東京商工リサーチは11月8日、都道府県別や産業別の女性社長率などを調べた「全国女性社長」調査の結果を公表した。

この調査は、同社の保有する約480万社の経営者情報(個人企業を含む)をもとに、女性社長(病院、生協などの理事長を含む)の割合を抽出、分析したものだ。

第8回目となる今回、全国の女性社長は41万人を超え、調査を開始した2010年の21万人からは約2倍増となった。産業別では「サービス業他」が約5割を占め、都道府県別ではサービス業が好調な地域や大都市で女性社長率が高い結果になったという。

女性社長数は、大都市やサービス業の盛んな地域で高い

都道府県別の女性社長数では、東京都が10万4,641人と8年連続のトップに。次いで、大阪府3万5,263人、神奈川県2万6,232人、愛知県2万2,682人、福岡県1万9,229人と、企業数の多い大都市が並んだ。一方で少なかったのは、島根県1,428人、福井県1,771人、鳥取県1,796人となった。

「女性人口10万人当たり」の女性社長数でも、トップは東京都で1,503人。次いで、沖縄県972人、山梨県870人、大阪府769人、大分県737人の順となった。少なかったのは、滋賀県の330人、岐阜県340人、新潟県346人の順だ。

同社では、人口や企業数が多く事業環境の良い大都市圏や、産業別女性社長数で最多を占める「サービス業他」が好調な地域で多い傾向がみられると分析している。

女性社長率の全国平均は13.0%。「正規雇用」の割合も影響か

企業数と女性社長数を対比した「女性社長率」の全国平均は13.0%で、調査開始以来、8年連続で上昇しているという。

都道府県別で全国平均を上回ったのは12都府県で、最高は沖縄県の20.7%。次いで大分県15.5%(データ拡充の特殊要因あり)、福岡県15.4%、東京都15.2%、山梨県14.5%、鳥取県14.2%、神奈川県13.9%と続く。

一方で、比率が低かったのは新潟県の8.5%。山形県8.6%、石川県8.71%、福井県8.76%、岐阜県8.78%。これらの地域は「就業構造基本調査」(総務省)における女性の「正規の職員・従業員」割合が全国平均より高い傾向にあるという。

この結果に対して同社では、雇用が安定している状況が起業にも影響しているかもしれないという見解を示している。

「サービス業他」が半数。上場企業の女性社長は全体の1%

産業別の女性社長数では、「サービス業他」の18万9,583人が約5割を占めたという。「女性社長率」で見ると、不動産業が22.1%でトップとなった。

飲食業や医療・福祉事業、美容関連など小資本で起業できること、資格を活かした業種の多いことが特徴的で、個人生活に結びつく分野での活躍が目立つと分析されている。

一方で、上場企業の女性社長(代表執行役を含む)は39社(判明分)となり、は全体の1%にとどまっている。

産業別の最多は「小売業」で9社。続いて、「情報・通信業」8社、化粧品メーカーを含む「化学」と美容・介護関連企業を含む「サービス業」が各6社となっている。

同社は、「企業経営に限らず女性の社会進出を阻む壁となる育児や介護など生活面での支援や、男女全体の意識改革が進み、女性社長の増加に繋がることを期待したい」と述べている。

img:東京商工リサーチ