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今、AI技術の進歩に注目が集まっている。初期のAI(人工知能)は、20世紀後半、70年前から存在した。
ここ数年の間に、ビッグデータ、強力なクラウドコンピューティングの普及、ソフトウェアアルゴリズムと機械学習のブレークスルーが起こり、AIの活用が現実のものとなっている。
グローバルでデジタルトランスフォーメーションへの取り組みが行われ、各国はITの浸透による生活や業務の改善を目指している。デジタルトランスフォーメーションで中心的な役割を担うのがAIだ。
これからのAI技術開発のフロンティアとなる地域について、日本マイクロソフトが予測を行っている。
アジア太平洋地域におけるAI開発のためのビッグデータ・人材・活用シナリオ
2018年4月4日、日本マイクロソフトは、「アジア太平洋地域がAIの技術開発の中心地になる」という予測を発表した。予測を裏付ける要因として、AI(人工知能)に必要な
- ビッグデータ
- 人材
- 活用シナリオの存在
を挙げている。
AIを機能させるためには、ビッグデータが必要となる。アジアは世界で最も人口が多い地域であり、かつデジタルによる繋がりが普及している地域だ。AIシステムが必要とする大量のデータの供給が可能だ。
マイクロソフトは、Windows、Office、LinkedIn、Bing、Cortanaなどを活用して情報の「グラフ」を構築し、人々のニーズを適切に予期し、対応できるAIツールの開発に役立てている。
AIプログラムの開発には、「STEM(科学、テクノロジー、工学、数学)分野」の人材の蓄積が必要だ。この分野での人材が、アジアで増加すると予測されている。2025年までに中国とインドのタレントプールの合計が米国を上回る、というUBSの予測が存在する。
マイクロソフトでは、20年前に北京にMicrosoft Research Asiaを設立。数百人の研究者、開発者、客員研究員が所属し、米国外ではマイクロソフト最大の研究開発組織となっている。インドのバンガロールにもMicrosoft Research Indiaを開設し、AIの世界において業界を先導する研究成果を定期的に達成している。
AI技術の発展には、AIが活用される機会が必要だ。アジアのユニークな特性のひとつとして、生まれた時からデジタル世界に慣れ親しんでいるデジタル若年層人口の多さがある。国連の推定では、世界の若年層人口の60%がアジア太平洋地域に存在する。「デジタルネイティブ」たちは、自分の生活を向上するために、AIを含むデジタルテクノロジーを積極的に活用するだろう。
アジアには、過去においてテクノロジーの採用に消極的であった国が多い。その国々が、古いインフラに依存する他国を追い越して、新しい生活や仕事の形態を取り入れていく可能性が考えられる。
アジアに注目するマイクロソフトは、アジアでのAI関連投資も増やしている。
アジアにおけるマイクロソフトのAI関連投資
アジア地域におけるAIの将来について、大きな期待を寄せるマイクロソフトは、優先分野への投資を進める。
マイクロソフトは、アジアでのAI開発を進めるために、「STEM人材」の育成へ投資している。例えば、台湾におけるテクノロジーと産業分野のイノベーションの支援として、マイクロソフトと台湾政府の協力による台湾AI研究開発ハブへ、3,300万ドルの投資を行った。
AI機能を市場に投入するには、アジアでの「パートナーエコシステム」の開発が必要だ。スタートアップ企業との共同販売体制など、さまざまなコラボレーションを推進する。コラボレーションスペース、マイクロソフトテクノロジーへのアクセスを提供を目的とし、今後2年間にわたり5億ドルの投資を行うことを最近発表した。
アジアを含むグローバルの顧客とパートナーに、大規模なAIプログラムを提供するプラットフォームへの投資も行う。マイクロソフトは、ハイパースケールのクラウドプラットフォームである、「Microsoft Azure(マイクロソフト・アジュール)」で、アジア地域に強力なAI機能を提供している。
マイクロソフトは、アジアのワークフォースのスキル再構築にも力を入れているようだ。既存産業での労働力が、AI中心のデジタルの世界でも成長できるように、スキルの再構築を支援する。2017年末に、オーストラリアで工場が閉鎖され、多くの自動車サプライチェーン労働者が配置転換された。彼らにデジタルスキルを提供するために、オーストラリア州開発省とソルズベリー市と協力し、南オーストラリアにおいてNational Skills Programを立ち上げている。
AI技術の開発においても「アジアの世紀」となるか
21世紀に入り、AIが実用化される時代となった。グローバルで各国が、IT化による生活や業務の改善を目指し、デジタルトランスフォーメーションに取り組んでいる。
ヨーロッパの世紀、アメリカの世紀と並んで、21世紀を「アジアの世紀」と呼ぶことがある。中国、インドなど転換期を迎える国々に、AI発展に必要な「データ・人材・活用シナリオ」といった要素が多く見られることで、投資を集めている。
AIはアジア地域の成長実現と、重要な社会問題を解決する可能性を秘めている。「AIの世紀」「アジアの世紀」の展開に注目していきたい。
img: @Press