製造業から介護や医療分野までのみならず、学術分野にまでAIの影響は及んでおり、世界的なAI開発競争がなされている。
もちろん日本でもその競争の波は激しさを増しており、様々な企業がAIの開発を試みている。今回紹介する株式会社クラウドシエンは、AI活用により申請可能な助成金・補助金・公的融資をマッチングさせ、申請をサポートする士業の検索を行うプラットフォーム「クラウドシエン」のβ版を公開した。
また、それにあわせて公的資金調達を希望する企業・団体の募集と申請を支援する士業(社会保険労務士・行政書士・会計士・税理士・司法書士・中小企業診断士・経営革新等支援機関等)の募集を開始した。
公的支援と企業・団体をマッチング
日本には企業・団体を支援するための助成金、補助金、公的融資などが年間約5,000種類以上用意されているという。
助成金・補助金の推定財源は7兆円以上といわれており、対象企業数は全国で約320万社ある。しかし、中小企業庁の「2017年版中小企業白書」によると、現状ではその活用率は12%と低く、それぞれ制度や要件が異なるため、違いを理解していない経営者・担当者が多いのが現状だ。
その主な要因として、
- 「適切な公的支援を調べられない・選べない」
- 「申請するタイミングを逃した」
- 「申請書類作成に時間と労力が割けない」
- 「申請が面倒で事業に集中できない」
などの理由がある。また、身近に公的支援に詳しい専門家と出会えたり、相談できたりする機会もそう多いものではない。そのため、実際のビジネスの現場ではハードルは高く、積極的に活用できる環境が出来上がっていないのが実情だ。
そのほか、国や自治体などの公的支援の申請書類は、それぞれドキュメントのフォーマットが異なるため個別入力でのドキュメント作成や管理の手間を必要とする部分が多く残されたままであり、未だ手書きでの書類作成を必要とする業務が多く残されているなどの煩雑さも課題とされている。
「クラウドシエン」はこのような課題を解決するために、公的支援(助成金・補助金・融資)と企業・団体をマッチングさせ、専門家(士業)による申請支援をサポートするクラウド経営支援サービスだ。
専門的知識が無くても、AIによる自動分析により申請可能な助成金・補助金等がみつかり、適切な専門家(士業)へのマッチングが可能である。
また、年間で約5,000種類以上発表があるため、これまで膨大な時間がかかっていた助成金・補助金のリサーチも1クリックで完了し、申請の手続き開始を最短5分で行えるという。
また、総数7,328件(8月23日現在)の中で、月間平均で100件以上の更新が全国で行われるため、人力で追えなかった地域性や更新情報を迅速にキャッチできる。
まず、第1弾として、『助成金・補助金のマッチング』から専門家依頼まで、以下のかんたん3ステップで提供する。
- みつける
e-mailアドレス、パスワード、所在地、従業員数の4つを登録。 - 選ぶ
約7,000種類の中から自動分析により、自社に合った支援制度をみつけて選択する。 - 申請する
オンライン上で専門家(士業)へ相談・申請支援の依頼手続きへ進める。
このように、煩雑な助成金・補助金の申請手続きの手間と所要時間を大幅に短縮する。利用料は無料である。
今後はマッチングの精度を高めるAIレコメンドエンジンの開発や各種申請支援ツールの開発を進めていく方針だ。
2018年1月16日に閣議決定した「デジタル・ガバメント実行計画」による政府手続きの電子化に併せ、新しいエコシステムの構築に挑戦し、将来的には、トータルな経営支援プラットフォームを目指し、支援領域を拡大していくという。
公的支援について経営者の情報格差の縮小を目指す
たしかに、公的支援の手続きは非常に複雑で、手間がかかる。
「クラウドシエン」はAIにより、「助成金・補助金のマッチング」から専門家依頼まで、たったの3ステップで行えるという。同社の代表取締役の神原翔吾氏によると、公的支援について経営者の情報格差があまりに大きいことを痛感したことから開発に至ったようだ。
将来的には、トータルな経営支援プラットフォームを目指し、支援領域を拡大していく方針だという。こういったサービスを軸に、あらゆる企業が新たなビジネスの展開のための機会損失を減らしていくことができれば、今後ますますスタートアップやベンチャー企業の盛り上がりが期待できるかもしれな。
img:PR TIMES