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IoTが身近になってきた。
あらゆるモノがインターネットに接続し、情報通信や制御を可能にする。製造業の分野では、IoTを導入した「スマート工場」の例がある。センサーからの情報を見える化し、AIとの組み合わせでインダストリー4.0の重要な役割を担う。
物流では輸送の効率化を実現し、農業の自動化にも利用され始めている。交通においてはIoTを導入したバスがあり、到着時間の予測を可能にした。
今回紹介するのは、自分の持ち物にIoTを導入し、忘れ物発見に役立てようというサービスだ。
紛失防止IoTサービスの「MAMORIO」
MAMORIO~How To Use MAMORIO~(YouTube)
MAMORIO株式会社では、紛失防止IoTサービス「MAMORIO」を提供している。
縦35.5mm×横19mm×厚さ3.4mm、重さ3gという小さなタグを、お財布・鍵・バッグなど「大切なもの」に付けることで、スマートフォンと連携し紛失を防ぐ事ができるというものだ。内蔵リチウム電池で約1年間使用できる。
アラート機能は、手元から離れると、スマートフォンに置き忘れた場所と時間が通知される機能だ。MAMORIOを「いつ、どこで」落としたのかがわかるので、捜索範囲が狭まる。
みんなでさがす「クラウドトラッキング機能」では、手元から離れたMAMORIOと他のユーザーがすれちがった時、その場所がスマホに通知される。全国のMAMORIOユーザーと協力し、発見確率を向上させる機能だ。
また、公共交通機関や商業施設等には「MAMORIO Spot」が設置されているところがある。忘れ物が、お忘れ物センターなどに届けられた際に通知され、受け取りに行ける。
「大切なもの」に付けた小さなタグがIoTによってインターネットに接続し、忘れ物の発見に役立つというわけだ。
このタグの小型化と、省電力化を実現しているのが「Bluetooth Low Energy」。IoTに利用される通信規格の一つだ。Wi-Fiと比べて通信範囲は狭いが、消費電力は低い。
忘れ物の発見は、普段の生活で重要だ。だが企業活動においては、PCやマスターキーの紛失が情報漏洩につながるなど、さらに大きな問題を引き起こすことがある。MAMORIOでは、法人利用に最適化したサービスの提供も始める。
情報漏洩を防止する、法人向け紛失防止IoTサービス
2018年9月14日に、MAMORIO株式会社は、法人向け紛失防止サービス「MAMORIO OFFICE Console」をリリースした。
コンシューマー向けのMAMORIOでは、お財布・鍵・バッグでの利用が想定されていた。法人向けサービスでは、PCや社員証といった情報資産、マスターキーのようなセキュリティー物品の紛失リスクへの対応が強調されている。企業の情報漏洩は、大きな社会問題につながりかねない。
MAMORIOを法人が利用する場合、貸与品から備品まで、所有者が違う複数のMAMORIOや、大量のMAMORIOを一元管理することが必要だ。管理者向けPCコンソール「MAMORIO OFFICE」が、それを可能にする。
「紛失防止モード」では、各個人が持つ所有物のステータスを一元管理する。「物品管理モード」では、共有資産が最後にあった場所を確認することが可能だ。
MAMORIOが記録している位置情報については、物品紛失時にのみ管理コンソール上でご確認できる。個人情報が常に追跡されるわけではなく、ブライバシーに配慮し、社員の不安感に対応した。
利用にあたっては、SaaS(サース、Software as a Service)型の料金プランが設定されている。MAMORIOを1個あたり月額480円(コンソール利用料込み)という形だ。初期投資が少なくて済む。
仕事・生活に密着するIoTサービス
今回紹介したMAMORIOは、IoTの利便性を身近に感じるプロダクトだ。小さなタグを、お財布・鍵・バッグに付ければ、それらがインターネットにつながる。
ちょっとした忘れ物は、企業においては情報漏洩といった大きな問題を引き起こす可能性がある。MAMORIOを企業に導入する場合、PC・社員証など大規模なものになる。SaaS型の料金プランが、導入を容易にしてくれそうだ。
全てのモノをインターネットでつなぐIoT。本当に、ポケットの中にまで入ってきた。