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富士経済は、「自動車関連インフラシステム/パーキング&シェアサービスの市場予測 2019」(※)をまとめ、その結果を発表した。
本調査では、ライドシェア(カープール型)や駐車場シェアリングなどのシェアサービス、コインパーキングをはじめとした自動車関連のパーキング&シェアサービス9品目を含め、駐車場や駐輪装置、充電器などインフラシステム14品目、計23品目の市場を調査・分析している。
なかでも主な結果は以下のとおりだ。
- ライドシェア(カープール型)の2030年市場規模予測は、2017年比187.1倍の134億円
- 駐車場シェアリングの2030年市場規模予測は、2017年比68.4倍の1,094億円
- カーシェアリングの2030年市場規模予測は、2017年比9.0倍の260億円
- パーキング系インフラシステムの2030年市場規模は、2017年比2.7倍の4,996億円
- パーキング&シェアサービスの2030年市場規模は、2017年比2.2倍の1兆3,338億円
※調査概要
- 調査方法
富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用 - 調査期間
2018年8月~11月 - 調査対象
- インフラシステム
- 駐車装置・機器(機械式パーキングシステム)
- 駐輪場管理システム・自走式立体駐車場(プレハブ・建物型)
- 普通充電器(プライベート)
- 駐車場管理システム
- 普通充電器(パブリック)
- 駐車場管制・案内システム
- 急速充電器・駐車アシスト
- 支援システム(リモート駐車システム)
- ワイヤレス給電システム
- 自動バレーパーキングシステム
- 電動バイク用充電器
- 駐輪装置
- V2Xユニット・システム
- パーキング&シェアサービス
- コインパーキング
- バレーパーキングサービス
- カーシェアリング
- 充電器ネットワークサービス
- レンタカー
- 駐輪場
- ライドシェア(カープール型)
- シェアサイクル
- 駐車場シェアリング
ライドシェア(カープール型)の2030年市場規模予測は、2017年比187.1倍の134億円
ライドシェア(カープール型)について同社が行った市場規模の予測は以下のとおり。
- 2018年見込:1億円
- 2030年予測:134億円(2017年比:187.1倍)
目的地を同じくするドライバー・利用者がガソリン代・高速代などの交通費を割り勘(ドライバーの利益はなし)するカープール(相乗り)型のライドシェアが対象。市場は、ドライバーと利用者をマッチングさせる仲介手数料をもとに予想している。
メディアなどでも頻繁に取り上げられたシェアリングエコノミーの1つとして認知が広がり、2018年には認知度がさらに高まると推測されること、また事業者がイベント会社・地方自治体と連携し積極的にPRを行ったことより、同社は市場が1億円に達すると推測。
今後、ライドシェア事業者が将来的にTNC(Transportation Network Company)と類似したサービスを展開可能なよう行政に働きかけていることや、政府がタクシードライバー高齢化に伴うドライバー人材不足を危惧していることなどから、2025年頃より、市場活性化が期待されるとしている。
駐車場シェアリングの2030年市場規模予測は、2017年比68.4倍の1,094億円
駐車場シェアリングについて同社が行った市場規模の予測は以下のとおり。
- 2018年見込:35億円(2017年比:2.2倍)
- 2030年予測:1,094億円(2017年比:68.4倍)
駐車場シェアリングとは、専門事業者が仲介役となり、個人・企業が保有する空きスペースを利用者へ貸し出すシステムのこと。一方、利用者はパソコン・スマートフォンなどで専用の地図から駐車場を検索し、利用可能な状態であれば予約をする。市場規模は、この際の仲介手数料をもとに予測する。
駐車場シェアリングは利用者にとって使い勝手がよいからサービス加入者数は増加を続けており、市場は拡大している。また駐車場シェアリングは、不足するコインパーキングをカバーするサービスとしても注目されており、同社では今後も大幅な市場拡大が期待されるとしている。
カーシェアリングの2030年市場規模予測は、2017年比9.0倍の260億円
カーシェアリングについて同社が行った市場規模の予測は以下のとおり。
- 2018年見込:36億円(2017年比:124.1%)
- 2030年予測:260億円(2017年比:9.0倍)
カーシェアリングとは、会員が車をシェアして利用するシステムを指す。市場規模はサービス料をもとに予測。
カーシェアリングには「ラウンドトリップ方式」「ワンウェイ方式」の2種類がある。ラウンドトリップ方式とは車を借りた場所と返す場所が同じ方式で、ワンウェイ方式とは、借りた場所以外でも車を返せる方式を指す。日本のカーシェアリング市場では、このうちラウンドトリップ方式が大半となっている。
利便性が高いことが口コミでも評判となり会員数が増加し、市場が拡大しつづけている。
2020年の東京五輪開催に伴い、同社は各事業者が車両台数・ステーション数を増やしていくと推測。利用者にとってカーシェアリングがより身近になることから、同社では会員層が増加し市場規模の拡大につながるとみている。
パーキング系インフラシステムの2030年市場規模は、2017年比2.7倍の4,996億円
パーキング系インフラシステムについて同社では、以下のように市場規模を推測。
- 2018年見込:1,964億円(2017年比:105.4%)
- 2030年予測:4,996億円(2017年比:2.7倍)
また主要な各パーキング系インフラシステムについては、以下のように推測している。
- 自走式立体駐車場(プレハブ・建物型)
- 駐車装置・機器(機械式パーキングシステム)
- 駐車場管制・案内システム
- 駐車アシスト・支援システム(リモート駐車システム:STEP3)
- 自動バレーパーキングシステム
- 駐輪装置・駐輪場管理システム
- 普通充電器(プライベート)
- 普通充電器(パブリック)
- 急速充電器
- ワイヤレス給電システム
- 電動バイク用充電器
- V2Xユニット・システム
今後も中核都市の郊外部や一部の都心部において、商業施設の附置駐車場(プレハブ・建物型)を中心として需要が増加すると推測
メインの提供先であるマンション向けの回復をきっかけに、今後は伸びていくと推測
市街地の駐車場案内版、高速道路の広域駐車場案内板として導入されている。2030年には広域道路情報システムの一部に統合されるので、需要は減少すると推測
リモートから車両をコントロールするシステムのこと。現在は一部車種での採用にとどまっているものの、駐車スペースが狭くて駐車が苦手なドライバーが多い日本にはマッチしていることから、将来的には一定規模の市場が形成されると推測
2020年初めの実用化を目指し、研究開発が進められている。
2020年までは自転車活用推進法で駐輪場が増えるとみられるが、2020年以降はリプレース需要が中心となって横ばいになると推測
現状では、PHV・EV保有者の90%以上が戸建住宅に住んでいるため、現時点では戸建て住宅向けが中心。ただし車両1台に対し1台が必要になるため、PHV・EV普及拡大により今後は集合住宅・事務所などでも設置が進むと推測。
設置がすでにひろがっている。また普通充電器(プライベート)の高出力化、車載バッテリー大容量化によって航続距離が延伸し、存在感が薄まっている。しかしPHVにおける外出先の充電用途としては需要があり、急速充電器と価格に開きがあることから需要が増加すると推測。
50kW・150kW・350kW以上へ大容量化が進むと推測。より具体的には2019年頃から150kW機種の普及が始まり、2030年頃には350kW以上の超急速充電器も市場に登場すると予測。
駐車スペースで給電する停車中給電用途においては、普通充電器・急速充電器を代替する可能性を秘めている。ただし実用が本格化するのは2020年以降になると予測。
2018年7月から東京都が電動バイクに対する事業者向け補助金を導入したことにより伸びるものの、個人の需要を増やすことにはつながらないことから、緩やかな伸びにとどまると予測。
震災・台風など被災時の緊急電源として、その重要性が見直されている。また徐々にではあるがEVの販売価格が安くなっており、V2Xユニット・システムの導入が検討されやすい環境が整いつつあり、2025年以降の需要増加が期待される。
パーキング&シェアサービスの2030年市場規模は、2017年比2.2倍の1兆3,338億円
パーキング&シェアサービスについて同社では、以下のように市場規模を推測。
- 2018年見込:1兆3,338円(2017年比:105.8%)
- 2030年予測:2兆7,180億円(2017年比:2.2倍)
また、各項目について同社は以下のように推測している。
- コインパーキング
- レンタカー
- バレーパーキングサービス
- 充電器ネットワークサービス
- 駐車場
- シェアサイクル
事業者が東京23区内を中心とする狭小物件の争奪から、各都道府県の郊外での大型物件への展開に営業戦略を変更したことにより伸びている。しかし2025年以降、新車販売台数・ドライバー人口の減少が予想され、今後伸び率が鈍化するものと推測。
若い世代の自動車保有に対する価値観の変化や、一部の法人で社用車が減少していること、訪日外国人の増加などから今後も伸びると推測。
ホテル・商業施設などの駐車代行サービスで世界的にみられる。ホテル・商業施設・空港など限定的ではあるものの、今後、国内でカジノが本格的に展開されれば、需要は増加すると推測。
PHV・EV普及拡大によりのびている。2025年頃には、自動車メーカー各社のPHV・EVの車種ラインナップ拡充で販売台数が増えると考えられ、充電器ネットワークサービスも伸びると推測。
1994年に改正されたた「自転車の安全利用の推進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律」により、放置自転車対策が推進されてから伸びている。くわえて2018年に閣議決定された自転車活用推進計画により、シェアサイクル・通勤時の自転車利用が増えると想定され、駐輪場も増えると推測。
2016年末の自転車活用推進法成立、2020年の東京五輪開催などにより、多くの企業が2017年~2018年に算入。急激な伸びをみせている。2018年に閣議決定された自転車活用推進計画において2020年度目標としてシェアサイクルのポート数を1,700箇所まで増やすと決定されたことにより、さらなる伸びを推測。
<参照元>
「自動車関連インフラシステム/パーキング&シェアサービスの市場予測 2019」
富士経済