世の中はECによる通販が購買の中心となり、さまざまな分野の「モノ」や「サービス」がインターネット上で簡単に購入できるようになった。それは「食」の分野でも例外ではなく、食材の宅配サービスなどさまざまなECサービスが登場している。

今回これらの一歩先ともいえる新しいサービス、株式会社ukkaによる農業・水産・加工品を対象としたコミュニケーション型オーナー制度プラットフォーム「OWNERS(オーナーズ)」がリニューアルし、バージョン3.0(コードネーム Carrot)をリリースした。

この「OWNERS」は、「買う」から「参加する」への転換を提案する新しいサービスだ。

最高のタイミングで収穫物を直接届く仕組みに

OWNERSは、2015年12月にスタートした農業・水産・加工品の事前登録型マーケットプレイスだ。全国の生産者が作る希少食材に対して収穫の何カ月か前から消費者が事前注文と決済を行い、生産期間中にコミュニケーションを行うことで顔の見える関係性を作り、生産者が思う最高のタイミングで収穫されたものが直接届く仕組みとなっている。

生産者側は、事前登録型で直接販売することにより、以下のようなメリットが得られるという。

  • 価格決定権を持ちながら、直接販売できる
  • 農繁期ではなく、農閑期に販売作業を行える
  • 収穫よりも入金が先になり、キャッシュフローが改善する
  • 事前登録型だからこその特別な方法で生産をすることができる
  • ファンを増やし、計画的な生産と定常的な収益につなげることができる
  • OWNERS を通じて、多くの販売チャネルに訴求することができる

今回のリニューアルにより、生産者への「応援コメント」や、消費者(オーナー)に生育状況や地域の情報を知らせる「手づくり日誌」、食べた様子を写真と共に生産者に伝える「ごちそうさまコメント」といった多様なやりとりが可能になった。

新バージョンリリースともに、企業や地方自治体との連携も加速するという。OWNERSでは生産者食材の出口戦略の一環として、企業との販売連携をスタートした。昨年より連携しているプレミアムウォーター株式会社、三菱地所ハウスネット株式会社をはじめ、今年6月からはクレジットカードのポイント交換アイテムのパートナーとして、アメリカン・エキスプレス との連携も開始した。

同時に、地域の価値を都市生活者に向けて訴求しようとする地方自治体と地方創生事業も行っている。

昨年より連携している岩手県一関市を皮切りに、今後は全国の自治体を対象として、地域食材の販路開拓や、新たにチャレンジする取り組みの支援を行いながら、将来的な後継者不足解消や過疎化対策などの一助になることを目指す方針だ。

林業に焦点を当てたサービス「KIBA.com」のメリット

最近では、今回のような一次産業を盛り上げようというサービスが登場している。たとえば、林業に焦点を当てたサービス「KIBA.com(キバドットコム)」がある。これは、ノベルティグッズ製作・販売などを通し、日本の林野業界の活性を目指す“森の総合商社”フロンティアジャパン株式会社が展開しているもので、全国の木材・木材製品の売り手と買い手を直接つなぐマッチングサービスだ。

同社の幅広いネットワークにより「売り手」と「買い手」が直接コンタクトするスタイルとなっており、木材事業者の紹介ページより、希望にあった会社をサーチすることができる。また、企業情報の他、納入実績や掲載製品なども入手することができ、これらは随時更新される。

さらに、新規取引では前金が当たり前のため、「キバドットコム」では月末締の後払い決済を用意している。また複数の取引が発生しても請求は一本化されるという。

生産者の「顔」が見える食材消費地の形が増加

近年では、地産地消、生産者の顔が見える、といった食材消費の形が増加してきている。この背景には、安さや量よりも質を、モノそのものではなく体験を求める消費動向の変化がある。中でも、農産物に対しては、そういったニーズは高い。

今回の「OWNERS」のリニューアルは、そうした生産者と消費者のコミュニケーションをさらに高めようというものだ。「OWNERS」はどこまでこの新しい消費行動の拡大を後押ししていけるだろうか。

img:PR TIMES