働き方改革の一環として、企業の副業解禁が注目されている。そして副業のなかでも人気の高い内容の1つが投資だ。副業解禁を渋っている企業も多いなか、兼業投資家の中には本業を超える利益を上げている人も多い。

兼業投資家たちは、どのような考えで副業を行っているのだろうか。また副業をする上での問題点として、本業への悪影響の懸念が挙げられるが、兼業投資家自身はどう考えているのだろうか。

兼業投資家のままが良い人が過半数、その理由はダントツで収入の安定

日本最大級のマネースクール「ファイナンシャルアカデミー」では、副業解禁元年といわれる2018年に、兼業投資家たちがどのように本業との両立をはかっているか調査するための意識調査を行った。

調査が実施されたのは2018年9月4日~11日で、翌月には国内で株式投資・投資信託を広めることを目的に設定された「証券取引の日(10月4日)」を迎える。

まず、投資だけで生計を立てる専業投資家になりたいか聞いたところ、「兼業のまま」(57%)との回答が過半数だった。またその理由としては、「安定した収入が欲しいから」がダントツで多く、ほかに「仕事が好きだから」「仕事から学ぶことがあるから」といった回答も多かった。

株式投資はあくまで副収入を得るなどの目的で行っており、本業にまで発展させようと考える人の方が少数派のようだ。兼業で株式投資をする人のなかには、冒険をするより安定を求める人の方が多いのだろう。

また「仕事が好き」といった理由も多かったことから、副業で株式投資をしているとはいえ、収入以外の面でも本業を大切に考えている人が多いのもみてとれる。

その一方で、「何らかの投資で専業(32%)」を希望する人も全体の1/3に及んだ。株式投資を専業にして大きな成功をおさめたいと考える人も一定数はいるようだ。

株式投資にかける時間、平日は30分未満が過半数、休日は1時間以上2時間未満が最多

この調査では、普段、株式投資にどのくらいの時間をかけているのかについても聞いた。

まず平日に関しては、30分未満と答えた人が過半数という結果だった。平日は株式投資をしないと答える人も全体の約1割に及んだ。

兼業投資家たちの中には、本業への影響がない範囲で細々と株式投資にいそしむ人が多いようだ。

なお平日に株式投資をするコツをして「毎朝出勤する前に少し早起きをして、株式投資の勉強をする」「通勤時間に日経平均などいくつかの指標を確認する」のような回答があがった。

スキマ時間を活用したり、規則正しく健康的に株式投資をしたりする兼業投資家の姿がみてとれる。

一方、仕事のない休日に株式投資にかける時間を聞いたところ、1時間未満が過半数をしめる一方で、1時間以上2時間未満と答える人が全体の35%で最多だった。

平日と比べればじっくり腰を落ち着けて株式投資に時間を割いているようだが、全体としては短時間で効率的に株式投資を行い、プライベートを大事にする兼業投資家が多いように見受けられる。

副業の株式投資は、本業に良い影響ありと考える人が最多

兼業投資家たちに、本業への影響があるか聞いたところ、「良い影響あり」との回答が全体の40%で最も多かった。「影響なし(38%)」と答え人も約4割、さらに本調査で回答した93人の中に「悪い影響あり」と答えた人は全くいなかった。

兼業投資家たちは、本業に影響のない範囲で副業としての株式投資を行っているということだろう。また良い影響の内容として、「収入が増え気持ちに余裕が生まれた」といった経済面以外に、経済的な知識が増えたり視野が広がったりなどの知識面・思考面に関する内容も多く上がっていた。

具体的な例は以下のとおり。

  • 収入源が増え、気持ちに余裕が生まれてきた
  • 経済に関心を持てるようになった
  • 自分が所属する業界や、同業他社、取引先の状況がわかるようになった
  • 財務諸表が読めるようになった
  • 視野が広がった
  • 様々な角度から物事を捉えられるようになった
  • 先読みする思考が身についた

副業の本業への影響を懸念する企業もいまだに多いようだが、このような回答を見る限りにおいては、少なくとも兼業投資家についてはその心配の必要は少ないようだ。

本業に影響のない範囲で、スマートに株式投資を行う兼業投資家が多い

今回の調査をみる限り、兼業投資家たちの多くは本業に影響のない範囲で節度をもって株式投資を行っている上、自身のスキルアップも図り本業へ活かしている人が多いように見受けられる。

政府が推進する働き方改革・副業解禁は、もちろん本業をおろそかにするものではない。そういった意味においても、兼業投資家たちは優等生であり、ある意味で働き方改革の手本のようともいえるのではないだろうか。

今回の調査結果にみられるように、副業としての投資が本業に悪い影響がないばかりか本業への好影響をもたらす自身の成長につながるなら、企業ともWinWinの関係が築けているといえる。このようなスタンスで副業を行う会社員が多くなれば、副業解禁の流れはもっと早く進んでいくことだろう。

少なくとも企業においては、副業をするスタッフの中には、今回紹介した兼業投資家たちのようにスマートに副業と向き合っている人も多いことを念頭において、対応をすすめるべきであろう。

img:PR TIMES