富士経済より健康志向食品※の国内市場を調査した結果について発表された。

※健康志向食品:健康(Health)や美容(Beauty)に良いというコンセプトをもった商品(H・Bフーズ)のうち、一般加工食品に健康や美容に良いという成分を添加、強化した食品と飲料(明らか食品とドリンク類。

健康志向食品の国内市場は、トクホ飲料、機能系ヨーグルト・ドリンクヨーグルト、エナジードリンク、機能性表示食品の新商品投入などにより2012年から拡大を続けている。

この調査では、健康志向食品を生活習慣病予防、タンパク質・アミノ酸補給、免疫賦活作用などの訴求効能別や、成分別に分類し、市場を調査・分析した。

調査期間は、2018年8月~10月。調査対象は、健康志向食品(明らか食品、ドリンク類)。富士経済専門調査員による参入企業、および関連企業・団体などへのヒアリング、および関連文献調査、社内データベースを併用することで、実施されている。

結果の概要を、以下に示す。

  • 健康志向食品(明らか食品・ドリンク類)市場は、前年比2.0%増の1兆4,260億円
  • 「生活習慣病予防」は、2,534億円で市場は横ばい
  • 「タンパク質・アミノ酸補給市場」は、2年連続二桁増
  • 「免疫賦活作用」は、前年比5.1%増の1,370億円

健康志向食品市場は、前年比2.0%増の1兆4,260億円

近年の健康志向食品市場は、2012年以降拡大を続けている。

主に生活習慣病予防のトクホ飲料、免疫賦活作用の機能系ヨーグルト・ドリンクヨーグルト、滋養・強壮のエナジードリンク、2015年にスタートした機能性表示食品の新商品投入が寄与している。

2018年は、前年比2.0%増の1兆4,260億円が見込まれるという。

これには、「恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト ドリンクタイプ」(雪印メグミルク)、「カゴメトマトジュース」(カゴメ)、「カラダカルピス」(アサヒ飲料)などの機能性表示食品が好調なことが影響しているようだ。

加えて、エナジードリンクが販路の拡大、「南アルプス PEAKER ビターエナジー」(サントリー食品インターナショナル)など女性や中高年層の需要を獲得する食品が発売されたこと、タンパク質・アミノ酸補給、免疫賦活作用の拡大があったという。

「生活習慣病予防」は、2,534億円で市場は横ばい

注目市場としては、「生活習慣病予防」がある。これは、生活習慣病のリスク低減を訴求した、飲料や食品を対象とする。

市場は、2012年から2017年まで二桁増が続いた。これは、特定保健用食品として許可された飲料(トクホ飲料)の人気と、2015年にスタートした機能性表示食品の新商品投入によるものだという。

調査を行った富士経済では、2018年は特定保健用食品が前年比6.3%減、機能性表示食品は同18.2%増を見込んでいる。

消費者にとって、商品に表示されている機能にあまり差が感じられないことから、ライトユーザーを中心に特定保健用食品からより低価格な機能性表示食品へ需要が移行している、というのが理由のようだ。

機能性表示食品は二桁増となるものの、低価格な商品が多く市場規模が小さいことから特定保健用食品の落ち込みをカバーできず、全体市場は横ばいになる、とみている。

ドリンク類と明らか食品という区分では、ドリンク類が9割程度を占める。

ドリンク類は、飽和感がでてきていという。トクホ飲料が苦戦していることに加え、機能性表示食品においても難消化性デキストリンを関与成分とした商品にラインアップが集中している状況が指摘されている。

市場規模は小さいものの、明らか食品は、中高年を中心とした需要を獲得し拡大している。調味料を筆頭に、ヨーグルト、菓子、米飯類、畜肉加工品など幅広い食品カテゴリーで商品が展開される状況があるようだ。

「タンパク質・アミノ酸補給市場」は、2年連続二桁増

「タンパク質・アミノ酸補給」は、アミノ酸やプロテインの補給を訴求した飲料(ゼリー飲料含む)やバータイプの食品を対象とし、粉末・顆粒状のものは含まない。

2017年は2012年以来の二桁増となった。

同社によると、近年、ダイエットはしっかり食事をし、適度な運動で健康的に痩せる方が良いという考えが広がり、ダイエットに有効であるプロテインを手軽に摂取できるプロテインドリンクの需要が増加しているという。特にゼリー飲料が好調のようだ。

2018年は、2年連続二桁増が見込まれている。ゼリー飲料の好調が続いていることに加え、チルド飲料「ザバス ミルクプロテイン」(明治)がコンビニへの配荷が増え、ライトユーザーの需要を獲得したことが寄与しているという。

東京五輪に向けたスポーツ人口の増加や、健康維持や体づくりを目的としたランニングやヨガなどの軽い運動を行う人々の増加などから、エントリーユーザーやライトユーザーによる飲用が増えることで市場は拡大を続ける、と予測されている。

「免疫賦活作用」は、前年比5.1%増の1,370億円

免疫賦活作用市場は、高機能乳酸菌やプロポリスなど、免疫機能の強化を訴求した飲料や食品を対象とする。

2012年にNHKの情報番組で「R-1乳酸菌」入りヨーグルトのインフルエンザ予防への効果が取り上げられたことで市場は急拡大し、2016年まで二桁増が続いた。

2017年にヨーグルトブームは沈静化したが、2018年はインフルエンザの流行時期を前に“まもり高める”、“バリアする”などのキーワードを使用し、ハウスウェルネスフーズ、大塚製薬、コカ・コーラシステムが乳酸菌飲料やゼリー飲料などで相次いで新商品を発売した。

同社では、「ボディメンテ ドリンク」(大塚製薬)などでは積極的なプロモーションも展開されており、市場拡大に寄与するとみられることから、前年比5.1%増の1,370億円が見込まれる、としている。

img:富士経済