アスリートが競技を続けていく上で欠かせない活動資金は、賞金やスポンサーからの収入で賄われている。
競技人口の少ないスポーツやアマチュア選手は、本来競技に集中して取り組みたいはずではあるが、金銭面で苦労することが多く、働きながらの活動という二足のわらじになりがちだ。
その問題を解決しようと、ベンチャー企業を中心に課題解決に向けた動きが出始めている。
東大発ベンチャーがスポーツチームを個人から応援できるサービスをリリース
株式会社ventus(東大発のベンチャー企業)はプロスポーツチーム3社と提携し、資金調達を支援するユーザー参加型のアプリという、少し変わった形態でスポーツチームを応援できる新しいアプリサービス「whooop!」のベータ版を2018年7月12日にリリースした。
whooop!は「チームには、ファンからの新たな資金獲得手段を」というコンセプトのもと、ファンがスポーツチームやアスリートがオンライン上で発行したトレーディングカードを購入し、コレクションするというサービス。カードの購入はファンにとって自分の愛するチームの支援であり、さらにカードwpコレクションしていくことで特別な特典を獲得することもできるという仕組みだ。
各チームにおいて、カードコレクションによる「ファンランキング」も実装されており、自身の「ファン度」を他のファンに証明できるというSNS的な承認欲求を満たせるような機能もある。
他の資金支援サービスと異なるのは、各登録チームが発行する電子トレカをユーザー同士の売買や、オークションにかけることが可能で、その収益がプロスポーツチームの資金となる点はだ。カードのコレクションなどにより、ファンをチームに「参加」させ、スポーツ界におけるファンとチームの新たな関係性を築く試みを行おうとしている。
現在の登録チームは、宇都宮ブリッツェン・名古屋OJA・琉球アスティーダの3チームが予定されている。
今後の見通しとしては、ユーザー同士での電子トレカの交換・売買、チームから得点を獲得できるイベント機能の実施などが予定されている。さらに電子トレカをブロックチェーン上で管理し、スポーツ支援コミュニティを形成するのが狙いだ。
アスリートの資金調達専門の「マッチングサービス」が登場。進化するスポーツビジネスの現状とは
以前までは、企業側も個人側も中々参入できなかったスポーツビジネスだが、「マッチングサービス」の登場によって新しいあり方が誕生し始め、スポーツがより身近なものとなる動きを見せている。
オンライン支援会の「athlete yell(アスリートエール)」はスポーツ特化のクラウドファンディングだ。主な登録選手はマイナー競技、アマチュア、ブレイク前の選手などが登録している。選手は登録してPRを行い、企業や個人から資金を調達することで遠征や大会の出場費など、活動費用を調達することができる。
また、スポンサーは選手からのメッセージや個人でのレッスンなどを受けることが可能。企業も小口出資でタイアップや企業のPRをすることができる。
より具体的な宣伝手段をアピールできるサイトも登場している。Kプロデュース株式会社は、プロ・アマ問わずにアスリートを支援できる「Find-FC(ファインドエフシー)」を運営している。
このサイトの特徴は、アスリートが具体的な宣伝手段を掲載している点だ。また、Twitterのフォロワー1,000人以上などの具体的な影響力での検索も可能。現在の実装されている宣伝では、施設や商品のレポート、SNSやブログでのサービス宣伝、イメージキャラクターなどの活動が想定されている。
こういった活動により、アマチュアやマイナー競技の資金調達手段は確実に広がってきている。
広がりを見せるスポーツビジネス。さらなるビジネス展開へ
今回のようなベンチャー企業やスタートアップの動きによって、スポーツ界での資金調達の難易度はプロ・アマ問わずに下がり始めたといえるだろう。しかし、現状では企業側・アスリート側ともに発展段階であり、今後も改善の余地はありそうだ。
「アスリート」と「ファン」のつながりは強固なものであり、今後も「ファン」を巻き込んだビジネス展開が注目されるだろう。スポーツビジネスは、さらなる発展の領域へと突入したばかりだ。
img:PR TIMES