モノを所有せず他者と共有して、定額制で利用するいわゆる「サブスクリプションサービス」がここ数年、世界のさまざまな国で登場し流行している。

新しい価値観を持つといわれる「ミレニアル世代」を中心に、モノの所有よりコスパよくスマートに使うことをよしとする価値観が広がっていることが背景にあるだろう。

一方、国内に目を向けてみると、日本のミレニアル世代には、サブスクリプションサービスはどこまで浸透しているのだろうか。

ミレニアル世代の「サブスクリプションサービス」認知度は1割以下。しかし利用者は約2割にのぼる。

若年層(10代・20代)を対象とするアンケートメディア「TesTee Lab」は2018年8月、20代の若年層男女1,217名(男性600名、女性617名)に対して、インターネット上で利用できるデータを商品とするサブスクリプションサービスに関したアンケート調査を実施した。

結果、サブスクリプションサービスを「知っている」と回答したのは、20代男性で9.3%、20代女性で5.5%にとどまった。日本のミレニアル世代には、まだサブスクリプションサービスという言葉や概念が広まっていないようだ。

対して、サブスクリプションサービスに関して説明した上で、改めてサブスクリプションサービスを利用しているか聞いたところ、20代男性の20.0%、20代女性の18.8%が「利用している」と回答した。


知らず知らずサブスクリプションサービスを利用しているというユーザーが、日本のミレニアル世代には多いようだ。ただ、いずれにしろ利用率は2割以下なので、まだ日本のミレニアル世代にサブスクリプションサービスは広まっていないともいえるだろう。

サブスクリプションサービスの概念が広まって、より多くのミレニアル世代がその特徴やメリットを知るようになれば、関連サービスの利用率はもっとあがるのではないだろうか。

サブスクリプションサービスの利用数1個・月額1,000円未満が最多


次にサブスクリプションサービスを利用していると答えた回答者に対して、サービスの利用個数や利用合計金額を聞いた。

その結果、利用数は1個(20代男性:63.3%、20代女性:50.0%)が最も多く全体の半数以上を占めた。そして利用金額については、20代男女の約7割(20代男性:69.1%、20代女性:74.2%)が月1,000円未満と回答した。


仮に利用するにしても、その利用数・利用金額はまだ少ないようだ。この結果からも、日本のミレニアル世代にサブスクリプションサービスがまだ広まっていないことがわかる。

一方で20代男性に絞ってみると、12.5%が月2,000円以上と回答。サブスクリプションサービスを多く活用している20代男性も多いようだ。

最もよく利用するサブスクリプションサービスは「動画・映像配信」


次に、どんな種類のサブスクリプションサービスを利用しているかを聞いた。結果、男女ともに1位は動画・映像配信で、いずれもサブスクリプションサービス利用者の半数を超えた。音楽配信、電子書籍がそれに続いた。


くわえて、サブスクリプションサービス利用者に、利用している具体的な音楽系及び動画・映像配信サービスは何か聞いた。結果、音楽系サービスの1位は「Spotify」、動画・映像サービスの1位は「Amazon Prime」だった。

いずれもテレビCMなどでメディアによく登場するサービスだ。同様に認知度さえ高まれば、利用されるサブスクリプションサービスはもっと増えるだろう。

ミレニアル世代の男性が活用したいサブスクリプションサービス1位は「フード系」。20代女性では「美容・コスメ」


サブスクリプションサービスは、ネット上のデータにとどまらず、飲食店の利用や物品レンタルなど、さまざまな商材で展開されている。そこでオフラインのサブスクリプションサービスについて、アンケート対象者全員に、今後利用してみたいジャンルを聞いた。

結果、20代男性の1位はフード系、20代女性の1位は美容・コスメだった。なおフード系は20代女性でも2位、美容・コスメは20代男性でも3位に入っており、男女関わらず利用したいと考えるサブスクリプションサービスは類似しているといえそうだ。このあたりを狙ったサブスクリプションサービスが登場すると面白いかもしれない。

※TesTee(テスティー)調べ:https://testee.co

世界ではさまざまなサブスクリプションサービスが展開されている

世界に目を向けてみると、さまざまなサブスクリプションサービスが展開されており、興味深い。

たとえばアメリカの「JUKELY」は月額25ドルの定額制で、地元で開催される音楽ライブに行き放題となるサービスだ。JUKELYのユーザーは、月間平均2~3回(年間24~36回)ほどこのサービスを使ってライブに行っており、利用者の65%は今まで曲を聴いたことがないアーティストのライブへも足を運んでいるという。

またライブハウスの集客の面でも、JUKELYは成果を上げているようだ。日本でも小さなライブハウスに足繁く通う若者は多いため、同様のサービスが展開されれば広く受け入れられる可能性もあるだろう。いずれにしろ、サブスクリプションサービスの成功例の1つといえるだろう。

以下の記事では、その他にも注目したい世界のサブスクリプションサービスを豊富に紹介している。

加速する世界の“サブスク”化——20個の月額制サービスから最先端トレンドを掴む

日本のミレニアル世代に対するサブスクリプションサービスの浸透はこれからか

今回紹介したアンケート結果からもわかるように、日本のミレニアル世代にはサブスクリプションサービスはまだ浸透していないようだ。一方で、Spotify やAmazon Primeのように名の知れたサブスクリプションサービスは、ミレニアル世代の若者もある程度利用していることがわかる。

ライブが行き放題となるJUKELYのように、この世代のユーザーにとって有益な商材をもとにした新しいサービスが誕生していけば、若年層のサブスクリプションサービスへの認知も高まり、さらにサービス向上が見込めるといういい循環を生み出せるかもしれない。

img:https://testee.co