ロボットの活用が広がっている。わたしたちに一番身近なロボットといえば、ソフトバンクの「Pepper」だろう。今では、飲食店などの窓口で「Pepper」に出会う機会が多くなってきた。

経済産業省の「ロボット産業市場動向調査結果」によれば、日本国内のロボットの市場規模は2035年までに9.7兆円まで拡大すると予測されている。その市場規模の約半分がサービス分野だといわれている。

これを受け、ロボットビジネスを専門に行うロボットスタートは、237種類のサービスロボットをまとめた「サービスロボットカオスマップ」を公開した。このマップは、日本国内に限らず、世界中の注目のロボットを掲載している。

「サービスロボット」まで拡げて作成

このロボットカオスマップは昨年まで「コミュニケーションロボット」を中心にまとめてきたという。しかし、今回はその範囲をコミュニケーションロボットを内包する「サービスロボット」まで拡げて作成した。

マップでは、以下20個の分類に分けて掲載している。

  • コミュニケーションロボット(Communication Robots)
  • スマートスピーカー(Smart Speakers)
  • 案内ロボット(Guide Robots)
  • ホビーロボット(Hobby Robots)
  • テレプレゼンスロボット(Telepresence Robots)
  • 家庭用ロボット(Home Functional Robots)
  • 教育・STEMロボット(Educational/STEM Robots)
  • エンターテインメントロボット(Entertainment Robots)
  • パーソナルモビリティ(Personal Mobilities)
  • 協働ロボット(Co-Robots)
  • ドローン(Drones)
  • 水中ドローン(Underwater Drones)
  • 警備ロボット(Security Robots)
  • 配達ロボット(Delivery Robots)
  • 医療・介護ロボット(Medical & Nursing care Robots)
  • パワードスーツ(Powered Exoskeletons)
  • 建設ロボット(Construction Robots)
  • 清掃ロボット(Cleaning Robots)
  • 輸送ロボット(Transportation Robots)
  • レスキューロボット(Rescue Robots)

このマップ作成にあたり、10月17日より東京ビッグサイトにて開催中の World Robot Summit 2018(WRS)・ロボットスタートブース(東6ホール E-41)にて、A4印刷版のサービスロボットカオスマップを配布している。併せて2018年4月に公開したIoTデバイスマップ2018も配布中だという。

2018年はサービスロボット/ドローン元年に

本年2018年はサービスロボットやドローン市場が本格的に立ち上がる年だといわれている。

IT専門調査会社IDC Japanの「国内商用ロボティクス市場におけるサービスロボットおよびドローンのユーザー利用動向調査結果」によると、産業用以外で活用されるサービスロボットを導入検討中の企業が想定するサービスロボットの活用領域は、「受付/案内/接客」が34.8%で最も高い結果になったという。

同社ではこの結果から、店頭に設置し顧客と対話するコミュニケーションロボットの需要が高いことがうかがえると分析している。

また、「工場内搬送」を担うサービスロボットの需要も高い。「工場内搬送」作業には、部材や商品を自律的に安全に搬送できる移動型搬送ロボットが活用され、導入も始まっている。

こうした領域は、作業の定型化による人間のロボットによる作業代替が容易な分野であり、省人化による作業効率向上への期待が明らかになったという。

また、ドローンの導入を検討している企業が想定するドローンの活用領域においては、「物流センター/倉庫内物品検査」が39.4%ともっとも高いことがわかった。一般的にドローンは屋外利用が想定されているが、この結果では、屋内での活用にも期待していることが明らかになった。

同社では、物流センターや倉庫内の物品検査にドローンを活用することによって、人やサービスロボットでは困難な垂直移動による物品のバーコード読み込みなどの物品管理作業を可能にすることが期待されているとしている。

そして、サービスロボット市場は、産業用ロボットに続く大きな市場であり、2018年以降は本格的な市場の立ち上がりが見込まれていると予想。

一方で、ドローン市場も2018年以降、日本政府は山間部や離島でのドローンの商用利用の解禁や、2020年以降には都心部でのドローンの商用利用解禁に向けた検討も始めており、本格的な市場の立ち上がりが見込まれると予測しているのだ。

ロボットがパートナーになる日

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「NEDOロボット白書2014」(2014年3月)では、ロボットを「センサー、知能・制御系、駆動系の3つの要素技術を有する、知能化した機械システム」と定義している。また、この定義では日常生活の支援を目的とするロボットの総称として、「パートナーロボット」という用語を用いることとしている。

「パートナー」とは、相棒、相方、配偶者という意味だ。つまり、ロボットはそれほどわたしたちの身近な存在になってきているのだ。ロボットがどれだけ、わたしたちの需要を満たし、パートナーとなってくれるのか、今後のロボット市場から目が離せない。

img:PR TIMES