新しいビジネスモデルによって市場を開拓するスタートアップ。起業するにもスケールの拡大を図るにも、投資家の存在が必要だ。
今回紹介するのは、ビジネスリーダーの育成を目的とした大学が、在校生・卒業生が起業したスタートアップを対象に投資を行うプログラムだ。
在校生・卒業生の起業に、最大1億円を投資
2018年10月26日、グロービス経営大学院は、「GLOBIS Alumni Growth Investment」(通称:G-Growth)の開始を発表した。Alumni(アルムナイ)は、卒業生・同窓生を意味する。
グロービス経営大学院は、2006年開学の私立大学。ビジネスの創造や社会の変革に挑戦するリーダーの輩出をめざし、5つのキャンパスとオンラインでMBAプログラムなどを提供している。
「G-Growth」の投資対象は、グロービス経営大学院MBAプログラムの在校生と卒業生が起業したスタートアップだ。出資金額は、1社あたり最大1億円となっている。
また、累計1億円以上の調達実績をもつことも条件だ。投資ステージは、売上が伸びスケールする段階。株式への出資を基本とする。
G-Growthの1件目の投資案件はすでに決まっている。国内初のクラウドRPA「BizteX cobit」を提供するBizteXだ。
代表取締役は、グロービス経営大学院を2015年に卒業。2,000万円が出資される。
BizteXは2018年6月に、経済産業省のスタートアップ育成支援プログラムである、J-Startup企業にも選ばれている。
グロービス経営大学院では、ほかにも在学生・卒業生を対象とした起業サポートを実施している。
最大1,000万円を出資するビジネスコンテスト「GLOBIS Venture Challenge」の開催や、起業志望者が参加する公認クラブ活動「グロービス・アントレプレナーズ・クラブ」の運営支援などがその例だ。
卒業後の“起業”を支援する例としてほかに、「起業したら、授業料全額返金」を約束する学校が存在する。
「起業したら、授業料全額返金」。ソーシャル・アントレプレナーを支援する学校
2018年10月、ボーダレス・ジャパンは、社会起業家養成所「ボーダレスアカデミー」を東京・福岡で開校する。
ボーダレス・ジャパンは、社会起業家のプラットフォームカンパニー。社会起業家は、ビジネスを通して社会問題を解決する「ソーシャルビジネス」を行う。
これまでに「貧困問題」「環境問題」「耕作放棄地」「障害者雇用」など、20の事業を国内で展開している。
ボーダレスアカデミーは、ソーシャルビジネス専門の起業スクールだ。社会課題に挑戦したい若者に、学びの場を提供することが目的。オンライン聴講制度もある。
5カ月間の起業プログラムでは、前期3カ月間で起業のイロハを学び、後期2カ月間で自分自身のビジネスプランを完成させる。
社会的事業のスタートアップに成功した起業家による講座や、「社会観」「経営哲学」を学ぶ教養講座を受講できる。
注目すべきは、卒業後のサポートだ。
まず「起業したら、授業料全額返金」。これは、アカデミー卒業後6カ月以内に起業した場合、授業料は全額返金というものだ。エンジェル投資家や金融機関の紹介なども行う。
また起業準備中の生活費が3カ月支給される。
起業準備中の生活費として15万円×3カ月間支給、創業資金として1,000万円~3,000万円、専門チームによる各種マーケティング・経営支援なども用意されている。
一定の審査により、ボーダレスグループで起業することも可能なようだ。
img:GLOBIS、Value Press