現在、日本は超高齢化社会に突入しており、2025年には高齢者が3人に1人になると言われている。これに伴い介護人材の不足は明白だ。一方で世界のスマートホーム市場は好調が続いており2030年までには4,000億ドル市場に成長が見込まれている。
今後は個人の生活のニーズを読み取り、生活の不便を解消することが介護事業の人材不足解決にもつながる。これを受けてNEDOはライフデータを活用した地域包括ケアシステムの実証実験を開始した。
IoTを使い高齢者の生活をサポート。NEDOがライフデータを活用した地域包括ケアシステムの実証実験を開始
パナソニック株式会社、関西電力株式会社、株式会社メディカルネットワークの3社は、新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトである、「IoTを活用した新産業モデル創出基盤整備事業(IoT技術を活用したライフデータの高度利用システムの開発)」の実証実験を開始予定だ。
この実験の主な狙いは、現在超高齢化社会に突入し介護人材の不足が叫ばれている。その中でIoT技術にて得られたライフデータの活用による高齢者が健康で自立した生活をすることをサポートスするためのサービス創出が狙いだ。
具体的には、
- IoT家電/センサー情報の協調データの集約
- 高齢者の生活をサポートするための高次データ処理を行うデータプラットフォームの構築
- データプラットフォームからの供給される情報を元に訪問介護業者、薬局など様々な事業者の参画
これらを達成することにより、高齢者の生活を多方面からサポートするためのサービスの創出を目的としている。
各社の役割は以下のとおり
-
パナソニック
- 委託事業概要
- ポイント
在宅高齢者の生活実態を把握するため、どのような生活をしているか、服薬の回数、バイタルサインを把握できるIoT家電/センサーからのデータの集約。また、そのデータを処理するためのデータプラットフォーム構築、高齢者の生活をサポートするために薬局や行政へデータの提供し効果を検証する。
IoT/AI技術により、在宅高齢者の健康状態や生活実態の把握を介護専門職に提供することで自立した高齢者の生活を支えるケアプランの支援計画を立案可能。
IoT/AI技術により、在宅高齢者の健康状態や生活実態の把握を介護専門職に提供することで自立した高齢者の生活を支えるケアプランの支援計画を立案可能。
- 助成事業概要
- ポイント
IoT家電/センサー情報から、地域包括支援センターの介護事業の業務に必要なデータをモニタリングし集約。介護業務支援として有用なデータ提供を行う業務支援システムの開発。
また、豊田市地域包括支援センターと協力し、この業務支援システムの実用化に向けて実証実験を行う。
IoT技術の活用によるモニタリングで、介護事業サービスの品質と効率化を目指す。
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関西電力
- 助成事業概要
- ポイント
関西電力は現在電気の使用量の変化や生活リズムの異変を知らせる簡易的な見守りサービス「はぴeまもるくん」を提供している。このサービスにIoT技術を用いて得たデータを活用し介護や警備業者の必要なデータを提供し、新たな見守りシステムの構築を目指す。
在宅高齢者の生活リズムやバイタルサインの変化などを正確に把握することで、より質の高いケアの実現が可能。バイタルサインの異常が見られた場合は、本人から緊急呼び出しがなくとも事業者側の安否確認が可能に
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メディカルシステムネットワーク
- 助成事業概要
- ポイント
データプラットフォームから提供される、患者の服薬状況や生活リズム等のライフデータを薬局、薬剤師が活用するための情報システムを開発する。このライフデータを元に処方内容の適正化、医師やケアマネジャー等への情報提供により、多職種の連携を支援する。
患者の記憶や主観に基づいたヒアリングと客観的なライフデータを組み合わせ、服用薬剤の効果や副作用の検証精度上昇。また、モニターなどの活用により遠隔での服薬状況の確認も可能。
IoT技術の活用により超高齢化社会の問題に改善の兆し
IoT技術の登場により現在我が国が抱えている問題の一つである超高齢化社会に対する介護人材の不足に改善の兆しが見え始めた。
ライフデータの活用が可能になれば、介護事業だけでなく薬局や医師、警備など様々な事業で安否確認や定期服用確認ができるようになる。これにより主観や患者に依存していたデータだけでなく、客観的なデータも加わり情報の精度が大幅に向上。業務効率化にもつながっていくだろう。
img:Panasonic