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日本能率協会(JMA)は、第9回「ビジネスパーソン1,000人調査」を実施し、2018年11月21日その結果を発表した。今回は「チームの雰囲気」が働く人の満足度やモチベーションにどう影響しているか、その意識を調査した。
その結果、魅力を感じるのは「助け合う」チームで、助け合いやコミュニケーションがチームへの満足度を高める要因になることがわかった。
半数強が職場のチームの雰囲気に「満足」
この調査は、2013年より全国のビジネスパーソン1,000人に対し、職場や仕事に対する考えについて意識調査を行っているもの。働く人々に焦点を当て、その時々の旬の話題をデータで紹介するシリーズだ。
今回の調査での「チーム」とは、所属するもっとも身近な部署の単位(課・グループ)と定義している。対象は日本能率協会総合研究所「JMARリサーチモニター」のうち、全国の20歳~69歳までの正規・非正規雇用の就業者(企業や団体で働く正社員、役員、経営者、契約・嘱託社員、派遣社員。ただしパート・アルバイト、医師・弁護士などの専門職業、自由業を除く)である。
まず、「あなたは現在所属しているチームの雰囲気に満足していますか。」と聞いた。その結果、現在の職場のチームの雰囲気、「満足」は半数強だった。50代、非正規職員では、過半数が満足せずだった。満足の理由は、「困ったときの助け合い」「創意工夫」「情報共有や学びあい」ができているからだという。
一方、満足していない理由は、「フェアな評価」「困ったときの助け合い」「本音を話す」がなされていないからだった。
現在所属している職場チームの雰囲気への満足度を聞いたところ、全体では、「とても満足している」が10.9%、「やや満足している」が43.6%、と満足している人が半数を超えた。
年代別でみると、20代、60代は約6割が満足している一方、50代では、満足している人が半数に達していなかった。
雇用形態別でみると、正規職員と非正規職員では、9.2ポイントのギャップがあった。
次に、チームの雰囲気に満足している人545人にその理由について聞いた。その結果、「困ったときに互いに助け合うから」が39.6%ともっとも多く、次いで「自分なりの創意工夫で仕事を進めることができるから」が27.2%、「互いに情報を共有したり学びあったりしているから」が22.2%と続いた。
性別でみると、女性では、「困ったときに互いに助け合うから」が男性より7.1ポイント高い43.7%となり、4割以上の人が“助け合い”を満足の要因としている。
男性では、「互いの貢献を認め合えているから」が19.4%と、女性よりも6.8ポイント高い結果となった。
満足していない理由は「フェアな評価がなされていない」
一方、チームの雰囲気に満足していない人455人にその理由を聞いたところ、「フェアな評価がなされていないから」の24.0%がもっとも多かった。次いで、「困ったときにも互いに助け合うことがないから」の21.8%、「互いに本音を話せないから」の21.3%が続いた。
性別でみると、女性では、「互いに本音を話さないから」が22.9%と第2位となっている。また、女性では、「チームリーダーが独断で物事を決めるから」が男性より6.2ポイント高い17.6%、男性では、「チームのビジョンや目標が共有されていないから」女性より4.0ポイント高い18.8%となっている。
魅力あるチームは困ったときに助け合えるチーム」
どのようなチームに魅力を感じるか聞いたところ、「困ったときに助け合えるチーム」の47.0%がもっとも多く、次いで「メンバー同士が仲の良いチーム」の29.5%、「コミュニケーションが活発なチーム」の28.2%が続いた。
現在のチームに満足している人(満足群)と満足していない人(不満群)で比較したところ、トップはともに「困ったときに助け合えるチーム」になっているものの、不満群では、2位に「コミュニケーションが活発なチーム」が27.9%、3位「メンバー同士が仲の良いチーム」が24.6%だった。
JMAでは、不満群では、仲が良い以前に、まずはコミュニケーションを望んでいることがうかがえるとしている。
また、この調査結果において、「困ったときに互いに助け合う」が、チームに満足する理由の第1位に挙げられたのと同様に、良好な人間関係がチームへの満足度の重要な要素となっているようだと分析している。
職場のチームリーダーが、チームの雰囲気を良くすることができているか聞いたところ、全体では、「できている」(「よくできている」と「ややできている」の計)は38.9%、「どちらでもない」は33.4%、「できていない」(「あまりできていない」と「まったくできていない」の計)は、27.7%となった。
そして、現在のチームに満足している人(満足群)と満足していない人(不満群)で比較したところ、満足群では、「できている」が6割を超えたのに対し、不満群では「できていない」が5割を超えるなど、リーダーのチームマネジメント力が問われる結果となった。
上司から言われてやる気がでる一言は「ありがとう」
上司から言われて嫌だと思う一言を聞いたところ、全体では「使えないな」の33.8%がもっとも多く、次いで第2位:「そんなこともできないのか?」が32.6%、第3位:「余計なことをするな」が23.4%だった。
逆に、上司から言われてやる気がでる一言を聞いたところ、全体では、「ありがとう」が35.1%がもっとも多く、次いで第2位は「よくやった」の23.9%、第3位は「頑張ってるね」の19.8%となった。
性別でみると、各上位3項目の言葉を選択した人は、いずれも女性の方が多く、特に「ありがとう」では15.9ポイント、「頑張ってるね」は13.2ポイント男性より高い結果がみられた。
JMAではやってあたり前と思われるのではなく、その過程を見てもらいたいという意識の表れと推察している。
<参照元>
「ビジネスパーソンの“今”をデータで読み解く 第9回「ビジネスパーソン1人調査」【理想のチーム編】」
JMA