AIによる“スリープテック”で良質な睡眠を。睡眠解析プラットフォームの実証実験がスタート

人間のパフォーマンスをあげるために必要なものといえば、真っ先に「睡眠」というワードが浮かぶ人も多いのではないだろうか。昨今の働き方改革の動きに伴って、現在睡眠に着目した動きが盛んになっている。

しかし、相変わらず睡眠不足を訴える人は多い。もはや現代人にとって、睡眠不足は避けて通れない問題なのかもしれない。今回、この問題をテクノロジーで解決しようという試みが行われる。

テクノロジーで人々の睡眠課題を解決するSleepTech(スリープテック)事業を展開する株式会社ニューロスペースは、三井物産株式会社の従業員を対象に、三井物産出資先のイスラエル発最先端睡眠計測デバイスを利活用したSleepTechの実証実験を開始すると発表した。

時差ボケや早朝・深夜の電話会議に伴うスケジュールを調整

実証実験ではニューロスペースが開発したAI搭載の睡眠解析プラットフォームやモバイルアプリケーションを活用し、三井物産従業員向けに睡眠計測・改善サービスを提供する。

グローバルに事業展開する同社では、海外出張に伴う時差ボケや早朝・深夜の海外拠点・パートナー企業との電話会議に伴うスケジュールの調整など、さまざまなタイムゾーンに対応しながら最高のパフォーマンスを発揮するための工夫が従業員に求められる。

今回の実証実験を通じて、海外出張やグローバル拠点との協働が多く発生する従業員に向けた睡眠改善を実証する。

また今回の実証実験では、三井物産が出資するイスラエルの医療機器ベンチャー(EarlySense)の最先端睡眠計測デバイスを活用し、日本市場での展開を視野に入れニューロスペースの睡眠解析プラットフォームへのマルチデバイス対応検討を進めるという。

今後もニューロスペースでは、睡眠解析プラットフォームの機能拡充やIoT製品保有企業とのソリューションAPI連携、社員の健康増進・生産性向上を目的とした睡眠計測デバイスを活用した企業向け睡眠改善プログラムの提供などのSleepTech事業を推進する。

これにより、生活スタイルを考慮した各個人に最適な睡眠を実現し、人々の睡眠や生活をより良いものにすることを目指す。

AIで個人ごとに睡眠解析結果や最適ソリューションを提供

ニューロスペースの睡眠解析プラットフォームは、計測された個人毎の睡眠データを、AIを活用した独自の解析技術で個人ごとに睡眠解析結果や最適ソリューション、改善データを提供するシステム基盤だ。

社員の健康増進・生産性向上を志向する企業や睡眠ビジネス参入を検討する企業は、API連携を行うことで、睡眠改善データやソリューションを経営の改善や自社サービス・IoT対応製品に組み込むことが可能となる。

ニューロスペースでは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の平成29年度研究開発型ベンチャー支援事業に採択され、同プラットフォームの実証実験の第一弾を吉野家と2017年9月から2018年2月まで行った。

今後も継続的に同プラットフォームの実証実験、および正式ローンチに向け事業推進を行っていくという。

ビジネスパーソンの13.8%が睡眠の質にこだわり対策を実践

人手不足の企業が多い近年では、食事時間も削ってまで、夜遅くまで仕事をしなければならないという状況も多いだろう。それによって多くの人が悪影響を受けているのが、安定した睡眠の確保だ。睡眠不足は、生産性の低下や健康被害などさまざまな弊害が問題視されている。

適度な睡眠は集中力を高めるともいわれており、最近では昼寝を導入・促進している企業もあるという話も聞く。パワーナップという言葉も登場したぐらいだ。

レイコップ・ジャパン株式会社が日本のビジネスパーソン1,000人に実施した「働き方改革と睡眠」に関する意識と実態調査。によると、ビジネスパーソンの13.8%が睡眠の質にこだわり、何らかの対策を実践している睡眠意識の高い“睡眠エリート”であったという。

ところが、働き方改革と睡眠の質の関係では、残念ながら多くの人が睡眠の質の改善にはいたっていないことが判明した。しかし、82.4%のビジネスパーソンが現在の睡眠環境を改善したいと考えているようだ。

このように「快適な睡眠」に対するビジネスパーソンの意識は強い。そして、最近では「コーヒーナップ」という昼寝のスタイルも生まれている。

従来、コーヒーを含むカフェイン入りの飲料は睡眠に相反すると思われてきた。しかし、入眠前にコーヒーを摂取してから15分程度の昼寝をすると、眠気が解消されたという研究結果もあるなど、注目が集まっているという。

この「コーヒーナップ」による昼寝を体験できる場所「睡眠カフェ」が、東京・銀座に2017年8月31日から9月9日までの期間限定で登場した。

カフェ店内では、ネスレブランドのコーヒーと複数の寝具メーカー選りすぐりのマットレスで、良質な眠りを体験できたという。

また、ヘルシンキの企業 GoSleepは「GoSleep Pod」という簡易な睡眠スペース「スリープポッド」を開発している。

これは、国際空港における睡眠をサポートしようというもので、一般的なシングルベッドサイズほどの革のクッションをベースにした非常にシンプルな作りだ。

サイドにはUSB電源と一般の電源があり、上のカバーを引っ張れば「ふた」をして暗くすることもできる。上部のカバーには空気孔があり、通気できるようになっている。

ヘルシンキ空港以外にも、北京やエストニアのタリン、羽田、アムステルダム、アブダビなど、さまざまな国際空港と提携をして、提供拠点を広げているようだ。

「睡眠」は働き方改革の最重要テーマか?

みなさんも経験があるだろうが、とかく睡眠不足では何事もパフォーマンスやモチベーションは上がらない。人によって最適な睡眠時間は異なると思うが、平均的には8時間程度と言われている。だとすれば、1日24時間の1/3、つまり人生の1/3は睡眠に費やされることになる。

働き方改革の課題は多いが、まずは働き手の睡眠問題の改善が最優先かもしれない。

img: PR TIMES

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