コーヒー店チェーンやレストランチェーンを展開するスターバックスは2018年12月14日、グローバル展開の直営店で2020年までに100%ケージフリー卵(平飼い卵、放牧卵など鶏をケージに閉じ込めずに生産した卵)で調達し、鶏をケージに閉じ込めた生産を中止すると発表した。

これは、日本から唯一アニマルライツセンターが参加したオープン・ウィング・アライアンス(Open Wing Alliance:OWA)によるキャンペーンの結果であるという。2018年4月に開始したキャンペーンには、日本からはアニマルライツセンターが世界中の55以上の動物保護団体が加盟し、鶏をケージから解放する運動の国際連盟OWAメンバーとして参加。またザ・ヒューメイン・リーグ・ジャパンが国内で支援した。

世界20,000店舗で適応する100%ケージフリー卵調達


今回のスターバックスの決定は、グローバル展開している主要レストランチェーンとして、初めての全世界拠点でのケージフリー政策になるという。この政策はアメリカ、ヨーロッパ、日本、中国の約20,000店舗に適応される。アメリカのスターバックス本社によると、完全子会社化である日本のスターバックスコーヒージャパンにも、今回の政策が適用されるという。

また、日本の企業として初めて、「2020年」までにケージ飼育の卵の廃止を決定した。これまでユニリーバ、ネスレ、インターコンチネンタルホテルズグループ、コンパスグループなどの世界的大企業は、日本も含む世界中のサプライチェーンで残酷な採卵鶏のケージ飼育を廃止するとしている」が、2025年までに廃止予定だ。これにより、スターバックスは残りあと1年強での切り替えは、平飼い卵生産の追い風になる見込みだ。

今後は世界中すべてのスターバックス店舗での実施を目指す

スターバックスのケージフリー政策は、殻付き卵と、原材料に使用される液卵の両方に適応される。このため、焼き菓子、サンドイッチ、ラップ、キッシュ、プリンなどの全てのメニューにケージフリー卵が使用されることになる。

ただし、ライセンス契約の店舗はこの制作に含まれておらず、今後、時期は未定だが、市場の変革をさらに進めるために、スターバックスはライセンスを取得して営業している店舗とも協力し、ケージフリーの取り組みを広げ、世界中すべてのスターバックス店舗で100%ケージフリーの卵を調達できるよう取り組んでいくという。

スターバックスに対してケージフリーを求める運動は、世界的から多数の強力な動物保護団体が共同して1つのレストランチェーンに働きかける、はじめての世界規模のキャンペーンだ。

日本からは唯一アニマルライツセンターが参加、2018年4月にチェコ共和国プラハで開催されたオープンウィングアライアンスのグローバルサミット期間中、スターバックスに対する抗議デモに100人以上が集まったという。これをきっかけに、今回の世界的なキャンペーンへ発展したという。

キャンペーンではChange.orgの署名や、SNSでのアクションも用いられた。署名はオープンウィングアライアンスのメンバー団体によって多言語に翻訳され、世界中から2週間弱で188,000筆が集まったという。

OWAの取締役であるアレクサンドリア・ベック氏は次のようにコメントしている。

「スターバックスが残酷な採卵鶏のケージ飼育を廃止する立場をとり、世界に前例をつくったことを称賛します。全ての国に適応されるケージフリーの政策を発表したのは、スターバックスが初めてです。」

世界中の多くの企業がケージ卵の使用の中止を発表

採卵鶏のケージ飼育とは、世界中で非難を浴びている卵を生産する鶏を狭く不衛生なケージに閉じ込めて飼育すること。ケージの中で鶏は鶏らしい自然な行動を取ることができず物理的にも精神的にも苦しめられており、鶏の福祉が守られていないからだ。

日本の92%の養鶏場はバタリーケージとよばれる、ケージの中でも特に狭いケージで卵を生産しているという。バタリーケージはその残酷性からEUやその他のいくつもの国・州で禁止されている。バタリーケージだけでなく、ケージ飼育そのものを廃止していこうというのが今の国際的な流れとなっており、スイス・オランダ・オーストリア・ドイツなどではケージ飼育が禁止、または禁止予定となっているという。

世界中の数多くの企業がケージ卵の使用を中止すると発表しており、日本でもネスレや西洋フーズ・コンパスグループなどの企業がケージフリーの政策を掲げている。

img:PR TIMES