シフトを作成する立場になったことがある人であれば、その作業の煩雑さや思った通りにいかない苦労に頭を痛めた経験があることだろう。

勤務シフトの作成では様々な要因に目を配る必要があるため、標準化や効率化が難しく、多くのアルバイトやスタッフを雇用する飲食・小売業でのその負担は大きい。

くわえて近年では、少子高齢化などによって労働人口が減少の一途をたどり人員確保が難しくなっている上、働き方の多様化も相まってその負担はさらに大きくなっている。

AIと行動心理学を用いた国内初の勤務シフト自動作成サービス「セコムかんたんシフトスケジュール」を開発

セコム株式会社のグループ会社であるセコムトラストシステムズ株式会社と、飲食チェーン店運営の豊富な実績をもつ株式会社吉野家、およびAIベンチャーの株式会社エクサウィザーズは、AIと行動心理学を用いた勤務シフト自動作成サービス「セコムかんたんシフトスケジュール」を開発し、今年9月に販売を開始する予定だ。

セコムかんたんシフトスケジュールは、勤務シフトの「AI自動作成機能」と、AI・行動心理学を駆使した国内初の「AIリコメンド機能」という2つのAI機能を採用している。

なお行動心理学の部分に関しては、東京大学・大学総合教育研究センター特任研究員で社会心理学者の正木郁太郎氏が監修した。

AIと行動心理学はどのようにシフトを自動作成するのか

セコムかんたんシフトスケジュールでは、はじめにスタッフの希望をもとにしてAIが勤務シフトを自動作成する。作成されたシフト表では、「キッチン」「フロア」といった仕事内容と時間帯が表示されており、シフトの詳細を一覧できる。

この時点では当然ながら欠員箇所が生じる可能性があるが、ここで登場するのが行動心理学だ。吉野家の店舗運営のノウハウと行動心理学をもとに開発されたアンケートを事前に実施し、個々のスタッフの性格や志向といった特長を分析しておく。

この結果と過去の応援実績をベースとして、AIが最適な候補者をリコメンド(推奨)するわけだ。さらにAIはスタッフごとの特長に基づき、どのように依頼をすればよいかのアドバイスもするというから驚きだ。AIには学習機能があり、実績が蓄積されることによってリコメンド精度の向上が図れる。

それらに加えてセコムかんたんシフトスケジュールでは、飲食・小売業に特有の繁忙期、短時間シフトといった多様性にも対応しているというから心強い。

管理者はこれらの機能を活用することによってヒューマンエラーを予防するとともに、シフト作成や調整に必要な手間や心理的な負担を軽減することが可能だ。その分、店舗の運営やサービス品質の向上に取り組むことができるので、生産性の向上への寄与も期待できる。

スタッフと管理者のシフト作成や確認の利便性も高める

セコムかんたんシフトスケジュールの魅力は、AIと行動心理学によるシフトの自動作成だけではない。シフト作成や確認に関わるスタッフや管理者の利便性も高めてくれる。

まず、スタッフはパソコンやスマートフォン、タブレットからいつでもどこでもシフトの希望を登録できる。登録した内容はもちろんのこと、作成された勤務シフト表や欠員箇所の確認も、これらの端末で可能だ。さらに欠員箇所があった場合の募集に、手元の端末から応募する機能も備えている。

また管理者は、AIが自動作成した勤務シフト表から、欠員がある日にちや時間帯、役割といった情報を一覧で簡単に参照することができる。これによってヒューマンエラーの削減にもつながる。

既存の人材を有効活用しようとする動きは他にも

既存の人材を有効活用し、慢性的な人材不足を解消しようとする動きは他にもある。

その1つが、パーソルグループのパーソルキャリア株式会社によるヘルプシフトサービス「Sync Up(シンク アップ)」だ。このサービスでは、店舗間でのスタッフシェアリングを実現する。

具体的には、人員が足りている店舗のアルバイトが、シフトが組めていない店舗の情報を検索し、希望にあったシフトに応募する。

アルバイトは、希望する時間に希望の店舗で働けるため、人員が不足している店舗のシフトの稼働をあげることが可能だ。

またシフトの融通が利くようになるため、アルバイトの満足度が高まり離職率を下げることにも貢献する。Sync Upが既存の人材活用にどれだけ寄与するか注目だ。

AIと行動心理学のタッグは労働者不足に悩む飲食・小売業を救うか

シフト自動作成サービス「セコムかんたんシフトスケジュール」は、AIと行動心理学に基づいて最適なシフトを作成するとともに、欠員箇所の人材を応募する際のアドバイスも行ってくれる。これによって、飲食・小売業はシフト作成の精度を高め管理者の負担を減らすことができる。

またスタッフのシフト参照やシフト応募の利便性を高めるのにも役立つ。AIと行動心理学のタッグを組んだこのサービスが、労働者不足に悩む企業の助けになるか期待していきたい。

img: PR TIMES