FRONTEOは2018年11月5日、独自開発の次世代版AIエンジン「KIBIT G2(キビット ジーツー)」を搭載し、教師データの自動設定の新機能を追加、処理能力の拡張性や他社ツールとの連携性を高めるなど、性能を大幅強化した特許調査・分析システムの進化版「Patent Explorer 19(パテントエクスプローラー ワンナイン)」を、提供開始したと発表。これにより、業務の大幅な効率化が実現できるという。
AIが検索式の策定やスクリーニングを代替
「Patent Explorer」は、先行技術調査、無効資料調査および侵害予防調査といった特許の分析・調査業務において、もっとも業務負荷が高いとされる検索式の策定やスクリーニングを代替することができ、業務の大幅な効率化を実現するのが特徴だ。
同社によると、高精度のスクリーニングや調査範囲の網羅性に優れた知財戦略支援システムとして、化学や素材、機械、食品・飲料メーカーなどに提供以来、3年間の累計で約50社の導入実績があるという。
具体的には、見つけたい文書(発明提案書、無効化したい特許資料等)の内容を“教師データ”としてKIBITに学ばせ、少量の教師データをもとに膨大なデータを解析し、短時間でスコアリング(点数付け)による文書の仕分けができる点が評価されているという。
これまでは、特許調査を行う際に、従来、手動で選んでいた教師データの設定を、保護を受けたい発明を記載した項である「請求項」を指定するだけで、他に教師データとして必要になると思われる重要な段落をPatent Explorer 19が自動的に読み取って判断し、設定を行う。
これにより、設定にかかっていた時間や設定漏れ、過剰な設定を無くし、運用開始の準備に要する時間を短縮できる。対象となる特許文書は日本語のみで、従来通りの手動による設定も可能だ。
AIエンジン「KIBIT G2」が複数サーバーでの並列処理を可能に
Patent Explorer 19には、次世代版のAIエンジン「KIBIT G2」が搭載されている。従来のKIBITは、解析の実行時、1つのサーバー上で処理を行ってきた。
KIBIT G2を用いることにより、複数サーバーでの並列処理が可能になることで、ユーザーの要望に応じ、データの総量や解析結果が必要となる程度に合わせて、サーバーの台数をフレキシブルに調整可能だ。
また、従来、「Sharereserch(日立製作所提供)」「NRIサイバーパテントデスク2(NRIサイバーパテント提供)」のみ対応していた他社の特許検索データベース(または特許情報検索サービス、特許調査支援サービス)との連携において、新たに「PatentSQUARE(パナソニック提供)」、「JP-NET(日本パテントデータサービス提供)」が加わり、公報番号のインポート/エクスポートが可能になった。
その他の新機能としては以下のようなものがある。
- 段落分けアルゴリズムの改善
- 利用環境の変更
- 推奨Webブラウザが従来のInternet Explorerのみから、Google Chromeを追加
従来、適切に段落分けされていなかった一部の特許文章を適切に行われるようにアルゴリズムを修正
ブラウザ上の動作環境をSilverlightからHTML5に変更
Citrix経由でのログインを廃止し、お客様環境からダイレクトにPatent Explorer 19にログインが可能。
Citrixの関連ツールのインストールが不要に
Patent Explorer 19の開発にあたり、ユーザーインターフェース部分については、Webシステム開発のフォーカスシステムズの協力を得ている。
RONTEOはビッグデータなどの情報解析を支援するデータ解析企業だ。今回の「Patent Explorer 19」については、特許調査業務を少人数で対応している企業向けに、導入しやすい廉価プランで提供するとしている。
img:PR TIMES