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初任給をもらったときの使い道と言えばどんな使い道があるだろうか?よく聞く話としては、育ててくれた両親へのプレゼントを購入するというもので、2017年に行われた明治安田生命相互保険会社によれば、44.1%の新入社員が同様の回答をしている。
しかし、今回ご紹介する結果では両親へのプレゼントという項目も高くはあるが、それを「貯金」が上回るなどの変化が見て取れる。
ソーシャルレンディング比較サービス「クラウドポート」を運営する株式会社クラウドポートは、初任給に関するアンケート調査結果を公開した。この結果、初任給の使い道1位は「貯金」となり、およそ2人に1人が「初任給の一部を資産運用に回しておけば良かった」と回答したことがわかった。
新社会人の初任給の使い道トップは「貯金」
この調査は、20代から40代の男⼥ 361 名を対象としたもの。まず、上のグラフのように、新社会人の初任給の使い道は、1位が「貯金」(50.7%)で、半数以上の方が初任給を貯蓄に回していることがわかった。
次いで多かったのが「両親へのプレゼント」(41.6%)、「自分へのプレゼント」(23.0%)と、使いみちの傾向は2017年とおおよそ変わらない結果となった。
また、初任給を「株などの投資」に使ったと答えた割合は、昨年の1.7%から2.5%へと上昇した。新社会人になるタイミングで、資産運用や投資にチャレンジしてみようという人が一定数いることがわかるとしている。
続いて、初任給の使い道を「貯金」と回答した人に対して「その貯金を将来的に運用したいと思いますか?」という質問をしたところ、「思う」と回答した人が65.0%に上り、これは2017年と比較して8%近く上昇した結果となった。半数以上の人が、そのまま預けておくだけでなく、運用し資産を増やしていきたいと考えていると推測できるとしている。
また、資産運用について、「新社会人の時から、将来へ向けて資産運用の知識を多少なりとも持っていたほうが良いと思いますか?」という質問には、7割以上の人が「思う」と回答した。
資産運用に対するイメージとして「難しそう」「よくわからない」「怖そう」といった印象も多いことから、実際に運用するための知識を新社会人の時から持つべきだと考えている人が多いことがわかるとしている。
2人に1人が「初任給の一部を資産運用に回したかった」
次に、「初任給の一部をもっと資産運用に回しておけば良かったと思いますか?」という質問をしたところ、「思う」と回答した人が48.8%で、およそ2人に1人が初任給の一部を資産運用に回したかったと思っていることがわかった。
加えて、「お金の面に関して、将来に不安がありますか?」という質問に対しては81.7%の人が「ある」と回答した。将来の年金制度がどのようになるのか不確かな中で、多くの人が自分に必要なお金は自分で備えなければいけないと感じていることが推測できるとしている。
それでは、もし資産運用するとしたら、どのような金融商品を選ぶのだろうか。選びたい金融商品について質問をしたところ、「リターンが小さくても保全性が高いもの」が59.8%と最多だった。リターンの高さよりも保全性、着実性を重視する人が圧倒的に多いことがわかる。
次いで、「少額(1万円くらい)から投資できるもの」が34.1%、「手間がかからずほったらかしで運用できるもの」が27.4%といった回答も全体の約3割が回答していることから、保全性の他には “手軽さ”や“簡単さ”というポイントも選びたい金融商品に強く出ていることが見て取れるとしている。
このような「保全性が高い」、「少額から投資できる」というニーズに応えられる金融商品の一つとしてはソーシャルレンディングがある。
ソーシャルレンディング(投資型 / 融資型クラウドファンディング)は、お金を投資したい一般投資家と、お金を必要としている人・会社を、インターネット上でマッチングする新しい金融技術(フィンテック)の一分野だ。
ソーシャルレンディングは株式やFXなどと比べて景気の変動や経済情勢に直接的な影響を受けにくく、担保付の投資先もあるなど、リスクの低い投資を選べるのが特徴である。
また会社により1万円~5万円くらいで投資できるファンドがほとんどと、少額からの投資が可能。2017年には、1年間で1,316億円もの投資が集まっており、これは2016年と比較して147%の成長率となる。
高まる「お金の教育」必要性
今回の調査では、多くの人が資産運用に興味を持っていることが分かった。それを実現するためには、資産運用の知識を身に着けること、つまり「金融リテラシー」が必要となる。金融リテラシーとは、金融や経済など、お金に関する知識や判断力のことを指す。経済的に自立して、自分らしいライフスタイルを実現するためには必要な生活スキルだ。
しかし、日本では先進国の中でも、日本人の金融リテラシーは低いといわれている。それは、学校での「お金の教育」によるものかもしれない。
「日本証券業協会」が金融経済教育に関して行った調査では、「経済の基本的な仕組み」を取り上げる中学校・高校は過半数を超えるが、「クレジット・ローン・証券」、「保険の役割」について取り上げるのは3~4割程度だったという。
現場の教師からは「知識は身に付くが、能力や態度が身に付きにくい」や「金利や金融商品の種類、リスクとリターンの関係など、実践的な知識が少ない」といった問題点も指摘されている。
一方、米国では金融リテラシーを高めるために、中学・高校でファイナンス教育を取り入れる動きが見られる。米国内でパーソナルファイナンスを必修科目に定める高校は16.4%程度だ。5つの州では同科目が全ての高校の卒業必修単位に含まれている。
ウィスコンシン州のOconomowoc High Schoolでは、パーソナルファイナンスの授業を全生徒に受講させている。授業では、クレジットカードの使い方や借地・借家契約書の読み方、投資、学生ローンの返済方法などを扱う。「子どもたちには将来起こりうるシナリオに備え、知識やスキルを身につけてほしい」というのが必修化の目的だ。
このようなファイナンシャル教育のニーズの高まりにともなって、その間口はどんどん広がってきている。北米では「お金のライザップ」と言えそうな金融版のパーソナルジムも登場した。
マンハッタンにあるFinancial Gymは、専属のトレーナーがマンツーマンでお金に関する目標達成をサポートするサービスだ。
個々のゴールに応じて、最適な達成計画を立案。対面や電話でのミーティングやオンラインサポートを通じて、実践的な知識のレクチャーからモチベーション管理までを請け負う。利用料金は月額85ドル(約9,000円)だ。
お金に関するものであれば対象領域は広い。たとえば結婚式など一定の費用がかかるイベントに向けた予算管理や貯蓄計画、奨学金やローンの返済計画、資産運用のレクチャー、退職後のマネープラン設計などを支援する。
特典として会員限定の無料イベント参加券のほか、ビールやワイン、スナックが無制限で提供される点もユニークだ。
一方、日本でも同様の動きが始まっている。家計簿アプリや会計ツールなどを展開するマネーフォワードは、2018年1月にファイナンシャルプランナーの横山光昭氏と共同でmirai talk株式会社を設立。新宿に“未来のおかね”を学べるお店mirai talkの1号店をオープンした。
mirai talkは横山氏のメソッドと家計簿サービス“マネーフォワード”を組み合わせながら、各ユーザーの家計の悩みや不安を一緒に解決していくお金の窓口だ。
90分間で未来のお金と必要貯蓄額を診断するライフプラン診断、計10回の面談を含む1年間のオーダーメイドプログラム“パーソナルトレーニング”、家計管理や保険、投資について少人数で学べる「お金のスクール」という三つのサービスを用意。これらを通じて家計改善や金融リテラシー向上のサポートをする。
自分らしいライフスタイルの実現へ
新社会人になるタイミングで、資産運用や投資にチャレンジしてみようという人が一定数いることがわかった。しかも、その数は年々増加傾向にあるようだ。
その根底にあるのは、経済的に自立して自分らしいライフスタイルを実現する、という考えだ。少子高齢化が進む中で、年金制度に関して不安を持っている若年層も多く、自立したライフスタイルの先の生活を考え、貯蓄だけでなく運用を行いたいという考えもあるだろう。
かつては、お金は家族のため、誰かを養うため、といった使い方が多かったように思う。特に、一時代前までの日本ではそうだったろう。しかし、時代はどんどん核家族時代になり、個人主義的な考え方も進む中で、自分のために使うという考えも多くなってきている。「お金」は自分へ投資するという時代になってきているのだ。
img: PR TIMES