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シェアリングサービスという言葉が一般化しつつある現代、さまざまな携帯のシェアリングサービスが登場している。自動車・自転車・空き部屋の共有に、中にはスマートフォン向けなど多岐にわたっているが、居酒屋の空き時間をレンタルし、初期費用を抑えるというサービスが登場した。
株式会社よじげんは、居酒屋の昼時間帯など物件の空き時間を「1カ月単位で中長期的に」借りることができ、1/10の初期費用で飲食店が開業できる物件情報サイト『
よじげんスペース』を開始した。
居酒屋の空き時間のレンタルで飲食店の初期費用を1/10以下に
『よじげんスペース』は、居酒屋の昼時間帯など物件の空き時間を借りることで店を開業できるサービスだ。従来700万前後かかっていた飲食店の初期費用を1/10以下の60万円(家賃3カ月分)に抑えることにより、誰でも簡単に店を開業することが出来るという。(家賃20万円の想定時)。
借りた物件は1カ単位で自動更新となり、借り手は退去する前月末日までに退去を申請してもらう。3カ月から12カ月程度の貸し出しを想定しており、夏の昼間だけかき氷専門店を出店、会社員が副業でテスト出店するなど、従来の賃貸物件では行えなかったような使い方で、自分の都合に合わせて自由に利用できるという。
8月1日から実施した先行登録では、“物件を借りたい”登録者が、“物件を貸したい”登録者の約2倍となり、テスト出店や副業開業など、通常の賃貸物件では満たせなかった需要が確かに存在することがわかった。
また、従来ランチ営業ができなかった立地の悪い店舗のキッチンを活用したゴーストレストラン需要や、飲食店の空き時間をケータイショップやコワーキングスペースなど非飲食店として活用する提案など、単に空き時間に飲食店を営業するだけではない動きもあったという。このため、同社では年内に様々な企業と実証していく方針だ。
スケージュールとしては、年内は10件から20件の物件を実際に成約させ、借り手、貸し手、管理会社、ビルオーナーなど様々なステークホルダーの満足度を1件ずつ対話しながら高めて行くという。
そして、2019年から2020年の2年間で、月間成約店舗数100件(年商10億円)の売上を見込み、2021年以降は飲食店に限らず自宅や倉庫や工場など、世界中の「物件の空き時間」を「月単位で」貸し借りすることを目指す。
個人飲食店の赤字解消にも寄与
このサービスは、もちろん貸す側の既存飲食店にもメリットはある。既存飲食店側からすると、店舗の空き時間を貸し出して毎月定期収入が得られるサービスということになる。
飲食店の3年生存率は45%と言われており、チェーン店舗を除いた個人飲食店では35%程度だと言われている。閉店理由の多くは赤字経営であり、個人飲食店は切実に売り上げ以外の現金収入を求めている。
よじげんスペースを活用すると、貸し出す時間にもよるが、家賃の半分程度の現金収入が得られる。しかも、従来のスペースシェアとは異なり、1日単位で何人もの単発利用者とメールをやり取りすることもなく、数カ月ずつ安定して貸し出すことが可能だ。
同社では、貸し出す側の飲食店も登録受付開始している。
無店舗型レストランの出店を後押しするよじげんスペース
よじげんスペースでは、今回の居酒屋のみならず飲食店全体の転貸サービスを展開している。
今、東京では、無店舗型のゴーストレストランが定着するのかが注目されているという。しかしこれまでゴーストレストラン用の店舗供給は行われておらず、家賃10カ月分の保証金を支払い、開業に600万円をかける一般の飲食店と同じ方法でしかゴーストレストランを開業することはできなかった。
しかし、よじげんスペースでは、既存店舗の空き時間を“月単位”で貸し出すことにより、ゴーストレストランの出店費用も1/10に抑えることが可能であり、フードレストラン市場の拡大を後押ししている。
よじげんスペースを利用した転貸では、ビルオーナーにも2つのメリットがある。1つは、現在テナントとして入っている飲食店に現金収入が入ることにより経営が健全化、更新率が上がることにより空室リスクを下げることが可能になること。
2つ目は、毎月の転貸家賃からよじげんスペースの管理手数料を抜いた金額(転貸収益)の23%をビルオーナーが受け取ることができるという報酬体系だ。
さらに、よじげんスペースでは、金融機関の融資先であるビルや飲食店の収益改善事業を開始、8月に連携する金融機関の募集を開始した。金融機関と連携を行い、金融機関の融資先であるビルや飲食店に対してサービスを導入し、毎月現金収益をもたらすことにより融資先の倒産による貸し倒れリスクを低下させることが可能となるという。特に、地域密着型の地方銀行や信用金庫との相乗効果を見込んでいる。
8月14日時点で都市銀行1社、信用金庫1社からの問い合わせがきているという。
副業の選択肢をさらに広げる
現在、「働き方改革」の浸透や働き手の意識の変化で「副業」に取り組む人が増えている。しかし、現在のところ、資金の問題が大きく、その多くは在宅で、本業の空き時間に行うというものが多いように思う。
しかし、よじげんスペースのようなサービスの登場で、飲食店や居酒屋経営といった、これまでは副業としては開業資金の問題で、ハードルが高かったビジネスにも選択肢は広がった。今後の成功事例に期待したい。
img:PR TIMES