テクノロジーやAIの進化に伴い、自動車の自動運転の実用化が望まれている。このため、世界各国の自動車、あるいは関連メーカーがこぞって開発競争を繰り広げている。
そんななか、パイオニアは2018年11月6日、シンガポールの自動運転関連スタートアップ企業MooVita Pte Ltd(MooVita)と、シンガポールの高等教育機関である「Ngee Ann Polytechnic(ニーアン ポリテクニック)」構内において、パイオニアの「3D-LiDARセンサー」を搭載した自動運転シャトルバスを使った実証実験を開始すると発表した。
両社は、この実証実験を通じて、自動運転レベル4のサービス商用化を目指す。
「3D-LiDARセンサー」で自動運転の早期実用化
ここで、まず、日本政府や米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)により定められた自動運転のレベルをみておく。
- 自動運転レベル0(運転自動化なし)
- 自動運転レベル1(運転支援)
- 自動運転レベル2(部分運転自動化)
- 自動運転レベル3(条件付き自動運転)
- 自動運転レベル4(高度自動運転)
- 自動運転レベル5(完全自動運転)
今回、両社が目指すのはこのレベル4である。
MooVitaは、自動運転に関する技術開発を推進するシンガポールの科学技術庁「A*STAR」(Agency of Science, Technology & Research)出身者により創設されたスタートアップ企業である。シンガポールのほか、マレーシアやインドにおいて自動運転関連事業を開発、展開している。
「3D-LiDARセンサー」は、レーザー光で対象物までの正確な距離を測定し、遠方や周辺の状況をリアルタイムかつ立体的に把握できるため、レベル3以上の自動運転の実現に不可欠なキーデバイスといわれている。
パイオニアは、2020年以降の量産化を目指し、高性能で小型かつ低コストなMEMSミラー方式の「3D-LiDARセンサー」の開発を進めており、2018年9月下旬より、計測距離と画角が異なる「3D-LiDAR センサー」3種4モデルを国内外の企業に順次提供開始している。
また、パイオニアは、これらの「3D-LiDAR センサー」を活用した高精度の「物体認識アルゴリズム」および「自車位置推定アルゴリズム」の開発を進めていく方針だ。
今後、パイオニアは「3D-LiDAR センサー」やアルゴリズムなどに関する知見・技術を提供し、MooVitaは自動運転ソリューションの開発を進めることで、自動運転の早期実用化およびサービス商用化を目指すとしている。
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