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売りたいブランド品などをスマホで撮影するだけで査定し、一瞬で現金化できる「CASH」(該当商品はユーザーが2週間以内に発送)という即時現金買取サービスがリリースされてちょうど1年。
今までにない即時入金というユニークな方法をとったサービスは瞬く間に広がり、そのビジネスモデルが注目されるようになった。
新たな市場を創出した「CASH」を作り出した株式会社バンクの次の一手も、実は潜在ユーザーの多い「少額資金」に着目した異なる分野だ。
さらに新しい市場の創出を目指した新サービスは、一体どんな展開を迎えることになるのだろうか。
後払いで旅行を楽しめるアプリ「TRAVEL Now(トラベルナウ」」
インターネットを使用した新しいビジネスの企画・開発・運営を行っており、過去に「CASH」をリリースしている株式会社バンク(本社: 東京都渋谷区、代表取締役兼CEO:光本勇介)は、2018年6月28日(木)より、あと払い専用の 旅行代理店アプリ『トラベルナウ(英名:TRAVEL Now)』を開始することを発表した。
『TRAVEL Now(トラべルナウ)』は、手元に旅行代金がなくても旅行を可能にするサービスだ。その内容は「10万円以内の旅行であれば、誰でも、ボタンひとつで、いま旅行に行ける」というもので、ターゲットは20、30代の若い層となっている。
アプリ内には「航空券 + ホテル」「高速・深夜バス」「遊び・体験」など、国内・海外旅行を含む約4,000種類もの旅行商品が揃えられている。
旅行商品に関しては、アジア旅行をメインに取り扱っている株式会社エボラブルアジア(本社:東京都港区、代表取締役社長:吉村英毅)などの旅行会社と提携しているとのことだ。
トラベルナウの最大の特徴は、旅行代金の支払いが2ヶ月後でいいという「あと払いサービス」であることだ。現時点で手元にお金がなかったとしても、トラベルナウ内にある旅行プランを購入できるため、それぞれのライフスタイルに合わせたタイミングやスケジュールによって、支払いよりも先に利用することができる。
ここで考えつくのは回収へのリスクだが、トラべルナウの最大の特徴である「あと払い」はGardia株式会社が提供するGardia後払いサービス(ガルペイ)によって完結される。
バンク社はトラベルナウにおいて、決済金額(債権相当額)全額の受取りがGardiaにより保証されている。独自の手法による与信及び不正検知の実施をベースにしながら、バンク社の不正利用分を含む未回収リスクを引き受けるかたちだ。
Gardiaは、「その場では支払いのことを意識せずに気軽に体験や買い物を楽しみたい!」というニーズが世の中に一定以上あることを認識し、そのようなニーズを満たすべく事業展開を進めていることから、親和性の高いサービスを展開する同社と協業に至った。
性善説に立った新たなビジネスモデル
2017年にバンク社は即時買取サービス「CASH」をリリースし、1日で約3.6億円の取引を成立させ、一時サービスを停止する自体となった。商品の発送を踏み倒すユーザーもいたということで、トラベルナウでもこのような事案が発生することが容易に予測される。
こういったリスクがあるにもかかわらず、なぜあと払いといったビジネスモデルを採用し、事業を展開してくのか、CEOの光本氏はこう語る。
「私たちは会社として人を全力で信じ、CASHによってお金を先に世の中の人々に供給することを1年間続けてきました。この経験から、性善説に基づいたビジネスに可能性を感じており、少額資金分野においてマス単位で事業を展開していきたいと思っています。
そして、CASHを運営することで、他の企業よりも会社側のリスクなどを把握、計算できるようになっています。
事業としては、決済リスクをコストとして見込んでビジネス設定してあるため、結果的にドタキャンをしてしまうユーザーがいても運営していけると判断し、今回のリリースに至りました。
支払う現金がなくても、トラベルナウの旅行代金をCASHを通してモノで決済するといった、会社にシナジーをもたらすユニークな支払い手段の構想もあります。」
同サービスの最大の特徴である“あと払い”から予測されるリスクに関しては、性善説だけでは解決できるものではない。支払いの踏み倒しは、会社に大きな損失をもたらす。しかし同社のサービスの場合、そういった代金回収のリスクもコストとして事業戦略に組み込んでいるようだ。
性善説に基づいたビジネスモデルを違う領域でも展開できるのは、やはり1年間培ってきた知見やノウハウ、経験からだろう。
少額資金ニーズ市場の創出
市場が形成されるのは商品やサービスへの需要があるからにほかならない。そして、市場規模を拡大させるためには「購買意欲はあるがお金がない」という購買行動までに至らないユーザーを、行動にうつさせるという手段もあるだろう。
その観点から、光本氏は次のように語る。
「マスの単位で少額資金のニーズが世の中にあるにもかかわらず、その需要を満たすサービスはありませんでした。なのでスピーディーに需要に応えるためCASHをリリースしたという背景があります。
エクスペディア、トリバゴや国内の楽天トラベルをはじめとしたオンイントラベルエージェンシー(OTA)の市場規模は年々ましており、“お金がある人”が形成している市場になっています。しかし、このご時世“お金がなくて旅行を我慢している人”の方が潜在的に多いのではないかと思っているんです。
本日リリースするサービスを通して旅行という冒険と成長の機会を提供し、既存の市場ではなく、資金不足のユーザー向けの新しい市場を創出していきたいと思っています。」
潜在的な少額資金のニーズに応えるミッションを掲げリリースした「CASH」は、先述した通り、リリースした当日に約3.6億円もの取引が行われ、少額資金の需要におけるポテンシャルを世間に証明した。これは独自の取引スキームが作り出した新たな市場であり、今回はオンライン旅行市場で少額資金ニーズの市場創出を図っている。
お金がなくて旅行を我慢しているというユーザーに対し、あと払いというサービス形態を提案することで需要を満たし、潜在ユーザーを健在ユーザーへと押し上げることでの市場拡大を実現させようとしている。
性善説がもたらした新たな市場
冒頭で紹介したCASHのように、今までの決済の概念を覆すようなサービスをバンク社は展開している。
バンク社にとって、この事業形態は大きなリスクを伴うものではあるが、潜在的な市場を形成できることが証明された。
今後さまざまな場面で、このような決済スキームを用いたサービスが展開されることにより、ユーザーのデータが蓄積され、代金回収リスクが低くなることだろう。
そうすることで、他の領域においても低リスクでの事業展開が実現可能となる。おそらくバンク社は今後も性善説に立った、他企業が真似のできないユニークでオンリーワンの事業展開をしていくことだろう。
img: PR TIMES