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パーソル総合研究所が、「副業の実態・意識調査」を実施した。
副業に関する個人や企業の実態把握を行い、企業がとるべきアクションを明らかにするのが目的だ。今回リリースされたのは、「企業編」となっている。
調査期間は、2018年10月26日~30日。従業員10人以上の企業に勤める人事担当者、 20〜69歳を性別不問でスクリーニングし、調査対象とした。そのうち副業許可企業がn=300、副業禁止企業がn=700となっている。
判明したトピックスは、次の8項目。
- 副業を認めている企業(条件付き許可を含む)は50.0%。全面禁止も50.0%と拮抗
- 企業が副業許可を始めた時期は3年以内が52%。そのうち1年以内が22.8%で、近年増加傾向
- 副業許可でプラスの効果は、人材採用で45.9%、離職防止で50.9%、モチベーション向上で50.3%、スキル向上で49.7%、社外人脈拡大で52.2%
- 副業許可の方法について、全面許可の方が会社へのロイヤリティ、本業のパフォーマンスが高まることが明らかに。同時に、過重労働やトラブル発生などのリスクも高まる
- 本業によるフォロー体制は、モチベーションやロイヤリティを高める
- 副業許可の主導は、従業員1,000人以上の場合は人事部門が最多(61.7%)、100人未満は経営・役員陣が最多(43.8%)
- 全面禁止している企業の70.9%は、今後も禁止を継続。理由でもっとも多いのは、「過重労働につながるから」で49.2%
- 企業規模が大きくなるにつれて、副業の全面禁止の割合は高くなる傾向。また、設立年数が長い企業ほど、全面禁止の割合が増加する傾向も
副業の許可状況
調査ではまず、副業の許可状況を調べている。
人事担当の回答によると、副業を認めている企業(条件付き許可を含む)は50.0%。全面禁止も50.0%となり拮抗する結果となった。全面許可の企業も13.9%存在している。
副業の許可開始時期
企業が副業許可を始めた時期については、3年以内が52%で、そのうち1年以内が22.8%。近年増加傾向にあるという。
調査を行ったパーソル総合研究所によれば、2018年1月に厚生労働省が行ったモデル就業規則の改定などを受け、企業側の副業許可の動きがさらに広がっていると推察されるとのことだ。
副業許可による効果
副業許可で、プラスの効果を感じている企業の割合を調べた。
結果、人材採用で45.9%、離職防止で50.9%、モチベーション向上で50.3%、スキル向上で49.7%、社外人脈拡大で52.2%、となっている。
副業を許可した企業が感じているメリットは大きく、効果を感じていない企業は1~2割以内と少ないとの評価がある。
副業許可の方法について、条件付き許可と全面許可を比較
調査では、副業許可の方法について、条件付き許可と全面許可を比べている。
結果、全面許可の方が会社へのロイヤリティ、本業のパフォーマンスが高まることが明らかになった。しかし、全面許可の企業では過重労働やトラブル発生などのリスクも高まるという。
「まずは条件付き許可から始めることが望ましい」との見解が示されている。
モチベーションやロイヤリティを高める要素
副業の労働時間や働き方などの把握など、本業によるフォロー体制が、モチベーションやロイヤリティを高める結果となった。
パーソル総合研究所では、「企業側のスタンスとしては、過度に干渉するのではなく、副業に理解を示し、バックアップしていくような体制を敷くことが望ましいと考えられる」と分析している。
副業許可を主導する部門は
副業の許可は、どの部門が主導しているのか調べている。
結果、従業員1,000人以上の場合は、人事部門が最多(61.7%)だった。100人未満では、経営・役員陣が最多(43.8%)となっている。
現在副業を禁止している企業の意向
副業を禁止している企業に、今後の意向を聞いた。
全面禁止している企業の70.9%は、今後も禁止を継続すると回答している。禁止の理由でもっとも多いのは、「過重労働につながるから」で49.2%だ。
副業許可の最も大きな壁となるのが、過重労働に対する懸念だという。副業者本人による労働時間のセルフマネジメントと同時に、企業による対策の必要性が指摘されている。
企業規模・設立年数による、副業の許可状況
副業の許可状況をみると、企業規模が大きくなるにつれて、副業の全面禁止の割合はおおむね高くなる傾向だ。
ただし1,000~1万人未満で全面禁止59.2%、企業規模1万人以上で同54.5%と下がる、という現象もみられる。
また設立年数が長い企業ほど、全面禁止の割合が増加する、という傾向も確認された。
img:パーソル総合研究所