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2018年6月20日、カナダのトルドー首相は、嗜好品としての大麻の所持や使用を同年10月17日から合法化すると発表した。大麻使用を国家として合法化するのは、ウルグアイに次ぐ2番目の事例だという。
アメリカでは、カリフォルニアやコロラドなど9つの州で合法化されている。その勢いはとどまることを知らない。
各国や各州でのマリファナ合法化を背景に、マリファナ専門チェーンも登場している。
昨今、「◯◯界のスターバックス」という言葉で様々なブランドが表現されているが、今回紹介するのは、『FastCompany』にてマリファナ界のスターバックスと評されている「MedMen」だ。
マリファナを取り巻く環境の変化。2026年には500億ドルの市場規模に
世界では、マリファナの使用に対する考え方が変化しつつある。医療用だけでなくレクリエーションでの使用が解禁されるようになってきた。特に北米では、解禁に向けた多くのニュースが報道されている。
『Forbes』によれば、現在の世界の合法大麻市場の規模はおよそ77億ドル(約8,400億円)と推定。Cowen&Coの報告によると、2026年には500億ドル(約5.4兆円)まで拡大すると予測されている。
マリファナビジネスに、クリーンに、そして実直に挑む
2010年にカリフォルニアで設立された MedMen は、マリファナ産業を牽引するブランドだ。小売店のチェーン展開や、最新の農業技術によるマリファナ栽培施設の運営をしており、「マリファナ界のスターバックス」と『FastCompany』に評される。
2016年にマリファナ関連企業への投資を専門に行う投資事業もスタート。カナダの企業とジョイントベンチャーをつくり、カナダ市場への進出も予定している。
ウェブサイトのトップには “Shop. It’s legal.(買おうよ、だって合法だから)” とキャッチフレーズが記載されている。社会的にネガティブなイメージを一新するような、大胆でわかりやすい言葉だ。
MedMenでは、効能により分けられた複数のマリファナを販売している。昼間に使用してクリエイティビティをあげるもの、夜に使用してリラックスを促すものなど、シーンによって使い分けることができる。吸引に使う器具やパッケージはデザイン性が高く、非常にフォトジェニックだ。
小売店は、フラッグシップストアとなるマンハッタンをはじめ、カリフォルニア、ネバダ、ニューヨークに12店舗ある。さらに3店舗を近日中にオープン予定だ。
店内はまるでApple Storeのよう。見渡しの良いオープンなレイアウトに、白と木をつかったモダンなデザイン。大きな机には説明用のiPadと芽の状態のマリファナがディスプレイされており、壁には規則正しく在庫が配置されている。ショップスタッフは、赤いTシャツをユニフォームにして接客をする。
また、ライフスタイルにおいてマリファナがどのような役割を果すかを伝える季刊誌「EMBER」を店舗で配布している。
ユーザーから信頼を得るための「デザイン」へのこだわり
これまで非合法であったビジネスに関わるのであれば、クリーンなブランドイメージやメッセージを発信することが重要になる。
MedMenは店舗からプロダクトまで、デザインにこだわり、“怪しい”イメージを持たれないように工夫している。同社は消費者に信頼されるようなブランド構築に取り組んでいるのではないだろうか。
実際、店内には20代のカップルや、退職しビバリーヒルズに住んでいるファッショナブルな女性などが訪れているようだ。
MedMenでは、今後の市場の変動をいち早くキャッチするため、顧客情報や購入履歴をすべてデータ化し、分析している。
分析によれば、同社の売上の60%を喫煙によって使用するマリファナが占めるが、その割合は今後減っていくと予想している。若年層は、グミやキャンディーなど喫煙以外での使用方法を好む傾向にあるからだ。同社では、キャンディーやチョコレート、ボディークリームやペット用のサプリメントなども取り揃え、様々な用途を提案している。
マリファナブランドがチェーン展開されるほどの盛り上がりをみせ、市場への期待値は非常に高い。とはいえ、つい最近まで非合法であったものである。人々がその存在を受け入れていくには信頼性が重要になるだろう。MadMenはクリーンで洗練されたデザインや、データ分析などを武器に、ロジカルに消費者にアプローチし、信頼を獲得しようとしている。
新しい価値を世の中に広めようとするとき、人々や企業に対して、どうやって信頼を得ていくか。そんな観点において、MedMenの挑戦は重要な示唆を与えてくれるのではないか。
img:MedMen