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少子高齢化や都市部への人口流入、団塊世代が亡くなることによる大相続時代への突入など、さまざまな要因で空き家の増加が見込まれている。
誰が管理しているのかさえ分からない空き家が増え、近隣住民に迷惑をかけるなどして社会問題化しているのも周知の通りだろう。所有者は、空き家の利活用や取り壊しなどの対応が必要となるが、実際はどんな状況なのだろうか。
空き家を持つ人の悩みでもっとも多いのは「場所が自宅から遠い」こと
※神奈川県座間市・千葉県千葉市でのセミナーの結果
※埼玉県川口市・茨城県つくば市でのセミナーの結果
「不動産相続の相談窓口」を全国展開するハイアス・アンド・カンパニー株式会社では、2018年5月~6月に首都圏4カ所で「空き家対策セミナー」を開催。そのセミナーへ来場した70名に対してアンケートを実施した。
まず空き家の悩みについて聞いたところ、最も多い回答が「場所が自宅から遠い」だった。空き家の状況を確認したり何らかの対応をしたりしたくても、距離が問題で何もできないという人が多いようだ。
加えて問題を感じている空き家や実家の所在地はどこか聞いたところ、県内(42.6%)より県外(57.4%)という回答が多かった。「自宅から遠い」という空き家の問題を裏付ける結果となっている。
空き家を持つ人の6割以上が自身で定期的に管理しているものの、物置状態といった回答も
空き家をどう管理しているか聞いたところ、「自身で定期的に管理している」と回答した人が全体の6割以上にのぼった。その一方で28.6%が「その他」と答え、内容をくわしく聞いたところ「物置状態」「庭の掃除のみ」という回答が見受けられた。これにより、空き家を管理しきれていない人がいることがわかる。
空き家の売却や転用が困難となる「共有」の状態も約2割存在する
空き家の所有形態について聞いたところ、「単有(ひとりで所有)」がと答えた人が80.7%だったのに対し、「共有(複数人で所有)」という人も19.3%に上った。
共有の場合、空き家を売却したり他の用途に転用したりしたくても、所有者全員の同意が必要となるため、事態が複雑になってしまうことがある。共有にならないようにするための事前の対策や、仮に共有状態の場合、さらに共有が行われるなどして問題が複雑化する自体を避けるため、早めの対策が求められるところだ。
空き家の対策として最も注目されているのが「売却」
同アンケートでは、空き家の今後の対策方法で最も興味があるのは何かについても聞いている。結果、「売却」との回答が41.3%で最も多く、「空き家の利活用」(25.3%)がそれに次いだ。多くの人が空き家をそのままにしておくより、資産活用につなげたいと考えているようだ。
個人でも空き家を証券化できる?不動産の証券化とクラウドファンディングを組み合わせたサービスも登場
空き家問題を利活用する際にネックになるのが、維持・改修のために相応の資金が必要になることだ。手元にその資金がない場合、銀行に融資してもらうなどして調達する方法はあるが、そう簡単ではない。
こんなときに個人の助けとなるサービスが2017年5月に登場している。それが不動産の証券化とクラウドファンディングを組み合わせた「Crowd Realty(クラウドリアルティ)」だ。
これまで不動産を証券化して資金を投資家から集める場合、投資法人設立に多大な費用と手間がかかり、個人ではなかなか難しかった。
そこでCrowd Realtyでは、投資法人設立をCrowd Realtyが行うことにより、コストを削減。また運用状況によって資産が分配される仕組みを用意したり、少額からの投資を受け付けたりすることで、クラウドファンディングによって資金を集めやすくした。
Crowd Realtyによって、個人でも空き家を資産化する有効な手段が1つ増えたと言えるだろう。
多くの人が直面する空き家問題、有効な対応策が待たれる
今回のアンケートでは、自宅から空き家のある場所が遠く、多くの人が対策に手をこまねいていることがわかった。また今のところは自身で管理できているという人が最も多かったものの、その一方で、物置状態になっているなど管理しきれていない人も多くいることもアンケート結果に表れている。
またアンケートの回答にもみられたように、仮に現在は空き家を所有していなくても、家族が亡くなるなどで今後空き家を管理しなければならなくなる人も多くなるはずだ。団塊世代が老齢化して亡くなり、多くの空き家が発生する時代も迫っている。
かといって、相続の問題などがあり、個人で空き家を売却したり利活用したりする際にも多くの課題に向き合わなければならない。そんなときに、今回紹介したCrowd Realtyのように、空き家を持つ個人の強い味方となってくれる対応策が今後も登場することを期待したい。
img:PR TIMES