NAMは2018年11月9日、2018年11月より医療用緊急性判断チャットボットをイーサリアムネットワークと同期する形でブロックチェーン化し、LINE/Telegramその他とクロスプラットフォームでシステムが運用されると発表した。
今回、NAMでは同社のボットシステム「ドクターQ」に主に3点改良を加えたという。ドクターQに貯蓄されたデータはイーサリアムネットワークと同期されることで、プライベートかつパブリックであるハイブリット型のブロックチェーンを実現したとしている。
そもそも「ドクターQ」とは、症状を伝えることで、ユーザーの体調の緊急性を判断するシステムだ。
NAM社の代表である中野哲平氏が2016年度に独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の未踏事業(未踏IT人材発掘・育成事業)にて個人で開発したボットシステムがもととなっており、これについて今回大幅なアップデートが行われた。
以下が今回アップデートされた内容である。
- ボタン式から自然対話型へ
- 複数のプラットフォームへの展開
- ドクターQのブロックチェーン化
これまではボタン式の対話だったが、より柔軟な情報取得に特化した自然対話型へ転換した。また各ユーザーにとってより身近なチャットボットとして使用でき、さまざまな相談をうけるためにUXにこだわった仕様に変更しているという。
今までは日本人の方に向けた日本語対応のLINEボットのみの提供だった。しかし、今後は国別におけるTelegram, Facebook messenger, Twitterなど人気SNSプラットフォームに対応する。
また、国内においてもスマホの使用を前提としたチャットボットではアプローチできなかったシニア層も不便なく使用できるよう音声を利用したスマートスピーカー対応にも取り組んでいく。
同社では、ドクターQに集まってくるデータの品質と可視性を担保するためブロックチェーンを利用した。生物医学研究および臨床試験に使用されるデータのガバナンスは、正確な結果を生成するための重要な要件だ。
臨床試験結果の改ざんなど過去には大きな事件が発生している。NAMでは、ドクターQをブロックチェーンで管理することで、新しいデータ管理法を実現した。それによりドクターQに貯蓄されるデータは、ただのAIによるBOTの対話データに止まらず、改ざんされていない生データであり安心して二次利用できる貴重なデータになるという。
データをローカルのブロックチェーンに記録し改ざん不可能に
DoctorQchain技術は、ドクターQに集まってくる大量の医療情報をブロックチェーンに載せるのではない。Docker上で構築したPythonプラットフォームを同社が開発し、医療機関でノードの立ち上げが容易に可能となる。
DoctorQchainプラットフォームは、データ収集中に人の介入が入ることなく、自動で既存データプラットフォーム(Hadoopなど)に統合される。
加えてNiFiを使用して、データがハッシュされ、ローカルのブロックチェーンに記録をする。これが真に改ざん不可能な形で医療情報を貯蓄する新たな形となるという。
そして、ここで重要となるのがパブリックブロックチェーンと一部統合される点だという。公正な検証を行うために、ローカルブロックチェーンの状態はパブリックであるEthereumネットワークに定期的に同期される。
このため、プライベート/パブリックのブロックチェーンのハイブリッドにより結果を公共性持ちながら、検証しブロックチェーントランザクションのコストを削減できる。
Dockerという形で配布している理由は、医療機関、専門研究機関がDoctorQchainのノードを簡単に立ち上げられるようにするため。参加する機関と施設が多くなればなるほど、システムが公平に運用されるという。
開発環境は、Docker(18.03.1)を利用している。Pythonは(3.6.1)、Ethereum (2.3.2)、Geth(1.8.0)を使用している。公開環境が整い次第、Githubにて公開する方針だ。
img:PR TIMES