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訪日外国人観光客は年々増え続け、インバウンドビジネスは盛り上がりをみせている。なかでも民泊はここ最近のホットワードといえるだろう。民泊ビジネスの先駆者ともいえるAirbnbは、日本だけでなく世界中でその盛り上がりを作り上げている。
訪日外国人観光客の日本での興味分野の一つとして、寺などの日本独自の文化に触れることが挙げられる。今回、そういった外国人観光客をターゲットに、宿泊サービス、「テラハク」が登場した。
このサービスは、株式会社和空が、全国各地の寺や神社を宿泊・体験施設として提供するもので、6月に開始される予定だ。
今回のサービス開始にあたり、和空はAirbnb社の日本法人、Airbnb Japan 株式会社と業務提携締結した。今後、寺社文化をテーマとしてAirbnbプラットフォームの活用や、寺社を活用した宿泊施設の運用に関するサービスの共同開発を行うという。
寺社に特化した新しいタイプの文化的宿泊体験を提供
「テラハク」は、国内の旅行客に向けた、全国各地の宿泊できる寺をスマホやパソコンで検索・宿泊予約できるサービスだ。対象施設を“寺社”という文化施設に絞ることで、新しいタイプの文化的宿泊体験を提供することを狙ったものだという。
寺社、主に全国約77,000の寺院を中核とし、全国各地の地域の魅力発信や交流促進、地域活性化、ひいては地方創生の一助となることを目指している。
今回、インバウンド客への訴求を通じて、国内のゲストに限らない、より多くの人々に良質な日本の寺社文化の魅力を体験してもらうことで、地方創世への貢献度を高めることを趣旨として、Airbnbとの間でプラットフォームの活用を基盤とした業務提携にいたった。
和空は、Airbnbの世界各国の人々が利用することのできる利便性、認知度の高さ、体験コンテンツも楽しむことができる仕組みが、寺社での宿泊など独自の非日常体験を望む国内外の観光客に対して最適であるとしている。
併せて、同社が持つ施設運用に関するさまざまな知見やネットワークを活用することで、国内外のゲストにとってスムーズかつ安全・安心な宿泊・文化体験を提供することが可能になる。
琵琶湖を望む名刹三井寺も参加決定
また、「テラハク」のサービス開始に際して、三井寺(園城寺)境内の塔頭を参拝者が宿泊できる施設として公開を予定している。
滋賀県にある三井寺は、東に琵琶湖を見下ろす長等山の中腹に35万坪という広大な境内を持ち、近江八景「三井の晩鐘」でも知られる名刹だ。平安時代に建立されて以来、1,300年の歴史を刻んできた。
今後、テラハクに宿泊施設として参加する寺がテラハクおよびAirbnbで予約できるようになることで、歴史的文化施設である“お寺”に泊まるという「いつもとはちがう特別な体験」が、国内外の旅行者にとって手軽で身近なものになる。
寺社での宿泊を、寺のお堂や仏像、庭園、四季折々の自然や景観、さまざまな修行体験や文化体験、住職や地元の人々との対話や交流、近隣の名所旧跡や地域の魅力など、日本の文化にじっくりゆっくり触れられる絶好の機会として提供する。
難民や被災者に無料で宿泊場所を提供するAirbnb
テラハクが提携したAirbnbは、通算3億人以上のゲストが利用する世界規模の旅行プラットフォームだ。民泊=「Airbnb」と言っても過言ではない、民泊の代表的な企業である。
今回のテラハクとの提携などのほかに、Airbnbが行なっている活動を紹介しよう。
その中の1つに、昨年の難民へ無料で宿泊場所を提供するための新たなプラットフォーム「Open Homes Platform」の立ち上げがある。
もともと、昨年2月に「今後5年間で、住む場所を失った人たち10万人に短期宿泊施設を提供すること」を目指すキャンペーンを打ち出していた同社は、その一環として、難民や災害時の被災者を対象に宿泊場所を提供するサービスを一層強化することを発表するとともに、今後数年間で国際救済委員会(IRC)に400万ドル(約4億5,000万円)を寄付する計画も発表していた。
また、Airbnbはその他にも、2012年にハリケーン・サンディがアメリカの東海岸を襲った際、ニューヨーク在住のホストの、被災者に無料で宿泊場所を提供したいという申し出を受けたことをきっかけに、様々な緊急災害支援プログラムを提供してきた。
日本でも、2016年4月に熊本地震が発生した際、被災者向けに無料宿泊場所のマッチングサービスを提供。特設ページを設け、寝泊まりする場所がない被災者に、既存のホストが提供する施設の宿泊料をAirbnbが負担するかたちで、支援を行ってきた。
「Open Homes Platform」の立ち上げによって、これまでのような災害が発生する度にプログラムを提供する形ではなく、事前に支援団体を通じて、宿泊施設の提供者と宿泊希望者のマッチングを行うことが可能になった。
日本文化の本当の素晴らしさを海外に発信
2020年には東京オリンピックも控えており、今後も訪日外国人観光客は増え続けるだろう。
日本が世界に誇れるものは、「フジヤマ、サムライ、ゲイシャ」だけではない。このサービスが、日本文化の本当の素晴らしさを海外に発信することを期待したい。