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エン・ジャパンは、自身の運営する人事向け総合情報サイト「人事のミカタ」において、サイトを利用している企業を対象に「ダイバーシティ(多様性)推進」に関するアンケート調査(※)を実施した。
その結果、過半数を超える企業がダイバーシティ推進の取り組みを行っていないと回答。反対にダイバーシティを推進している企業の特徴・業種は、「広告・出版・マスコミ」で、企業規模は「1,000名以上」だった。
またダイバーシティを推進する理由として、「優秀な人材の確保」「働きやすい職場づくり」「多様化する市場への対応」といった回答があげられた。
ダイバーシティ推進の具体的な取り組みとして最も多かったのは「多様性のある人材の採用」。特に積極的に採用している人材は「女性」で、最も少ないのは「LGBT」だった。
※調査の概要
- 調査方法:インターネットによるアンケート
- 調査対象:「人事のミカタ」を利用する企業
- 有効回答数:563社
- 調査期間:2018年9月26日~10月30日
過半数の企業がダイバーシティを未実施
企業の経営者や人事担当者に自社でダイバーシティへの取り組みを実施しているか聞いたところ、「実施している」(32%)と比較して、「実施していない」(59%)と回答した企業が約2倍という結果となった。
業種別では、最も多く取り組みを実施しているのは「広告・出版・マスコミ関連」(50%)で、「その他」(41%)をのぞけば、「メーカー」(42%)や「サービス関連」(34%)が続いた。
逆に最も実施していないのは「不動産・建設関連」(77%)で、「商社」(69%)や「流通・小売関連」(64%)という結果に。
企業規模別で比較すると、「実施している」との回答が最も多かったのは、従業員「1,000名以上」(58%)の企業。以下、「300~999名」「100~299名」がいずれも36%、1~99名では26%と企業規模が小さくなるにつれ、実施率が低下していった。
ダイバーシティ推進の目的は「優秀な人材の確保」「働きやすい職場づくり」「多様化する市場への対応」
ダイバーシティを推進しているという企業に対し、その理由を聞いたところ特に多かった回答のトップ3は以下のとおりだった。
- 「優秀な人材を確保するため」(58%)
- 「働きやすい職場にするため」(52%)
- 「多様化する市場に対応するため」(49%)
そのほか、「社会的責任のため」(37%)や「法律遵守のため」(28%)などの回答が続いた。
ダイバーシティ推進の具体的な取り組みで最も多いのは「多様性のある人材の採用」、積極的に採用しているのは女性、最も少ないのは「LGBT」
ダイバーシティを推進しているという企業に対し、具体的な取り組みについて聞いた。結果、最も多かったのが「多様性のある人材の採用」(77%)。以下、「多様性のある雇用形態・就業規則」(31%)・「多様性のある組織配属」(29%)などが続いた。
次に「多様性のある人材の採用」と回答した企業に対し、実際にどのような人材の採用を進めているか聞いたところ、ダントツで最も多かったのが女性で全体の約8割(79%)に及んだ。女性と約30%以上下がって、「外国人」(50%)・障がい者(46%)が続いた。逆に最も少なかったのは「LGBT」で全体の約1割(12%)にとどまっていた。
ダイバーシティを推進する上での悩み
このアンケート調査では、ダイバーシティを推進する上での具体的な悩みについても、各企業から聞いている。以下、その一部を抜粋して紹介する。
- 「ダイバーシティ」という言葉が一般化していかないと、企業と該当社員の間に距離ができてしまうと思う。(流通・小売関連/1~9名)
- BtoCのビジネスなので、お客様など周囲からの評判が気になる。(サービス関連/10~29名)
- 社員数が少ないため、ダイバーシティの推進に賛同しない社員がいると、逆にその社員がマイノリティとなり社内環境が悪くなる。(金融・コンサル関連/30~49名)
- 性別に関するダイバーシティの推進は、トイレの整備などインフラ面で対応が困難な場合が多く、人事側だけで対応できないことが多い。(広告・出版・マスコミ関連/100~299名)
- 経営陣が高齢で、固定観念が強く残っておりダイバーシティを推進しにくい。また多様性を認め過ぎると既存社員の業務に影響がでないか心配。(流通・小売関連/300~999名)
- 会社という大きな組織では理解が進んでいる。一方、職場単位でみると、個々の問題が起きている。自身が該当する社員との関係性か高くなった時の意識や行動の重要性を理解してもらわないと、真のダイバーシティは進まないと感じる。(メーカー/1,000名以上)
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