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Webの発達に伴い、そのコンテンツ量は時を重ねるごとに膨大になっていっている。しかし、その全てが有用な情報かといわれると、そうだとはいえない部分もあるだろう。
そしてGoogleによってWebコンテンツはさまざまな判定をされ、ユーザーに有用なものかどうかを判断されている。
誰でもコンテンツを世の中に届けることが可能な今、コンテンツにはクオリティーが求められ続けている。しかし、コンテンツのクオリティーを保つことはなかなか難しい。
たとえば、文章で情報発信する場合、誤字・脱字の判断はもちろん、文章の語彙能力が足りなかったり、もっと豊かな表現がしたい、といったことに情報発信者は頭を悩ませている。
株式会社ウェブライダーは、自社が提供する推敲・校閲支援ツール「文賢(ブンケン)」の文章表現機能に新たに1,800の「類語・言い換え」表現を追加した。また、それに伴い、UIも一部刷新し、使いやすさが向上したと発表した。
既存のエンジンを超える精度を目指した推敲・校閲支援ツール
文賢はウェブライダーが提供する推敲・校閲支援ツール。文章を書く人にとって必要な「推敲」「校閲」をサポートする機能を提供している。
また、文賢には書き手の「文章表現」を豊かにする機能があり、 “文章を書く際の悩み”のひとつ「語彙の足りなさ」を解消することができる。
これらの機能をベースに、昨年、株式会社レッジ、株式会社ウェブライダー、株式会社SPJの3社が、機能追加・サービス向上を目的とした共同研究プロジェクトを開始した。
その第一弾として、誤字・脱字を自動検出するエンジンから開発に着手しており、プロジェクト体制としては、誤字・脱字検出エンジンの開発をレッジが担当。テクニカル・アドバイザーとして、SPJ代表の江口天氏が技術支援を行った。
学習データとしてレッジやウェブライダーの保有する文章データを用い、誤字脱字の検知を行う構造を想定しており、複数の手法を組み合わせることで既存モデルのエンジンを超える精度を目指し開発を進めている。
AI(機械学習やディープラーニングなど)の技術を使用し、文章校正業務の簡易化と、その先にある「誰もがあたりまえに分かりやすく整った文章で情報を発信できる未来」の実現を目指している。
1,800の表現を追加。書き手のモチベーションアップを狙う
そして、今回、ウェブライダーは、文賢の文章表現機能に新たに1,800もの「類語・言い換え」表現を追加した。
これらは、ウェブライダーの編集チームが、これまでのコンテンツ制作で培ったノウハウを元に選抜された「超実用的な表現」だという。
これまでの文賢には「一般(慣用句・ことわざ)」と、アニメやマンガ、あるあるをベースにした「文賢オリジナル」のカテゴリがあったが、使いどころがわからないという声が多くあったという。
そのため、今回のアップデートでは、使いどころがわかりやすい、超実用的な類語・言い換え表現を大幅に追加した。
それらの表現は「うれしい」「美味しい」「きらい」といった30以上の感情カテゴリに分かれているほか、「書く」「読む」といった「動作」に属するカテゴリにも分かれている。
たとえば、書くという表現ひとつとっても、「筆をもつ」「綴る(つづる)」「筆を走らせる」「言葉を連ねる」など、22種類の類語・言い換え表現を用意している。
これらの類語・言い換え表現は超実用的であり、クリックひとつで文章内に挿入できる。これにより、文章の書き手のモチベーションアップすることが同社の狙いだ。
この類語・言い換え表現は今後も追加・更新していく予定だ。
UIを一部刷新。今後はAIの搭載も予定
また、UIを一部刷新した。これにより、今まで以上に動作が軽くなり、記事作成だけでなく、顧客対応のメールの添削、新人の文章マナーの教育など、文賢をさまざまなフローに組み込み、あらゆる業務の効率化が可能となった。
さらに、4月にはレッジおよびSPJとの共同開発であるAIを搭載した「誤字脱字検出機能」の組み込みを予定しているという。
国連も注目するブロックチェーン
このような校正ツールには、英文の校正サービスもある。以前、AMPでも紹介したサンフランシスコ発の文章校正ツール「Grammarly(グラマーリー)」は、自然言語処理やマシンラーニング技術を駆使して英文を校正するツールだ。
2009年にAlex Shevchenko氏とMax Lytvyn氏が設立し、現在では1日およそ690万ものユーザーが利用するサービスに成長している。
基本的な文法・スペルをチェックできる無料版に加え、文体に合わせた表現の提案、剽窃のチェックを備えた有料版が用意されている。有料版では「アカデミック」「ビジネス」「テクニカル」「メディカル」「クリエイティブ」「カジュアル」といった6種類の目的を選ぶことが可能だ。
誰もが情報発信できる時代に
毎日、文章を書いていると自分の表現力の足りなさや、語彙力不足を痛感させられるものだ。情報を発信したい、でも自分の文章力に自信がない、こういった人は多いだろう。
文賢は、そういうユーザーにとって強力な味方となることは間違いない。誰でも情報を発信できる時代になったからこそ、登場したツールであり、今後のWebコンテンツのクオリティーを担保してくれるものになるかもしれない。