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世の中は「所有」から「共有」へと価値観が変わりつつある。このため、さまざまな分野で、レンタル・シェアリングサービスが登場している。自動車・自転車・空き部屋の共有や中にはスマートフォン向けのシェアサービスもある。
今回、物件の空き時間を「月単位」で貸し借りする「よじげんスペース」を運営する株式会社よじげんは、金融機関の融資先であるビルや飲食店の収益改善事業を開始、連携する金融機関の募集を開始した。
既存飲食店の空いている時間を“月単位”で貸し出し
よじげんスペースは、間借り物件を探す困難さ、および人材不足を解決するために、既存飲食店の空いている時間を“月単位”で中長期的に貸し出すサービスだ。新規の間借り出店を加速させ、既存飲食店へ現金収入(家賃の50%想定)を提供することで解決することが目的だ。
貸し手となる飲食店は夜だけ営業しているバーやレストランを想定し、借り手となる開業希望者は既存飲食店のテスト営業や、出店費用が10分の1になることによる料理人の独立加速などを想定している。
フードデリバリー市場は世界的に急成長しており、特にUberEatsに代表されるシェアリングデリバリーの登場により、本場ニューヨークでは店舗のないレストラン“ゴーストレストラン”が急増しているという。
一方、東京でも、無店舗型のゴーストレストランが定着するのかが注目されている。しかし、これまでゴーストレストラン用の店舗供給は行われておらず、家賃10カ月分の保証金を支払い開業に600万円をかける一般の飲食店と同じ方法でしか、ゴーストレストランを開業することはできなかった。
これについて、よじげんスペースでは、既存店舗の空き時間を“月単位”で貸し出すことにより、ゴーストレストランの出店費用も10分の1に抑えることが可能であり、フードレストラン市場の拡大を後押しする。
よじげんスペースを利用した転貸では、ビルオーナーにも2つのメリットがあるという。1つは、現在テナントとして入っている飲食店に現金収入が入ることにより経営が健全化、更新率が上がることにより空室リスクを下げることが可能になること。2つ目は、毎月の転貸家賃からよじげんスペースの管理手数料を抜いた金額(転貸収益)の23%をビルオーナーが受け取ることができるという報酬体系だ。
金融機関の融資先ビルや飲食店の収益改善事業を開始
今回、よじげんスペースでは、金融機関の融資先であるビルや飲食店の収益改善事業を開始、連携する金融機関の募集を開始した。金融機関と連携を行い金融機関の融資先であるビルや飲食店に対してサービスを導入し、毎月現金収益をもたらすことにより、融資先の倒産による貸し倒れリスクを低下させることが可能となるという。特に、地域密着型の地方銀行や信用金庫との相乗効果を見込んでいる。
現時点(8月14日)で都市銀行1社、信用金庫1社からの問い合わせがきているという。
具体的なスキームは、
- 融資先で収益を改善したい「飲食店をテナントに持つビルオーナー、ビル運営会社、ビル管理会社、飲食店」をよじげんへ紹介
- よじげんより、テナントさんの転貸を承諾する事による転貸収益の一部をわたすスキームの提案
- よじげんとビル運営者との間で契約
- テナントへ“よじげんスペース利用した間貸しにより毎月固定収益が入る”ことを案内
- よじげんスペースへ物件の掲載、借りたい側から問い合わせを受け付け、貸し手借り手の間で転貸契約
- 毎月借り手からよじげんへ振り込まれる家賃から管理手数料25%を抜いた金額(転貸収益)の23%をビルオーナーへ、7%を管理会社などへ、70%を貸し手のテナントへ分配することにより、ビルおよび飲食店の収益を改善
募集する金融機関は、都市銀行、地方銀行、信用金庫、ノンバンクで、その他、ビル運営会社や飲食店を顧客に持つ金融機関であれば種別問わず受け付けるという。
既存スペースシェアサービスのと違いとは
『よじげんスペース』と既存のスペースシェアサービスの違いは、そのスペースがビルオーナーに許可を取っているか、いないかという点だ。無許可の場合、株式会社よじげんの見解によると、ビルオーナーの大切な資産である店舗を、ビルオーナーに無許可で第三者へ転貸しているとことになるからだ。
これに対し、よじげんスペースでは、無許可転貸を行わず1つずつビルオーナーへ承諾を取る“承諾転貸”という形を取ることでビルオーナーと物件の空き時間を“月単位で”貸し出すという文化の共創を目指す方針だ。