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海外では、米国のシアトルの「Amazon Go」や中国の「Bingo Box」など無人の小売店が出店されはじめ、注目を集めている。日本でもイオンが中国のディープブルーテクノロジー(深蘭科技)と合弁会社を設立し、無人店舗の運営に乗り出すと発表している。このように、テクノロジーやキャッシュレス化が進化した現在、小売店でも無人化が進もうとしているのだ。
中国市場を牽引するECサイト「京東商城(ジンドンしょうじょう)」を運営する大手EC&小売インフラカンパニー京東集団(ジンドンしゅうだん)は、中国で展開中の無人スーパーにおいて、初めての海外店舗となる店舗「JD.ID X-Mart」をインドネシア・ジャカルタにオープンした。
これは、インドネシアにおいてはじめての無人スーパーの登場となるという。
RFID、顔認識、画像認識などでレジを通らずに購入
今回、京東は「JD.ID X-Mart」(面積270m2)を、ジャカルタで人気のショッピングモール「PIK Avenue」内にオープンした。これまで京東が培ってきた技術を集約した最先端の無人スーパーだ。
食品などの日用品や美容製品を“無人”で購入できるのはもちろんのこと、アパレル商品も他製品と同様に“レジを通すことなく”フィッティングルームで着用してそのままレジを通らずに購入し店外に出ることができる。
同店舗では、商品購入動向を追跡するために、RFID、顔認識、画像認識などの最先端技術を活用しているという。店舗全体に配置されたカメラが顧客の動きを認識し、トラフィックフロー・商品選択・顧客の好みを把握することで、在庫・商品陳列・店舗管理などを最適化するために役立つ“ヒートマップ”を生成する。
京東は現在、中国全土で約20店舗の無人スーパーを運用中だ。2017年10月に北京本社に初めての店舗をオープンして以来、購入可能な商品の幅を広げている。
また京東本社の無人スーパーでは、高度なコンピュータビジョン技術を使用して、一連のショッピング行動を追跡する技術を使っている。
今回のインドネシア進出ついて同社では、2016年3月のインドネシア初進出以来、世界的に進める「小売サービス」戦略において重要なターニングポイントと位置付けている。また、同社が無人店舗技術で海外で注力するのは今回が初めてだという。
AIが接客するモバイルスーパマーケットも登場
無人スーパーについては、スウェーデンの企業Wheelysと中国の合肥工業大学による自律式の無人モバイルスーパマーケット「Moby Mart」のようなユニークなものもある。
「Moby Mart」の最大の特徴は、なんといっても運転手なしで自律走行ができるという点だ。また、商品在庫が少なくなれば倉庫に戻ることもでき、そこで在庫を補充して営業を再開することができるのが特徴である。
また、店舗スタッフはおらず、無人となっている。その代わりにAIのバーチャルアシスタント店員である「Hol」が接客を行い、ユーザーの要望に応じて、在庫の少ない商品の注文やレシピの提案を行ってくれるという。
店舗に入店するためには、会員登録が必要で、アプリで認証しなければ入店できないシステムになっている。そして、ユーザーの購入は、全てスマホ用のアプリを利用する仕組みになっている。
扱っている商品は、ミルクや薬などの生活必需品が中心となっており、今後は季節ごとの生鮮品の販売も視野に入れているという。
購入の仕方は、買いたい商品をショッピングカートに入れ、アプリでスキャンするだけだ。さらに、事前にオンラインで注文済みの商品なども自動でショッピングカートに追加されている。これは、店舗を出る際に登録済みのクレジットカードで自動精算されるという。
日本でも進む無人小売店の動き
このような無人小売店の動きはもちろん日本でも始まっている。冒頭でも述べたが、イオンの動きや富士通がRFIDなど先端技術を使った無人精算システム「セルフチェックアウトシステム」を発売するなど、無人化への動きは進行中だ。
しかし、セキュリティの問題や雇用の問題など、まだクリアすべき問題は多い。特に雇用の問題については、世界中の小売店が無人化した場合、スタッフの雇用の受け皿をどうするべきかなど、今後の展開に注意する必要がありそうだ。