会社に毎朝出社して、朝から夕方まで働くという今までの仕事のスタイルは、今後大幅に変化していきそうだ。

クラウドソーシングが一般的になりつつあることや政府の働き方改革などで、フリーランスやリモートワーカーが徐々に市民権を持ち始めていることで、働く場所も多様化し、労働の価値観が変化してきている。

これらの時代の変化に伴い、フリーランス向けの快適な作業スペースを提供するサービスが急激に増えており、「コワーキング・スペース市場」が創出されてきている。まさに新しい働き方時代の到来と言えるだろう。

コワーキング・スペースが急拡大。2018年上半期時点で2倍に

総合不動産サービス大手のJLLは、東京のオフィス市場におけるコワーキング・スペースの現状を分析したレポート「東京オフィス市場で拡大するコワーキング・スペース」を発表した。

コワーキング・スペースは2017年頃より急激に拡大しており、そのスピードは驚異的ともいえる。2017年時点でのコワーキング・スペースのトータル面積は16,902㎡だったが、2018年上半期には32,624㎡と約2倍に拡大した。累計では60,000㎡まで増加する見込みだ。

しかしその進出拠点は、明確に分けられているようだ。現在コワーキング・スペースが中心に作られているのは、多くのビジネスが集中している千代田区、そして港区だ。利用客がビジネスにつなげやすいというのも理由の一つだろう。

今後のコワーキング・スペースは、より築年数の浅い高グレードの東京都心(日比谷、丸の内、八重洲)に所在するビルに順次拡大していくことが予想され、反対に築年数の古いビルや郊外のビルには進出が減少傾向にある。

しかし、今後数年は東京都心を中心としたコワーキング・スペースが拡大するため、空室率の問題も発生するだろう。その際に企業側の迅速な対応が求められる。東京市場では、今後も一段とコワーキング・スペース市場は拡大する見通しだ。

フリーランス人口は1,119万人、経済規模は約20兆円超え

コワーキング・スペースの拡大の背景には、フリーランス人口の増加が大きいだろう。ランサーズ株式会社の調査によれば、現在のフリーランスの経済規模は、約20兆まで拡大し、人口も1,119万人、人口の17%を占めるほどになった。

副業や業務委託も増加し、その人口は744万人、経済規模も8兆円と順調に推移しており、業務委託ベースのパラレルワーカーがその数を伸ばしている傾向だ。

広義の意味でのフリーランスには、副業系、パラレルワーカー、自由業系、自営業系の4タイプが存在している。なかでもクラウドソーシングの台頭で、特にパラレルワーカーが急増している。

フリーランス拡大の理由には、自分の能力を活かした仕事ができているという実感や、ワークライフバランスの実現などが以前よりも身近になったことも拡大の背景としてあるのだろう。

会社員の場合、好きな仕事を続けるというのは非常に難しい。転勤や人事異動などがあれば、自分の能力を活かせる仕事を続けられるかはわからない。さらに、残業や仕事の量も調整が利きにくいため、ワークライフバランスを保つのも困難である。

フリーランスは自由さの反面、責任も大きいが、時間や場所に縛られない生活がモチベーションになっている人が多いようだ。

また、働き方改革の一環として、友人との時間を増やすことができるなどの良い面もフリーランスになって生まれているようだ。

しかし、フリーランスにも課題はある。その最大の壁は、収入が安定しないことだろう。フリーランスを継続するには、仕事を自分自身で獲得し続ける必要が出てくる。現在のフリーランスの半数以上は、友人知人から仕事を得ている人が多いようだ。

フリーランスとして自由な時間を作るには、クラウドソーシングの仕様やコワーキング・スペースでの仕事の獲得など、仕事を継続して受注する方法を確立する必要が出てくるであろう。

働き方に関して見直す時代

政府の働き方改革を始めとした新しい働き方の提示は今後も続くだろう。以前のように正社員として会社に勤めなくてはならないという固定概念は少なくなり、新たな働き方を考える一つの手段として、フリーランスの増加が見込まれる。

自由を安定化させるには、しっかりとした収入が必要になってくる。優秀なビジネスパーソンは企業に頼らないワークスタイルへ徐々に移行し始めており、企業側としても働き方に何らかの変化を求めることが必要になるだろう。

自分の理想の生活を実現できる日は、おそらくもう目の前まできている。今まで以上に“なんの仕事をする”のではなく、“どのような生き方をしたいか”を問われていくことになりそうだ。

img:PR TIMES