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ビジネス発展に活用される信用スコア
シェアリングサービスやCtoCサービスなどが増え、さらに個人の影響力が増加している現在、課題となるのは相手への信用である。“個人の信用力”を可視化できれば、この課題は解決し、新たなエコシステムを作り出すことが可能となるだろう。
これまでは学歴、偏差値などが代表的な指標とされてきたが、新たな指標のひとつとして信用力を可視化した“信用スコア”が登場してきている。各サービスのレビューやサービスとの連携、さらにはライフスタイル等をもとに、その人が持つ信用力を算出するのだ。自身を違った側面から見るための新たな選択肢が増えたとも言える。
既に信用スコアの活用事例は増えている。例えば中国では、アリペイが提供する芝麻(ゴマ)信用が代表的だ。信用スコアを傷つけないよう、公共ルールを守ったり支払い期限を厳守したりと心がけている利用者は少なくない。
インドでは、個人向けモバイルローン企業のひとつであるシュブローンがユーザーのクレジットスコア算出のひとつとして信用スコアを取り入れている。本人から申告のあった個人情報や金融情報以外にも、GPSから読み取れる移動情報、ソーシャルネットワークにおけるつながり、インターネットにおける消費動向などのファクターを独自に解析し、スコアリングしているのだ。
日本においてもシェアリングやCtoCサービスが広がりつつある中で、信用スコアはサービスを円滑に進める要素のひとつとして必要となってくるだろう。それは限られた時間の中で、サービス提供者や利用者が双方を知るための情報がほとんど無いからだ。過去には、情報が少なかったり、適切な内容が得られなかったために、トラブルになるケースも起こっている。
信用スコアをAIで無料診断できる“AIスコア”
信用スコアと一言で述べてもいろいろな種類があり、各サービス事業者が独自に提供しているものもあれば、そうでないものもある。日本における先行企業であるJ.Scoreの“AIスコア”は無料で信用スコアの診断が可能だ。診断だけなら信用情報機関に記録が残る心配もないので、はじめての人でも安心して利用ができる。
AIスコアというのは、文字通りAIが複数の質問をベースにその回答からユーザーの信用力と可能性をスコアとして算出するものだ。性格やライフスタイルをはじめ、将来の行動につながる習慣化などの情報を、AIが機械学習の技術を活用して他のユーザーのビッグデータと検証、相関・因果関係などを見出して数値化していく。
AIスコアは、提供できる情報の種類や行動の変化によってスコアが変動するのが特徴だ。なおJ.Scoreに提供する情報は、自身で決定することができるため、その時々に応じて情報を出すことが可能である。
実際にスマートフォンからJ.ScoreのAIスコアを算出した。最初にアカウント登録をし、そこからチャットボットに流れてくる18問程度の質問に答える。求められる質問も“業種” “去年の収入” “家族情報”など、わずか2分ほどで回答できる内容だ。基本的に自身が知っている情報のため、回答を考えるのに時間がかかったり、苦労したりするような場面はほとんどないだろう。
“ニックネーム”で登録ができ、本名や電話番号といったプライベートな情報も確認されなかった。提供する情報も“生まれた年月”や“郵便番号の上3桁”といった内容のため、個人を特定する情報を出さなくてすむのはありがたい。
全ての項目を回答するとすぐに上記のようにスコアが表示された。最初の質問はおよそ全体の4%を回答したまでに過ぎないため、ここから“生活” “性格” “ファイナンス” “情報連携” “ウォレット” “プロフィール”の6つの質問に答えることで、スコアを変化させることが可能だ。
質問の回答順番も決められていないため、好きな質問から答えることができる。例えば項目を開くと、以下のように質問項目と質問数をチェックすることができる。まとめて時間を取ることが難しい場合には、質問数が少ないものから、すきま時間を活用して答えていくことも可能だ。趣味やライフスタイルなど答えやすい質問からトライしても良いかもしれない。
試しに“生活” “性格”という項目に全て回答したところ、スコアが15ほど変化した。こうしたスコア変化を楽しめるのもAIスコアの魅力ではないだろうか。
そして最大の特徴だが、AIスコアは自身のこれからの努力や習慣化といった、未来に向けた行動や選択によっても変化するスコアでもあるということだ。学歴や経歴といった限られた項目を数値化するのではなく、ライフスタイルや性格といったいろいろな情報を多角的に把握することで付けられるというのことも特徴的だが、こうした「過去」「現在」のみでスコアを決められてしまうと「評価された」ようなネガティブな印象も拭えないが、AIスコアの場合は、これからの自分の行動次第でもスコアを変化させることができるのが魅力ではないだろうか。
このAIスコアを活用したサービスには、提携先の企業から特典がもらえる“AIスコア・リワード”、個人向けの融資が受けられる“AIスコア・レンディング”などのサービスもある。まさにAIスコアによって可視化された信用力によって、リターンが受けられるのだ。
信用スコアの未来
信用経済社会と信用スコアは、“信用の重要性”が高まる日本社会において、ますます発展していくと考えられる。
今後は海外のように、ユーザー指標のひとつとしてサービスにおける商品の購入や優遇、レンディングにおいても指標として活用されてくる可能性はあるだろう。
信用力をスコアとして見える化することは、未来の社会システムやサービスのあり方にも変化を与えるかもしれないのだ。
だからこそ、今の自身がどれだけの信用力を獲得しているかどうか、まずはAIスコアで把握するところからはじめてみてはいかがだろうか。もし不安な場合には、AIスコアのシミュレーションからはじめてみても良いだろう。ぜひ早いうちに、自身の信用力を定量的に知ってほしい。