INDEX
デジタル化社会への移行が進む現在、チャットツールやストレージサービスなど、ビジネスシーンでのやり取りを効率化するツールは多く開発されている。
各サービスにそれぞれ使いやすさの特徴はさまざまあるが、重要な情報をわかりやすく共有するという点において、まだ改良の余地はあると感じているユーザーも多いことだろう。
今回登場したチャットサービス「Stock(ストック)」は、簡単に「チームの情報ストック」と「タスク管理」ができるというサービスだ。
シンプルで使いやすさにフォーカスしたチャットツール
Stockは、株式会社リンクライブが運営する情報共有ツールである。ITの専門知識がない中小規模チーム向けで、知識がなくても即座に導入できるという。
また、余計な機能は一切なく、誰でも使えるとにかくシンプルなツールである。
さらに、これが最大の特徴なのだが、簡単に、チーム内の「情報ストック」と「タスク管理」ができる。チーム情報は従来のチャットツールのように情報が流れていくことがない。また、チームのタスクを、手軽に管理できるという。
その他、スマホから撮影した写真もすべてボタン1つでストックできる、ダウンロードすることなくファイルや画像がブラウザ上でプレビューされる、特定のメールアドレスに来たメールをStock上のフォルダに自動格納できる、削除したデータは30日間保存され誤削除のリスクがない、Stockの利用に関する質問は遅くとも1営業日以内に返信できる、すべてのデータは完全に暗号化され厳格なセキュリティ環境下で保護される、といった機能もある。
登録もITの知識がなくても30秒で完了
Stockのサイトには、「無料で試してみる(30秒で入力完了)」というボタンがあり、試してみた。
まず、ボタンをクリックすると「新しいチームを登録」というページになり、チームのメールアドレスを入力する。すると、パスワード設定のページになり、好きなペパスワードを入力する。次にチーム名を入力すると(ここではAMP編集部としてみた)、チームURLの入力ページになり、これで登録が完了する。
あとは、チームメンバーを招待するだけである。入力欄に改行して入力すると、複数人を同時招待できる。また、メンバーは、後から追加招待することも可能だ。
つまり、登録もページで指示されるままにやれば、ITの知識がなくても誰でも30秒で簡単にできるのだ。
多くのサービスがしのぎを削るチャットツールAI
このような、ビジネス上のやり取りをメールではなく、チャットで行えるツールであるビジネスチャットは、急速に市場が拡大している。
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社が2017年2月に実施した「大手企業のビジネスチャットツール導入実態調査」によると、会社として公式にチャットツール、ビジネスチャットツールを導入している企業は28.1%だった。
また、利用しているサービスは「Skype」が30.5%、「Facebook」が15.3%、「Microsoft Teams」が11.9%だった。
このほかにも、「ChatWork(チャットワーク)」、「Tocaro(トカロ)」、「ZONE(ゾーン)」、「Slack」、「Wantedly Chat」などのツールがある。
この中でも代表的なのが「ChatWork」だ。これは、ChatWork株式会社が運営する日本発のビジネスチャットツールで、導入企業はすでに167,000社を超えているという。
大きな特徴はチャットをしながら発生したタスクを即座に作成・管理できること。また、ビデオ通話/音声通話機能を持っていることだ。さらに、日本発のツールであるため、日本語に対応しており、国内企業に人気が高い。
見逃せない米国発のチャットサービスの動き
また、以前AMPでも取り上げたが、「Slack(スラック)」の成長がめざましい。Slack は米国発のビジネスチャットツールで、世界中で毎日400万人以上が利用すると言われている。
2013年にサービスを開始したSlackは、開始初期からAPIが公開され、エンジニアを中心としたユーザーが次々に便利なボットを開発していった。
2015年には、Slack上で利用可能なボットのプラットフォーム「App Directory」をオープン。データの取得やToDoリストの管理など、用途に合わせて自由にボットを選び、カスタマイズ可能なプラットフォームとして急速に普及していった。
Slackはボット開発の支援に加え、AIの活用にも積極的だ。昨年にはIBMとの連携を発表し、コグニティブ・コンピューティング・システム「Watson」の会話エンジンを、Slackのボット開発に利用することが可能になったという。
また、米国シンフォニー社が運営する“金融機関向け”ビジネスメッセージサービス「Symphony(シンフォニー)」も見逃せない。これは、シンフォニーは、「Slack」や「ChatWork」などのサービスと同じクラウド型のコミュニケーションサービスだ。
「金融機関向け」の枕詞は、Symphonyの特徴である、他サービスから群を抜いたセキュリティの高さに起因している。
システムに“End-to-End Encryption”(エンドツーエンドの暗号化)を採用しているため、管理者のみならず、政府ですらメッセージデータにアクセスすることができない。
自宅の鍵を自分で管理するかのように、自分でデータを管理し、他からの侵入を許さないのだ。セキュリティやコンプライアンスが重要な金融業界では必須となる需要を満たしたツールといえる。
「これ以上なくシンプル」を武器にどこまで食い込めるか
「これ以上なくシンプル。チーム内の情報共有に、ストレスがなくなる」。これが、Stockのキャッチコピーだ。
ビジネスでの組織やチームにはさまざまなタイプの人がいる。中には、このようなチャットツールは苦手という人もいるだろう。しかし、今後はこのような人たちも取り込んでいかなくてはならない。
Stockがシンプルを武器にチャットツールシーンにどのような地位を築けるか、注目していきたい。