世界最大のスマートフォン市場である中国でスマートフォンの出荷台数が落ち込んでいる。AMPでも​5Gスマートフォンについての記事でスマートフォン市場が減速する見通しについて触れたが、具体的には何が起こっているのだろうか。

カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチの最新調査によると、中国のスマートフォン出荷台数は減速し、2018年第1四半期に前年同期比8%、前期比21%の落ち込みとなるという。

そして、トップ5ブランドが過去最高の82%のシェアを獲得する一方で、その他の携帯ベンダーは成長に苦しんでいるとしている。今回はこの調査結果を中心に中国のスマホ状況をご紹介する。

中国の2018年はスロースタートの年

まず、中国のスマートフォンの概況であるが、世界最大のスマートフォン市場である中国の2018年は、スロースタートの年となったという。同社によると、伸び悩みの一因は、中国の消費者の買い替えサイクルが長くなったことにあるという。

加えて、携帯ベンダーがベゼルレスではないモデルを中心に在庫調整を行った結果、2018年第1四半期に投入した新製品が少なくなったことも出荷数量に影響していると分析している。

ベゼルレスモデルは中国では一般的になり、より多くのベンダーが1,000人民元(~US$160)以下のベゼルレスモデルを投入し、中位セグメントでの差別化を図るとみられるとしている。

次に、2018年第1四半期の中国のスマホ市場シェアであるが、トップはHuawei(華為技術)でシェアは21.6%だった。続いて、OPPOとvivoがそれぞれ17.6%と15.5%のシェアで、2位と3位にランクインした。

注目すべきは、5位のApple(14.3%)と6位のXiaomi(13.1%)だ。Appleは前年度比32%増、Xiaomiは同51%増の成長を遂げている。

HuaweiのモデルHonorは引き続き中国市場で好調で、その売り上げの2/3はネットからの購入であるという。さらにHuaweiはNovaシリーズの大規模なプロモーションも実施し、販売台数を稼いだ。

OPPOとvivoは2018年第1四半期の第2位と第3位であり、合わせてスマホ市場の1/3を占めている。しかし、この四半期における伸びは著しく減速しており、これは商品ポートフォリオの更新がなかったためであるとしている。

OPPOとvivo、どちらも第1四半期の終わりには新機種を投入する予定であり、ディスプレイ面の指紋センサーやノッチディスプレイなどが加えられる。両社のそれぞれXシリーズ、Rシリーズにこうした新機種が加わることで、次の四半期の業績は好転するだろうと同社ではみている。

リアル店舗を充実させたXiaomiが好調

また、前述したようにXiaomiは、この四半期における中国の携帯ベンダーの中で、最も高い成長率を遂げている。これはXiaomiがリアル店舗を充実させ、積極的なプロモーションを行ったことによるという。

また、Redmi Noteシリーズを刷新したことで中位セグメントの市場におけるポートフォリオが強くなり、値段に敏感な購買層に多様な選択肢を提供できたことも、功を奏しているとみている。

一方、Apple もiPhone Xの強い商品力により前年同期比で32%の伸びを示している。

この四半期での新商品について、リサーチアナリストのMengMeng Zhang氏は以下のように述べている。

「この四半期のハイライトのひとつはノッチデザインのディスプレイだろう。2018年第1四半期末までにトップ5ブランドのうち4社がノッチディスプレイの機種を中国で導入した。早期にノッチディスプレイを採用した企業は、商品デザインの差別化でリードしている。」

また、Appleの業績と今後について、アソシエイトディレクターのTarun Pathak氏は以下の点を強調している。

「Appleは中国において過去2年機種更新していない大勢のユーザーを抱えている。2015年第1四半期以降、前年同期比較で成長に転じており、旧機種ユーザーが機種変更をし始めていることを示唆している。この傾向は通年で続くであろう。アップルが例年のサイクルに従って次の四半期にプロモーションをかければ、買い替えは加速すると思われる。」

5Gスマホに左右される今後の中国スマホ市場

そして、今後の中国のスマホ市場であるが、これは5Gスマホに左右される可能性が高い。カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチの調査では、世界の5Gスマートフォンの売り上げは2021年までに225%の伸びを示し、ほぼ1.1億台に達すると予測した。そのカギを握るのは、米国、韓国、中国、日本における5Gインフラの開発とスマートフォン売り上げの成長だという。

その一方で短期的には成長の障害となる課題があるが、スタンドアローン5G規格の制定を機に市場は一気に成長すると予測している。

スマートフォン市場全体について、同社リサーチディレクターのPeter Richardson氏は下記のようにコメントしている。

「2018年から2021年にかけて、スマートフォン端末市場は減速しCAGR 1~2%の見通しである。これは市場が飽和したことと、製品の進化が市場を刺激するほどではないこととによる。5G端末はシェアを得ていくだろうが、全体として移行はゆっくり一定のペースで進みそうだ。5Gのビジネスケースと5Gのインフラが確立できたら、売り上げは拡大するだろう。」

今後は再び成長基調となるか?

このように、中国のスマホ出荷は2018年第一四半期は落ち込んだものの、XiaomiやAppleは高い成長を示しており、今後は盛り返す可能性が高いと言える。

さらに、将来的に5Gスマホの鍵を握るのは中国や日本などのアジア勢とみられており、今後も中国のスマホ市場から目が離せない。

img: PR TIMES