日本はキャッシュレス後進国からの脱却実現なるか。JR東日本らが青森県内でキャッシュレス化実証実験

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世界的にキャッシュレス化が進む中、日本では未だに現金に対するこだわりが大きく影響しているからか、キャッシュレスに対する不信感が拭いきれないでいる。このような日本の状況を打破すべく、国や自治体がキャッシュレス化を進めている。

株式会社Origamiは、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)と JR 東日本スタートアップ株式会社が主催・運営する「JR東日本スタートアッププログラム2018」をきっかけに、今後、青森県、青森市、公益社団法人青森県観光連盟、青森商工会議所などと連携し、キャッシュレス化をテーマとした青森県での実証実験の準備に着手すると発表した。

スマホ決済サービスで青森のキャッシュレス化を促進

JR東日本スタートアッププログラムは、JR東日本が2017年に開始したプログラムで、ベンチャー企業等から駅や鉄道、グループ事業の経営資源や情報資産を活用したビジネス・サービスの提案を募り、ブラッシュアップを重ね実現しているものだ。有望な提案には、JR東日本グループのリソース提供の他、必要に応じた出資などの支援を検討する。

特に、今年度のプログラムにおいては、青森県を実証実験のフィールドとし、JR東日本の経営資源の他、青森地域の資源を活用した協業プランが募集され、Origamiは、キャッシュレス化をテーマとした実証実験の準備に着手するようだ。

このプログラムを通じてOrigamiは、地域の観光資源を活用し、スマホ決済サービス「Origami Pay」と結びつけることで、青森のキャッシュレス化を促進する。特に、県外居住者や訪日外国人に対する旅行や消費の喚起、県内居住者に対する消費喚起を図る。

今回の青森県での実証実験では、増加する青森県への中華圏の外国人旅行客を対象に、二次元コードを使用したキャッシュレス化を推進することにより、国内外の旅行客の集客を促進する狙いだ。

福岡市が実施したLINE Payを使った実証実験

日本でも前述したように国や自治体がキャッシュレス化を進めているが、その一つに福岡市がある。福岡市は、『キャッシュレスFUKUOKA』を合言葉とし、市と民間企業が一体となってキャッシュレスの推進に取り組んでいる。

その一環として、LINE株式会社、LINE Pay株式会社およびLINE Fukuoka株式会社は、「福岡市実証実験フルサポート事業」の「キャッシュレス」に関する実証実験プロジェクトの「福岡市施設」「民間施設」の双方で採択された。

まず、2018年6月に、動植物園、美術館、博物館、自転車駐車場などの市施設と、市内各所の屋台、タクシー、商店街などの民間施設で「LINE Pay」を導入し、キャッシュレス・ウォレットレスの実証実験を行った。

実証実験では、「LINE Pay」に加え、市が開設している福岡市LINE公式アカウント(LINE ID:@fukuokacity )とも連動させるなど、LINEのサービスを複合的に利用することも視野に入れた。

これにより、市民の生活がより便利・快適なものになることを目指すとともに、市内の99%を占める中小企業の生産性向上や、商業都市・観光都市としての魅力向上を目指す。

実験に活用された「LINE Pay」は、LINEを使った決済サービスだ。その使い方は簡単で、LINE内でパスワードを設定すると、LINE Payに登録することができる。銀行口座、コンビニ、Pay-easy(ペイジー)などから、チャージが可能。チャージすることで、加盟店でのLINE Pay決済・コード決済が可能になる。また、LINE Pay間での個人間送金・送金依頼・割り勘といった機能も充実している。

日本のキャッシュレス化の行く末

野村総合研究所の「キャッシュレス化推進に向けた国内外の現状認識」によると、2016年の日本のキャッシュレス決済比率は、19.8%でしかない。これに比べ、韓国96.4%、英国68.7%、オーストラリア59.1%、シンガポール58.8%と諸外国は軒並み高い比率になっている。

しかし、今回の青森県や福岡市などをみてもわかるように、自治体や国は、普及に積極的に取り組んでおり、実験は他の自治体にも広がるだろう。

それに加えて、「LINE Pay」の存在も大きい。これにより、店舗での決済、オンラインでの決済のみならず、個人間送金の利用が広がり、取引件数・流通総額がさらに増大していけば、日本におけるキャッシュレス社会の実現が一気に加速する可能性があるのだ。

img:PR TIMES

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