後も継続し、また学習機会について確実に周知が進むと見込んでいる。
  • 2023年までに、人材の情報処理能力の改善に取り組まないIT部門の80%は、縮小戦略を取らざるを得なくなる

    今後、「人材の情報処理能力」が極めて重要になってくる。IT部門がこうした能力に注目せず、これまでどおりのスピードで情報収集・判断・行動を続けると、顧客満足度 (またはエンドユーザーの満足度)を素早く高めるという社会のトレンドに後れを取る恐れがある。ひいてはデジタル化の対応に関わるのが難しくなり、コスト削減や人員削減を核とする縮小戦略を取らざるを得なくなると、ガートナーは予測している。
  • 2024年までに、人月単価をベースとしたプロジェクトを実施する企業の90%は、OSSプロフェッショナル人材の獲得に苦慮する

    すべての企業は、そうした新しいIT領域や、モード2型アプローチを適用するデジタル・ビジネスではOSSスキルと人材が礎になっていることを認識し、今後の人材不足問題や人材獲得競争に備えるべきだと提言している。
  • 2022年までに、デジタルやモード2の推進に関して有効な対策を取れないシステム・インテグレーターの80%において、20~30代の優秀な若手エンジニアの離職が深刻な問題となる

    既存のSIビジネスは10年以内に破壊される可能性が高いと、ガートナーは予測している。これらの課題を解決する取り組みが一向に見られない企業では、優秀な人材ほど早く自社に見切りを付け、離職していくと予測している。
  • 2021年までに、国内のITベンダーから技術者を中途採用するユーザー企業は80%を超える

    既存のIT部門の人材を育成するだけではデジタル・ビジネスを実現できない企業が多いと、ガートナーはみている。そのため、これまではベンダーにアウトソースしていた作業の一部を自社で賄えるよう、ベンダーでの経験が豊富な人材を獲得することを推奨している。


※本調査は、20194月23~25日、東京都港区の八芳園本館で開催される「ガートナー ITインフラストラクチャ、オペレーション&クラウド戦略コンファレンス 2019」で発表するために行われた調査。

<参照元>
『ガートナー、日本のテクノロジ人材の将来に関する2019年の展望を発表』